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ナイトガード製作法(エルコプレス+レジン盛り) 第1回 作製の前に知っておきたい重要なこと

はじめに、この記事ではナイトガード・バイトプレート、または通常のスタビライゼーションスプリントの製作方法を数回にわたってご紹介します。使用材料はエルコデント社のエルコヂュールをプレスし、咬合面にはオルソドンティックレジンを築盛し、対合歯に均等接触する形態となっています。基本的には上顎に作製します。

筆者は25年以上ナイトガードの作製に携わり、現在年間で1,200ケース以上の作製実績があります。この経験と技術を、これから製作に携わる方々の参考にしていただけるように、記していきたいと思います。

製作の手順


マウント~設計~プレス前準備(模型調整)~エルコプレス~ボクシング~レジン流し~咬合調整~外形ライン調整~最終形態調整~研磨前準備~研磨

上記の工程は、ナイトガード・バイトプレートやスタビライゼーションスプリントの製作における基本的な工程です。マウントから研磨まで、一つ一つの工程を丁寧に行うことが良好な適合と完成度を高めるためには欠かせません。特に模型の調整は、口腔内での適合に直結するため、精密かつ慎重に行うことが大切です。また、研磨前準備も念入りに行うことで、美しい仕上がりを実現できます。

製作の前に知っておきたい重要なこと

適合に直結する模型の調整

スタビライゼーションスプリントの製作において最も大事なことは、口腔内での適合です。技工サイドでは模型に適合させることはもちろんですが、口腔内での適合を意識して作製することが重要です。不適合だとチェアサイドでの調整時間が長くなるばかりでなく、技工サイドでの咬合調整も意味をなさなくなり、むなしいだけです。逆に言えば、適合さえよければ咬合調整に多少時間がかかっても、プレート内面にレジンを盛ったり、プレートをカットして繋げたりするなどの修正がふようになり、術者や患者の負担は最小限になります。また、製作者(歯科技工士)の評価も上がるでしょう。


その適合を達成するために最も大事なことは、模型の精度と調整方法です。模型の精度に関しては、印象採得をするチェアサイドにお任せすることが最適ですが、模型の調整(修正)については、歯科技工士の技術次第で完成度を大きく左右します。以下、模型の調整(修正)のポイントを1〜6まで記述します。(詳細については後述)なお、模型の調整には、マイクロスコープやハズキルーペなどの拡大鏡が必須となります。



模型の調整(修正のポイント)


1 印象時の気泡(模型上の咬頭嵌合位を阻害する要素)


2 石膏流し時の気泡


3 面荒れの修正

再印象のレベルではありますが…


4 石膏のチップや破折の見極め修正

左上1切端の破折(チッピング)


5 印象の変形 見極め予測


6 アンダーカット量の調整

1咬合器マウントの準備(口腔内での咬合のずれに影響)
2~5. 口腔内での不適合要素
6プレートが緩くなりすぎないように調整

繰り返しになりますが、口腔内で良好な適合を得るためには、マウントの準備、設計、プレス前の準備までの模型の調整が、ナイトガード製作において最も重要な工程です。




        














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