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『駿州江尻』−富士と平野の対比と”風”を描く−『富嶽三十六景』

今日はこれを書いたらお風呂入って寝るんだー!ずっと早起き続いていたので今日の夜は見たい動画見て、朝は比較的ゆっくり起きるんだー!という意気込みで今日は書いてまいります。楽しいから全然やるんですけどね。笑


今日の楽しい時間はやはり葛飾北斎『富嶽三十六景』、「駿州江尻」。

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これもまた昨日に引き続きよく見かける作品の一つですね。

富士は一本の線で描かれ多くの情報は与えられません。けれども富士だとわかる風格さえ感じます。その前には平野が広がっていて腰あたりまでの草が生えています。2本の木が絵の左側に生えていて強い風を受けて右に靡いています。地面には人が何人かいて風を強く受けています。風を受けて被り物(菅傘)が飛ばされないように抑えている人もいますし、飛ばされてしまっている人もいるようです。一番手前の顔も見えないくらい乱れている人は何か書類(懐紙)を持っていたのにも関わらず多くは風で飛ばされてしまっています。

この風景は風の描写は一つもないのに風がどれくらい強く、どの方向に吹いているのかわかってしまうのがやはりプロの画家の所業ですね。


この絵の舞台となる江尻とは静岡県静岡市清水区にあたります。ちびまる子ちゃんの舞台でもある!

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富士山との距離感も遠すぎないので絵の描写は大した誇張もなさそうですね。

江尻宿のすぐ南に清水湊があり、江戸への物資を運ぶための海上運輸の要所であったそうですが、絵にはそのような湊としての賑わいは描かれていません。平野一面には葦が生い茂っています。この風景は地域は違えど『北斎漫画』でテーマとして描いているようです。七編「下総関屋の里夕立」にあります。

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お、これも腰くらいの高さまで生えた草として認識していた葦ですね。この絵は雨が直線で描かれていますね。聞いたことあるのが雨の表現もまた色々あって、直線で表したり雨自体を描かずに傘をさした人と、曇った空に手をかざす人を描いたりと、さまざまに表現方法があると言います。上の絵は風と共に横殴りの雨が降っていることがよくわかります。

話が変わっていしまいましたね。笑

飛ばされてしまっている懐紙は左下から右上に向かっていて、富士山の輪郭右側の右下から左上に伸びている線と交差しているのが面白い構図ですね。また、風で乱れる人、木、原っぱなどの平野の対比で静かにどっしり構える富士山との対比も北斎の意図された構図なのでしょうか。

この絵は富士がどうとか、江尻という地域はどうだとかそういうことを払い除けて、”風”の描写に挑戦した作品であるようです。それでも「神奈川沖浪裏」のように題名に”波”を入れるように、”風”を入れることをしなかったのは何故でしょうか。敢えて入れないことで風に自然に注目させる意図があったのかもしれません。『北斎漫画』十二編の「風」で『富嶽三十六景』以降に描いており、大事な自然描写として認識しているようです。

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これかも!これは確か『北斎づくし』で初めて見た時に、江戸絵画らしくない描写だと感じたものでした!舞う葉っぱが星のように見えてキラキラしているのと同時に靡いている方向が自然に星のような葉っぱが並ぶ方に流れていくのが技なのでしょうか。

今日はここまで!

#葛飾北斎 #北斎 #富嶽三十六景 #駿州江尻 #北斎漫画

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