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scam= 詐欺 | 教科書に出てこないニュース英語 《スペイン・偽セレブ投資詐欺》

アメリカCNNのウェブサイトで、2024年9月24日に配信された記事の見出しで使われていました。

Police arrest five people over fake Brad Pitt scam after two women lost $362,000
警察が、2人の女性から36万2,000ドルを騙し取った「偽ブラッド・ピット詐欺」事件で5人を逮捕

↓より

見出しの通りの内容ですが、いつものように少し深掘りしてみましょう。


◾️'scam'を辞書で引くと

scam [skǽm]  社会人必須レベル
((略式))
━━[名] C 汚い手口,せこいやり口,詐欺
━━[動] 他 …をぺてんにかける
語源[scheme の異形]
派生語 scammer, scamster [名] 詐欺師

goo辞書  小学館 プログレッシブ英和中辞典

社会人必須レベルでした。小説でもないと教科書には出てきにくい単語です。この見出しでは名詞ですが、動詞でも使えることがわかります。

詐欺師を表す単語は2種類。普通に-erがついたものと、-sterがついたものがありました。

この-sterという接尾辞を辞書で引くと

-ster [-stər]
[接尾]
1
…である人
2((しばしばけなして))ある事を職業[常習]とする人

とあります。

次のような例が見つかりました。
rhymester へぼ詩人
youngster 子ども;少年少女;若者
gangster ギャング[暴力団]の一員;不良,悪漢
roadster 馬車の御者
teamster ((米))輸送トラックの運転手;全米トラック運転手組合員
trickster 1詐欺師;手品師 2いたずら好きな妖精[神];いたずら者

語源辞典を調べてみました。
残念ながら、scamの語源は不明とのことですが、1963年には現在の意味での使用例があるようです。

1963年に名詞(「策略、手口、詐欺、だます」)および動詞(「だます、詐欺を行う、詐欺を働く」)として米国の俗語に現れ、カーニバルで使用される言葉で、由来は不明です。19世紀のイギリスの俗語のscamp「悪党、詐欺師」(scamp(名詞)を参照)に関連があるかもしれません。

https://www.etymonline.com/jp/word/scam#etymonline_v_22834



◾️「偽ブラッド・ピット詐欺」事件とは?

記事の内容を見てみましょう。

CNN — スペイン警察は、オンラインでハリウッド俳優ブラッド・ピットを装って2人の女性から合計32万5,000ユーロ(約36万2,000ドル)を騙し取ったとして、5人を逮捕した。

月曜日に発表されたスペインのガルディア・シビル(治安警察)の声明によると、「オペレーション・ブラリナ」と呼ばれる捜査は8つの州にわたり、他にも10人が捜査を受けた。

1人の女性はその詐欺師たちに17万5,000ユーロ(約19万5,000ドル)を騙し取られ、もう1人の女性は15万ユーロ(約16万7,000ドル)を失った。この合計金額のうち、警察は8万5,000ユーロ(約9万5,000ドル)を回収した。

両被害者は、ブラッド・ピットのファンサイトを通じて詐欺師に接触され、彼がさまざまなプロジェクトに一緒に投資したがっていると信じ込まされた、と警察は述べている。

声明には、「サイバー犯罪者たちは、犠牲者を見つけるために彼女たちのソーシャルメディアを調べ、彼女たちの心理的なプロファイルを作成し、その結果、ふたりがうつ病や愛情不足に苦しむ脆弱な人々であることを発見した」と書かれている。

また、詐欺師たちはメッセージングアプリを使ってメッセージやメールを交換し、ついにはWhatsAppで直接ブラッド・ピットと会話していると女性たちに信じ込ませ、ロマンチックな関係や将来の約束を持ちかけたとのことだ。

両女性は、自分がピットだと思い込んでいた人物に何度もの銀行送金を行った末、最終的に詐欺に遭ったことに気付き警察に通報した。

捜査の結果、偽の身分証明書を使って銀行口座のネットワーク(=複数の口座を持ち、それらの間で資金を移動させたり、管理したりする)が作られていたことが明らかになりました。また、「Mule(運び屋)」たち(=犯罪者や詐欺師の指示に従い、資金を自分の口座に受け取り、それを他の口座に移したり、現金として引き出したりする)が少額の報酬を受け取り、自身の銀行口座を通じて資金洗浄を手伝っていたことも判明しました。

ブラッド・ピットからロマンチックな関係や将来の約束を持ちかけられた、と信じてしまったんですね。それを疑えなかった普通でない心理状態につけ込まれたようです。


日本でも有名人が勧めているように見せかけた投資詐欺が報道されていました。スペインでもあるのですね。

SNSの投稿内容から、カモになりやすい、愛情不足の人間を探す、というのが恐ろしいと思いました。

日本の事件でこのような説明はありませんでしたが、たしかに、SNSで感情を発信し続けるとひっかりやすい心理状態にあるかどうかがわかってしまいそうです。


日本国内の報道の例↓

オーストラリアでも↓

ロマンス詐欺への警察庁による注意喚起↓

プロファイリング(ネット上などのさまざまなデータから、個人の好みや性格を予測するもの)の問題点を解説したNHKの記事↓






















































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