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北斎の生涯を知りたくなる。−『北斎漫画』後編、森羅万象彼の被写体。

今日も『北斎漫画』の八編から見ていきます!

八編はおかしな人物の動きや特集が特徴的です。半裸で大道芸をしている男たち、男女の喜怒哀楽図、痩せてる人と太った人の図。

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九編は鎌倉時代に無双の怪力を誇った遊女「金子」の列伝を絵に表したもの。暴れ馬を飼い慣らしたり、重い樽を軽々持ち上げたりを披露する。そのほか和漢の武者の旅の途中の様子が場面ごとに描かれています。

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十編は一番『北斎漫画』といえばという絵が並んでいます。顔を上下左右に伸ばしていたり、妖怪幽霊・神仏高僧がひょうきんにも神聖にも描かれています。元来十編で完結する予定ではあったもののあまりの人気ぶりで終わらせることができずに、続いちゃったらしいです。笑

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十一編は人間から動植物、自然物、大砲などの模写で埋め尽くされているものの、全体的にダイナミックな描写。ただモチーフを羅列するだけでなく、そのモチーフが埃をたてて動いているような描写。

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十二編は全て人間の様子を描いたもの。七福神や天狗から百姓たち芸者たち、妖怪といった人物のそれぞれの起こりうる場面を背景も含めて描かれています。特に強い風がたち登場人物の五人の顔が見えないようになっている図は、風が吹いてきている方向がよく描写されていたり画角から外れて物が飛んでいってしまう強さを表現したり。一番真新しいのが埃か葉っぱが舞っているのを点描や濃淡だけでなくまるで星型のような葉っぱを描くことでディズニー映画のワンシーンのようにキラキラしています。

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十三編は建造物や小さな人物、草木景色から、怪獣のような虎や象、鯉やラクダがまるで『もののけ姫』のシシガミ様やオッコトヌシ様のようななまなましさと少しの気持ち悪さを兼ね備えて描かれています。十三編は北斎の死の直前に作成・刊行された作品と言われています。

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十四編は風景画・動物の単独模写が主です。北斎の死後すぐに刊行されたと推定されています。北斎生前によく描かれた動物の絵よりも浮世絵よりの動物模写が際立ちます。場所や季節、状況が解読できそうなこだわりの詰まっていそうな描写。

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十五編は明治11年刊行。死後というか、ほぼ伝記的役割、画集。北斎が描くものもありましたが、弟子の織田杏斎が書き下ろしたりする作品もあるそう。十四編までの総集編と感じられるほど、森羅万象を忠実に、でも見開き全体を大きく使う、丁寧に描かれた図であると感じます。

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やはり北斎は人間の骨格を理解するべく接骨医の名倉弥次郎兵衛に弟子入りし、筋肉と骨格を勉強したらしい、、。プロや、、!

また北斎はこの『北斎漫画』を制作している間、さまざまなものを模写しているのにもかかわらず、80歳になっても「猫一匹すら満足して描けない」と嘆いたらしい、、。プロや、、!

年が経つごとに多くの創意工夫を重ねていたようにも感じますが、それは自分の絵に満足できていないのを誤魔化すためか、貪欲にさまざまな画術を身につけようとしていたのか、、。北斎の意図はなんなのか、何においても素人である私の知の範疇を裕に超えているんだと実感します。


今日は『北斎漫画』の八から十五編を見ていきました。明日は番外編『三体画譜』『一筆画譜』『略画早学』『画本早引』を勉強していきます。明日で北斎期は終わりかな?次は戴斗期へ!


#葛飾北斎 #北斎 #北斎期 #北斎漫画  

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