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「強くなることで恩返しがしたい」プロスカッシュプレーヤー机龍之介選手

「自分が強くなることでスカッシュに恩返しがしたいんです」

全日本選手権最年少優勝、5連覇。日本ランキング1位。
輝かしい経歴を誇るプロスカッシュプレーヤー・机龍之介選手。

しかし、その輝かしい経歴の裏には、日本スカッシュ界を背負って立つ強い決意と、苦しんだ過去がありました。

今回ご紹介するのは、プロスカッシュプレーヤー・机龍之介選手。過去・現在・未来について、伺いました。

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💡机龍之介(つくえりゅうのすけ)選手はこんな人

・神奈川県横浜市出身
・2020年順天堂大学卒
・スカッシュ一家の生まれ
・高校2年生の時に全日本最年少優勝
・兄・伸之介さんも元プロスカッシュプレイヤー
・日本ランキング1位(2023年2月10日現在)
・ファッション大好き

スカッシュよりもテレビゲームが好きだった幼少期

スカッシュを生涯スポーツとして取り組む両親の元に生まれた机選手。兄もスカッシュプレーヤーという、日本スカッシュ界のサラブレッドです。冗談混じりで「母親のお腹の中にいるころからスカッシュをしていた」といいます。物心ついたころにはラケットを握っており、家族に連れられてスカッシュ施設に出入りしていました。

「そのころはテレビゲームの方が好きで、スカッシュは楽しくなかったですね」

通っていた施設の規定で、7歳にならないとコートに入ることはできません。コートの外で家族のプレーを見ていたり、施設の外の壁で壁打ちをしたりして、時間を持て余していました。そのような境遇だったからか、当時はスカッシュよりもテレビゲームが好きだったといいます。施設のオーナーのはからいで、特別に5歳からコートに入ることを許可されましたが、「テレビゲームが好き」という状況は変わりませんでした。

スカッシュ選手として目覚めた1つ目のスイッチ

そんな机選手は、3つの事件を経て、スカッシュの競技者として覚醒していきます。その事件が「自分を競技者に変えてくれたスイッチ」と語ってくれました。

1つ目のスイッチは保育園の年長の時に出た大会です。

U9、つまり小学3年生まで出場できる大会に、年長の年齢で出場しました。テレビゲームが好きだった机選手は、「勝っても負けても、泣かないで1試合できたらオモチャを買ってあげるからね」と母親にいわれ、渋々出場します。残念ながらトーナメントの1回戦で敗退。その上、試合途中で泣いてしまいました。

しかし、この大会では救済として、1回戦の敗退者を集めた再トーナメントがありました。なんと再トーナメントで机選手は優勝を果たすのです。この時はじめて「スカッシュって楽しい!」と感じたのです。

悔しさを感じ「強くなりたい」と確信した2つ目のスイッチ

2つ目のスイッチは、中学3年生の時に参加したU19日本代表の活動です。

「代表遠征に行った時、自分より強い選手しかおらず、誰にも勝てなかった」

先輩の代表選手たちは、勝敗を争う大切な試合に出ていましたが、机選手は勝ち目のない強力な相手への“消化試合”に出されることに。誰にも勝てず、まったく歯が立たない状況に悔しさを感じていました。

この悔しさが、机選手をスカッシュ選手として目覚めさせることになります。

“全日本最年少優勝”という3つ目のスイッチ

そして机選手に3つ目の事件が起こります。

机選手は、2014年に史上最年少の17歳3カ月で全日本最年少優勝を果たします。

全日本優勝に加え、歴代最年少という栄光と大記録を手にした机選手。しかし、周囲からこの大記録に対し「まぐれじゃないの?」という疑念の声が聴こえたと言います。

「お祝い半分、まぐれでしょ?という声が半分。これは悔しかったですし、まぐれではないことを証明するために、次の全日本選手権も取らなくてはというプレッシャーがありました」

全日本選手権で優勝してからの1年は、試行錯誤の毎日。どうすれば今よりも強くなれるか。自分の課題は何なのか。トライ&エラーを繰り返し、日々自分を高めることに注力します。その日々は、見えない敵と闘う毎日でした。

結果的に、2014年から2018年まで、全日本選手権を5連覇します。そしてその間のスカッシュ上達への努力が、人間として大きく成長させてくれました。机選手はこう語りました。

「今の自分があるのは間違いなくスカッシュのおかげですね」

全日本選手権最年少優勝とその裏にある周りの冷ややかな目。この事件が、机選手をトップアスリートとして完全に覚醒させました。

強くなって日本スカッシュ界に恩返しをする

今、机選手が目指している目標は2つ。1つは世界ランキングを1つでも上に上げること。そしてもう1つは2026年9月に名古屋で開催されるアジア競技大会で優勝することです。

今の自分があるのは、スカッシュのおかげ。だからこそ、スカッシュプレーヤーとして誰よりも強くなることで、周りの人に恩返しをしたいと考えています。

東京五輪、パリ五輪ともに正式種目の候補に入りましたが落選。日本スカッシュ界は、スカッシュがオリンピック種目に選ばれることで多くの人に認知してほしいと願っていただけに大変残念な結果でした。

「今の僕にできることは競技者として結果を残すことです。」

スカッシュプレイヤーは30歳ごろが競技者としてのピークといわれています。2023年2月現在、机選手は26歳で日本ランキング1位。3年後のアジア競技大会では29歳という、競技者として最も脂の乗った時期。今はこの大会で優勝することに標準を定めているようです。

スカッシュを広めるためにやりたい第2の活動とは

アスリートとして、また日本スカッシュ界を引っ張るリーディングプレイヤーとして、使命とプライドを持って活動している机選手。実はスカッシュの認知度を高めるために、意外な活動を始めています。

それはファッションです。

「ファッションが好きで、休みの日はよく服を見に行っています」

インスタグラムをのぞくと、「アスリート×ファッション」という発信活動をしています。もちろん純粋にファッションが好きという気持ちもがありますが、実はその裏にもスカッシュへの想いがありました。

「ファッションからスカッシュに入ってもいいと思うんです」

たとえばランニングは、気軽にできるスポーツとして多くの人に親しまれています。しかしスカッシュは、特別な施設がないとプレーできないという大きなハードルを抱えています。そのハードルがあるので、知ってもらうことすら難しいという課題があります。

机選手は、多くの人が興味を持つ「ファッション」に目をつけました。ファッションを調べた人が机選手に辿り着き、スカッシュのことを知っていく。そして毎月定期開催しているスカッシュ体験会につなげていく。

自身の「やりたいこと」と「好きなこと」であるファッションと、「得意なこと」であるスカッシュを掛け合わせ、スカッシュを広める活動を進めていきたいと語ります。

スカッシュに対する感謝と、トップアスリートとしてのプライド。間違いなく今後10年の日本スカッシュ界のリーディングプレイヤーとなる、机龍之介選手にお話を伺いました。これからの机選手のご活躍を祈っています!

🔎机龍之介選手をもっと知るならこちらから

公式インスタグラム
*毎月開催している体験会は、インスタグラムでお知らせしているそうです。

公式Twitter

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【机龍之介】Ryunosuke Tsukue プロモーションムービー 【スカッシュプレイヤー】


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