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rally=(政治)集会を開く | 教科書に出てこないニュース英語 《ベネズエラ》

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)のウェブサイトで、2024年8月28日に配信された記事の見出しで使われていました。

Venezuelan opposition rallies in Caracas one month after disputed vote
「ベネズエラの野党が、物議を醸した選挙の1ヶ月後にカラカスで集会を開く」

https://www.aljazeera.com/news/2024/8/28/venezuelan-opposition-rallies-in-caracas-one-month-after-disputed-vote

◾️'rally'を辞書で引くと

カタカナの「ラリー」といえば、パリ・ダカールラリーといった自動車レースか、テニスの打ち合いが続くラリーです。

しかし、このニュースは南米ベネズエラで行われた選挙についてのものであるので、どちらとも違うことが明らかです。

辞書を引くと、レースも打ち合いも、意味はありますが、出てくるのは後ろの方でした。

rally1   [rǽli] 大学入試レベル
━━[動](-lied;~・ing)
1自〈人・集団が〉(共通の目的のために)結集する
(人・大義などのもとに)集まる,団結する;〈軍勢などが〉再結集する
1a他〈人・支援・世論などを〉(支持のために/反対のために)結集させる,再組織する;〈軍勢などを〉立て直す
2自〈人が〉(…から)力を取り戻す,回復する,持ち直す≪from≫
2a他〈気力・健康などを〉取り戻す,回復する,〈人を〉正気づかせる,元気づける,奮い立たせる
3自〈株(価)が〉持ち直す,反発する,〈市況が〉活況を取り戻す
4自〈チームが〉(負けている状態から)反撃する;《テニスなど》ラリーを応酬する,(試合前に)軽く打ち合う;《カーレース》ラリーで走る
━━[名](複-lies)C
1 再結集,盛り返し,立て直し
2 ((主に米))(政治・宗教の)(決起)大会,集会
2a (車の所有者の)野外集会,ミーティング,フェスティバル
3 (病気などからの)回復,持ち直し≪from≫
3a 〔a ~〕(景気・株価などの)回復,反発,盛り返し
4 《テニスなど》ラリー,ウォーミングアップ;《ボクシング》打ち合い;《野球》猛反撃,大逆転;(公道などでの)自動車ラリー(rallye)
語源[原義は「再び参加する」]

goo辞書 - 小学館 プログレッシブ英和中辞典

文脈と、文法的には3単現のsがついた形かつ目的語がないことから、
1自〈人・集団が〉(共通の目的のために)結集する
が、ここでの意味です。

また、関連して、名詞で、政治や宗教の決起集会という意味もありました。

語の成り立ちは、re-(再び)+ally(連合する/協力する) です。

なお、
oppositionは、「与党に対しての野党」
disputedは、「異を唱えられている、係争中の」
という意味です。

◾️ベネズエラの大統領選挙、野党は選挙結果の不正を指摘するも、政府の弾圧により苦戦

サブタイトルは、

Opposition leader Maria Corina Machado says President Nicolas Maduro is becoming ‘more isolated’ after election.
野党指導者マリア・コリーナ・マチャドは、選挙後にニコラス・マドゥロ大統領が「より孤立している」と述べた。

日本の新聞でも国際面で報道されている、ベネズエラの大統領選挙に関する問題です。

記事本文の内容は…

・ベネズエラのニコラス・マドゥロNicolas Maduro 大統領に対する反対派は、彼が先月の選挙後に権力を強化する中で、抗議を再燃させようと街頭に繰り出した。

・首都カラカスでの水曜日のデモは、マドゥロが勝者と宣言された7月28日の選挙から1ヶ月後に行われたもので、反対派候補エドムンド・ゴンザレスEdmundo Gonzalezや国際的な非難が投票の透明性の欠如を指摘していた中でのものだった。

・水曜日の抗議活動は、以前のデモよりも規模が小さかったものの、他のラテンアメリカの複数の首都でもベネズエラ人のグループが集まった。

・選挙後にゴンザレスと共に身を隠していた野党指導者マリア・コリーナ・マチャドMaria Corina Machadoは、再び姿を現し、「自由!」と叫ぶ支持者たちに応えた。

・マチャドは、マドゥロを権力の座から引きずり下ろすという困難な課題を認識し、彼女が率いる運動が追加のデモを呼びかける際には戦略的に行動すると述べた。しかし、マドゥロに対する国際的な圧力がすぐに収まることはないと語った。

・「時間がマドゥロに有利だという人たちは間違っている」とカラカスの大通りを埋め尽くした支持者たちに語ったマチャド。「毎日彼は、ますます孤立し、ますます毒性を帯びている。」

水曜日の抗議の後、反対派のビアッジョ・ピリエリBiaggio Pilieriが逮捕されたとロイター通信は報じた。

◾️背景・関連情報
反対派の主張とマドゥロ支持者の主張

・数週間にわたるデモの間、反対派のスローガンは一貫しているものの、これまでのところマドゥロを権力から引きずり下ろすには至っていない。反対派は、マドゥロが選挙の不正を暴露するために、各投票所からの結果を公開するように要求している。

・「投票記録がマドゥロの勝利宣言を無効にする」が、反対派の最新の抗議活動の呼びかけ文句だ。彼らは、体制擁護派の最高裁判所が出した先日の判決と矛盾する集計用紙の数千枚を収集してオンラインに公開した。

・マドゥロの支持者も水曜日に自分たちの集会を計画し、彼の勝利を「守る」と誓い、南米全土に不安を撒き散らそうとしていると主張した。

反対派への政府の圧力
・隣国コロンビアから報告するアルジャジーラのアレッサンドロ・ランピエッティによれば、ベネズエラの反対派が大規模な集会を組織するのが「ますます難しく」なっているとされている。政府による取り締まりと活動家に対する逮捕キャンペーンが影響しているとのことだ。

・「マドゥロ政権に対する大規模な市民動員の希望が徐々に消えつつあるという感覚がある」とランピエッティは述べた。

・人権団体フォロ・ペナルForo Penalによれば、約1,780人がベネズエラで政治犯として拘留されている。

国際的な圧力への政府の対応
・マドゥロは、南米の左派リーダーたちを含む国際的な呼びかけに反して、投票の集計結果を公開するか、新たな選挙を実施するよう要求されているにもかかわらず、これを無視している。

・その代わりに、今週初めに内閣を再編し、忠実な支持者たちを政府の重要なポジションに昇進させた。

選挙までの現政権とアメリカ合衆国の対応
・マドゥロは2013年に左派の指導者ウゴ・チャベス Hugo Chavezの死後に権力を握ったが、彼の在任期間は経済的および政治的な危機、そして独裁主義の非難に彩られている。

・2019年、アメリカ合衆国とその西半球のいくつかの同盟国は、反対派指導者フアン・グアイドJuan Guaido をベネズエラの正当な大統領と認めた。

・その同じ年に、ワシントンはカラカスに対する広範な制裁を拡大し、ベネズエラの経済問題を深刻化させ、何百万もの人々が国を離れる原因となった。

現状のまとめ
・先月の選挙は、反対派にとってマドゥロを平和的に転覆させる希望を提供したが、現職のマドゥロはすぐに勝利を宣言し、51%の票を獲得したと主張しました。国の選挙当局はマドゥロに賛同した。

・しかし、反対派は独自の集計結果を発表し、ゴンザレスが大差で勝利したと主張している。

https://www.aljazeera.com/news/2024/8/28/venezuelan-opposition-rallies-in-caracas-one-month-after-disputed-voteをもとに構成

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選挙の集計に操作が行われるなどということは、以前はありえないと思っていましたが、前回のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が「結果を認めない」と主張したあたりからその考えが揺らぎ始めました。(トランプ氏を支持するわけではありません。「そういう文句の付け方がありえるのか!」と驚きました。)

選挙不正の有無を判断する裁判所が政府支持派である、投票所別の集計が公表されないとなれば、「お手上げ」状態です。権力の分散と正義の堅持、生の数字の公表の大切さがわかります。

また、政府に反対する活動家の大量逮捕と聞くと、少し前の香港の様子が連想されます。

「選挙に力があるうちに専制政治に傾かないようにする」必要を強く感じました。






































































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