3/31

夏だ。高校生の頃を思い出す。こんな空気だったと思う。懐かしい。一人きり。親は帰って来ない。短い付き合いだったのかもしれない。以前はもう少し。以前はもう少し。以前は暑かった。今日は夏だ。夏は昨日だ。明日は夏だ。今も夏だ。夏のカメムシ二等兵がバス乗り場の地面を行進する。そして誰に気づかれるまでもなく踏み潰される。死体を見下ろす、バスの窓から。以前はここでスズメガの知らせを受けた。ヨナグニサンが死んだわけだけれど、その挨拶にスズメガを停滞させたらしい。不思議なこともあるものだ。虫は霊的か。繰り返される同じデザインの模様をした蜘蛛の巣や蝶の羽。それらはユングの曼荼羅と似ているかもしれない。曼荼羅がなんのためにあるのかを知らない。マダライモリなら飼ったことはあるよ。緑の苔の色をした可愛いやつ。落合陽一はピラニアを飼っていた。その頃僕はアマガエルを観察していた。その時代の日々は、その時代はとても楽しかったと思う。祖父母のことなんて大して苦じゃなかったし、楽しいことがたくさんあったよね。コンクリートの地面に頭を打ちつけて気絶したことで霊能が開花したわけでもなく、僕は普通の子たちと距離をとりながらも友好的な関係でいた。その後の生活と比べたら信じられないほどに僕は普通の環境で過ごしていた。犬夜叉をみんなは見ていた。僕はうる星やつらに夢中だった。妹はらんま。ふあ、ねむい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?