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立ち止まって考えたい。【風刺で見る現代社会】

※この記事は大学の授業の一環で作成したものです。

誰にでも分かりやすい「風刺画」:ビゴー、バンクシーから始めよう

私は中学生や高校生の頃、社会科の教科書に出てくるビゴーの風刺画が好きでした。戦争や帝国主義、植民地主義といった、暗くて、お堅く、ワクワクしない時代を学ぶにあたって、息抜きのような存在に思えたものです。ダラダラ書かれた文章の周り(隅っこ)に、「資料1」みたいな感じで追いやられているにもかかわらず、それが一番わかりやすいし面白さもあるのですから不思議です。アートに疎い僕ですが、一番身近で一番関心のあるジャンルが風刺画なのです。

最近ではバンクシーが風刺画(というジャンル分けでよいのかわからないですが)を手掛けるクリエイター、アーティストのなかでは最も名が知られていると感じます。10月の上旬まで横浜でバンクシー展が開かれており(行くつもりがチェックが遅くて予約できず…)、現在は大阪に場所を移して開かれているなど、日本での注目度も高いです。一つ具体例を挙げてみます。

花束を君に

This is media、【2020年最新版】バンクシーの有名アート作品27選、https://media.thisisgallery.com/20188939

例えばこの作品。一度は目にしたことのある人が多いのではないでしょうか。武器を投げようとしているように見える男の右手には花束。相手を傷つける武器ではなく、相手を喜ばせる花束を贈ろうということでしょうか。平和への想いが感じ取れます。

この作品のみならず、風刺画は「分かりやすい」ことが一つの特徴だと私は考えています。したがって、アートや芸術、創造の世界に飛び込むのにはうってつけです。

今回はバンクシー以外の現代風刺画をいくつか取り上げてみたいと思います。政治、社会、日常など扱うテーマは特に絞っていません。皆さんもお気に入りの風刺画を見つけてみてください。

身近な事柄と政治の風刺:1~7

最初に紹介するのは、Igor Morski(イゴール・モルスキー)の作品です。現代社会を風刺した多数のイラストを発表しているポーランドのアーティスト。彼自身は自らの作品について解釈を述べることは多くないそうですので、皆さん自身の感じ方を大切にしてみてください。私個人の見解だけ付記しておきます。

※以後紹介する作品のファイルのタイトルは、作品名と一致しているわけではありません。筆者が勝手につけたものとお考え下さい。

1:ジェンダーしかり、偏見然り…。

Igor Morski Portfolio、http://www.igor.morski.pl/work/

人間いつから規範を意識して、それを無意識に内在化してしまうのでしょう?

2:巨大化は迷走の元?

Igor Morski Portfolio、http://www.igor.morski.pl/work/

初めて東京・池袋駅構内を歩いた時を思い出します。もはや肥大化しすぎて便利を通り越して不便さを感じたものです。そうした都市構造への風刺と、頭でっかちな現代人を揶揄しているように感じます。


次に紹介するのは、現代社会をシニカルに描くフランスのイラストレーターJean Jullienさんの作品です。

3:自由の女神、下を向く

TABI LABO、「現代社会って、きっとこんな感じ(イラスト10選)」、https://tabi-labo.com/280434/jean-jullien-3

身体的に視野が奪われることにとどまらず、自由という理念をも自ら放棄しているのではと考えさせられます。

4:海へ来た意味

TABI LABO、「思わず「ドキッ!」とする社会風刺画14選」、https://tabi-labo.com/220812/jean-jullien

これも似た趣向の作品。小学生の頃、外で集まってみんなでDSをしていたのを見て、母から小言を言われたのを思い出します…。まだ、小言を言う人がいただけマシだったのかもしれませんね。


続いては、Marco Melgratiさんの作品です。こちらも現代社会を風刺した作品が多いです。

5:「プライバシーの死」

The artists of Salzman International、https://www.salzmanart.com/marco-melgrati.html

フェイスブックの「f」マークと十字架を掛け合わせて、プライバシーやフェイクニュースでたびたび問題になっているFacebook社を批判している様子がうかがえます。

6:タイトルとは違う解釈をしたが…。

The artists of Salzman International、https://www.salzmanart.com/marco-melgrati.html

タイトルからすると、本中毒。本ばかり読んで、現実世界を吸収しようとしない人を念頭に置いているのでしょうか。しかし、私は、公文書などの捏造や黒塗りを風刺しているのかと感じました。あなたはどう感じますか?


最後に、政治を題材とするものを取り上げたいと思います。

7:各国の正義とは?

はじめに紹介するのは、アゼルバイジャン在住の風刺画家、Gunduz Agayev氏の一連の作品。彼は国ごとに違う“正義”の捉え方を少し過激なイラストで表しています。各国の違いを肌で感じてみてください。

2015年の記事ですから、その時と今とでは少し世界情勢も変わっているかもしれません。しかし、根底にあるものはそう変わらないでしょう。

おまけ

以上、現代社会や政治を風刺する作品を見てきました。最後に、私自身も、サークルで行っている落語で風刺というものを体現したいと考えていることをお伝えしようと思います。「笑い」の文化と「風刺」の文化を組み合わせたものとしては、時事ネタはありますが、あまりがっつりしたものは日本には少ないように感じます。拙い落語しかできない私ですが、噺の世界観を壊さない程度に(むしろ援用する形で)風刺をしていきたいと考えています。現時点で出来得る精いっぱいの噺を添付しておきます。時間のある方はご覧ください。もはや、風刺を超えてただの批判かもしれませんが…。

(ほんとに暇な人だけでいいですよ!)

最後に

なぜ、今この時期にこのテーマを取り上げたのか―。

それは、2020年が、新型コロナウイルスの影響で世界が変わったこと、日本の総理大臣が変わったこと、アメリカの大統領選が行われていることなど、変化の多い年だからです。次の時代が幕を開ける前に少しでも今の状況を把握すべきだと感じるからです。

そうして、自らも表現者としてレベルを上げたいですし、よりよい社会になっていくことを切に願います。

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