charge= 突進する | 教科書に出てこないニュース英語 《カナダ・野生動物との共生》
カナダの公共放送CBCのウェブサイトで、2024年9月24日に配信された記事の見出しで使われていました。
chargeの意外な意味と、日本でも問題になっている住宅敷地へのクマの侵入の話題です。
◾️'charge'を辞書で引くと
いろいろ、意外な意味がありました。
日本語でチャージといえば、まず思い浮かぶのは、4の「充電する」です。
たしかにこの意味もあるのですが、意味の中心的なイメージは「負荷・負担をかける」でした。
そういえば、最近は電子マネーの口座にお金をチャージする、という使い方もします。これに少し似ていますが、1aの「((米))〈品を〉(カードで)支払う,買う」は、恥ずかしながら初めて知りました。
この記事の見出しでは、
文脈からも、文法的にも(B.C. manの前に前置詞atが置かれている)、
5 自「(…に)突撃する≪on,at≫」の意味で使われているとわかります。
語源辞典で調べると、歴史的な意味の広がりの説明がありました。
年代順にまとめると、
・後期ラテン語:「車輪やカートを積む」から英語へ
・13世紀初頭:「積む、負担をかける;何かを保持するために満たす」
・中世:「委任する」「命じる」「告発する」
・14世紀半ば:「費用の負担を課す」
・1540年代:「武器を装填する」?→ 1560年代:「襲いかかる、攻撃する」
・1748年から:「電気を充電する」
・1787年から:「費用の負担を課す」
・1889年から:「支払いの責任を負わせる、借金を登録する」
…ということでした。
https://www.etymonline.com/search?q=charge
今回の記事で使われている「襲いかかる」という意味は、「武器を充填する」から来ているの「かもしれない」と書いてました。
この「かもしれない」ですが、原文ではperhapsを使っていたので、確信はないようです。たしかに、つながりに無理はありますね。
ちなみに、最初の充電できる電池は1859年にフランス人のガストン・プランテにより発明されたそうです。
両方の情報が正しいのだとすれば、充電が実現する100年前には「充電する」という概念が存在していたということになります。
◾️カナダでのクマとの遭遇の顛末を書いた記事の内容は?
記事本文を見てみましょう。
クマと遭遇した時にどうすれば良いか、また、引き寄せないためにどうすれば良いか、つまり対処法と予防法を紹介しているのが印象的です。これに対し、日本での報道はクマの恐ろしさやクマとの戦いを強調しがちである気がします。
この記事には、クマを攻撃してしまったために怪我を負った女性と正しい対処法を報じる記事と多くのクマが殺されていることに関しての委員会をこの州が設立したことを報じる記事と、へのリンクが示されていました。
また、幸せそうに水辺で遊ぶクマの動画へのリンクも。
このカナダの放送局やブリティッシュコロンビア州政府は、いかに共生するかを強調しているように見えます。
発信者による報道の違いを感じる記事でした。
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