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愛の輪郭 -フィールド-

はじめてその曲を聴いたとき、最高だと思った。メチャクチャ好きな歌だ。印象的なアニメの印象的な曲。オープニングが界隈で有名だったため、まさかエンディングがこんなに素敵な曲とは知らなかったのだ。愛の輪郭、輪郭と書いてフィールドと読むらしい。

ブレンパワード、観たことがある人~と聞いてもイエスが返ってくることは稀だ。ブレンパワードはその稀さがいい。誰でも彼でもイエスなんて返してきたら、僕はぎょっとするしゾッとする。とは言え、新参の僕が偉そうに語ってしまうことを申し訳なくも思う。が、メジャーになりすぎるのは本当に悲しいことだと常々思う。ブレンパワードはロボットアニメとしても非常に優秀で、メカが気持ち悪いのに可愛らしい。真の「きもかわ」だと思う。愛憎渦巻くキャラクターたちの関係も魅力的で、その中央にぶちこまれた主人公なんぞ最高だ。イカれた愛情を向けられながらも、誰も愛しはしない奴らの群像劇と僕は思う。主人公も漏れなく愛さなかったり、かと思えば完全に愛する時は抜群にイカれながら愛する。おそらく、監督の趣味なのだ。僕の友人はその有名監督のことをハゲ呼ばわりしている。恐れ多いのも勿論だが、例の女性議員が頭を過るのでそろそろやめるべきと思う。

愛の輪郭で歌われていることは、残念ながら本編に通じたりはしない。あくまで美しい理想だ。この世には、マリア殿が夫殿にお願いをする歌がある。遠い昔に聴いた歌だが、例えるならそれによく似ている。ヨセフ様、お願い、みこをあやして……。夫殿は子供をあやすし、妻を愛していると思いたい。ただ、彼がみこ(神子か御子か分からない)をあやすのは妻の頼みだからなのか、己がその者の養父であるからなのか、あまり考えたくはない。ブレンパワードにはそういう、タマゴとかトリとかそういう……命や魂の駆け引きがある。
主人公の家族たちはむごい駆け引きを平気で行う。むしろ、嬉々として輪郭の逆をやってのけるのだ。その様は観ていて可愛そうに思えるくらい醜い。あの主人公は可愛そうとしか言えない。実の母は例の男と不倫関係にあるし、しかも母は単なる代替でしかない。奴のアダルトチルドレンと男尊女卑のオカマ風味は凄い。姉は例の男からおかしな憧憬と劣情を抱かれながら、両親を深く愛し憎んでいる。彼女が最も愛しているのは実弟である主人公ただ一人だ。(彼は大人びた青年だが、時折驚くほどに子供っぽい。年相応な面も多いが、姉の情愛に薄々感づいているように僕には見える。それがたまらない。)僕自身が末っ子のため、彼に勝手な共感をするところが多い。長子である多くは最終的に何が何でも親からの承認を得ようとする印象がある。姉はあれだけ両親を愛し、軽蔑しながらも拘り続けている。弟のほうは両親は勿論、その姉からも自由になろうとする。目指すべき方向すら異なる生き物なのだ。ブレンパワードの主人公はイサミ=ユウその人だから、最後の希望にして可能性そのもの。
彼は、監督が同じだからなのか、ファーストガンダムの主人公によく似ている。ユウがアムロなら、もっとこじらせていたし、もっと汚かったと思う。ユウの魅力はそれでもなお麗しいところだ。綺麗なアムロと呼ぶと分かりやすい。好きな主人公を3人挙げてください、なんて質問があったなら必ず挙げる主人公だ。残りの2人は初代ジョジョとF91のシーブックなので、その辺りもお願いしたい。主人公として最高の存在だと思う。まぁ、世紀末覇者を出されると少し揺れるが。

眠たくなってきたからこの辺で……。

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