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charge= 突進する | 教科書に出てこないニュース英語 《カナダ・野生動物との共生》

カナダの公共放送CBCのウェブサイトで、2024年9月24日に配信された記事の見出しで使われていました。

Bear chargesat B.C. man in his own garage
Lower Mainland resident stayed calm and started clapping, following advice of wildlife experts
クマがブリティッシュコロンビア州の男性に突進、自宅のガレージで
ローワー・メインランドに住む男性は、野生動物の専門家のアドバイスに従い、冷静に拍手をし始めた。

https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/black-bear-charge-garage-vancouver-1.7332700

chargeの意外な意味と、日本でも問題になっている住宅敷地へのクマの侵入の話題です。


◾️'charge'を辞書で引くと

いろいろ、意外な意味がありました。

charge [tʃάːrdʒ] 基本単語レベル
━━[動]【負荷・負担をかける】
1他〈人に〉〈代金を〉負わせる
1a他((米))〈品を〉(カードで)支払う,買う≪on≫
Youcan charge yourticketonVisa.
  チケットはVISAカードでお支払いが可能です
2他〈人に〉(罪などを)負わせる
3他〈人に〉(責任・仕事などを)負わせる
4他〈物に〉負荷をかける
〈バッテリーなどを〉充電する;((英形式))〈入れ物に〉(…を)満たす,詰める;((古))〈銃に〉弾丸を込める(up)≪with≫
4a他〔通例受身形で〕〈心などを〉(悩みなどで)満たす,〈声に〉(感情を)込める;〈状況などを〉(…で)緊張させる≪with≫
5他〈敵・暴徒などに〉攻勢をかける
突撃[突進]する,攻撃する;自(…に)突撃する≪on,at≫;〔経路表現を伴って〕突進する
6他〔通例受身形で〕《紋章》〈物に〉(紋を)つける≪with≫

━━[名]
<省略>

goo辞書  小学館 プログレッシブ英和中辞典

日本語でチャージといえば、まず思い浮かぶのは、の「充電する」です。
たしかにこの意味もあるのですが、意味の中心的なイメージは「負荷・負担をかける」でした。

そういえば、最近は電子マネーの口座にお金をチャージする、という使い方もします。これに少し似ていますが、1aの「((米))〈品を〉(カードで)支払う,買う」は、恥ずかしながら初めて知りました。

この記事の見出しでは、
文脈からも、文法的にも(B.C. manの前に前置詞atが置かれている)、
5 自「(…に)突撃する≪on,at≫」の意味で使われているとわかります。


語源辞典で調べると、歴史的な意味の広がりの説明がありました。

年代順にまとめると、
・後期ラテン語:「車輪やカートを積む」から英語へ
・13世紀初頭:「積む、負担をかける;何かを保持するために満たす」
・中世:「委任する」「命じる」「告発する」
・14世紀半ば:「費用の負担を課す」
・1540年代:「武器を装填する」?→ 1560年代:「襲いかかる、攻撃する」
・1748年から:「電気を充電する」
・1787年から:「費用の負担を課す」
・1889年から:「支払いの責任を負わせる、借金を登録する」
…ということでした。
https://www.etymonline.com/search?q=charge

今回の記事で使われている「襲いかかる」という意味は、「武器を充填する」から来ているの「かもしれない」と書いてました。

この「かもしれない」ですが、原文ではperhapsを使っていたので、確信はないようです。たしかに、つながりに無理はありますね。


ちなみに、最初の充電できる電池は1859年にフランス人のガストン・プランテにより発明されたそうです。

両方の情報が正しいのだとすれば、充電が実現する100年前には「充電する」という概念が存在していたということになります。


◾️カナダでのクマとの遭遇の顛末を書いた記事の内容は?

記事本文を見てみましょう。

ブリティッシュコロンビア州の男性は、今週初めにガレージに入った際、黒いクマが彼に突進してきた。彼が手をたたいて音を立て始めると、クマは彼からわずか数センチのところで止まった。
その後、クマは再び彼に向かって走ったが、ゴールドは拍手を続け、クマに目を向けたまま後ずさりした。後方には子グマが一匹歩いていた。

その男、Alex Goldによれば、この遭遇は9月18日に起こった。

遭遇の様子を録画した動画はインスタグラムや他のソーシャルメディアサイトで広く共有され、数百万回の視聴回数と何千ものコメントを集めている。

「この男性はカナダ人だ。彼は正しいことをした。背を向けない、音を立てる、走らないということだ。」というのが元の投稿のトップコメントだった。また、自分ならできない、なぜ逃げなかったんだ、というコメントもあった。

専門家は、クマに遭遇したときは冷静を保ち、クマに話しかけることが重要だとアドバイスしている。冷静にクマに話しかけることが、脅威がないことを理解させる助けになるという。

また、ガレージや車のドアを閉めておくことも、クマを引き寄せないために推奨されている。袋小路になった逃げ道のない空間にクマを入れないことだ。また、最善のゴミ管理法についても言及された。最善の策はゴミ箱を石鹸と酢で洗浄し、最も臭う食べ物—肉、魚、ステーキ—はごみの収集日まで冷凍庫に保管することだという。

CBC
https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/black-bear-charge-garage-vancouver-1.7332700

クマと遭遇した時にどうすれば良いか、また、引き寄せないためにどうすれば良いか、つまり対処法と予防法を紹介しているのが印象的です。これに対し、日本での報道はクマの恐ろしさやクマとの戦いを強調しがちである気がします。

この記事には、クマを攻撃してしまったために怪我を負った女性と正しい対処法を報じる記事と多くのクマが殺されていることに関しての委員会をこの州が設立したことを報じる記事と、へのリンクが示されていました。

また、幸せそうに水辺で遊ぶクマの動画へのリンクも。

このカナダの放送局やブリティッシュコロンビア州政府は、いかに共生するかを強調しているように見えます。

発信者による報道の違いを感じる記事でした。





























































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