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猫と暮らせるシェアハウスを見てきた。猫と暮らす予定はないけれど、他の住人の飼っている猫と触れ合えたら嬉しい。僕の猫は7年前の一月に死んだ。夜中に咳が止まらなくなって翌日の夕方に意識を失った。最後は苦しかったろう。僕はあまり真剣に向き合わずに病院へ行くのも遅れた。あんなに可愛がっていたのに、死ぬ時は注意していなかった。ドトールで百合漫画を読んでいた。その頃、ミミは咳を始めたと思う。もうミミのことは覚えていない。時々夢で会えるけれど、記憶が失われている。何年もの間の記憶が欠落している。タマについつも忘れている。これは解離性健忘というらしい。苦痛から身を守るために働く防衛規制。僕は思い出したい。失われたままでは欠けた胡桃だ。胡桃は脳みその形をしている。脳に欠けている。胡桃を主食にしていた時期がある。缶コーヒーを二缶、胡桃を一袋。メープル胡桃だ。シナモロールの巾着に入れて学校に持っていく。人からは気持ち悪いと言われた。その頃の僕はきゃりーと大森靖子とアーバンギャルドとシナモロールにハマっていた。頭が水色になって、服装も派手だった。たぶんストレスに耐えられずにそうなったのだと思う。破滅的な人間関係を楽しみ、よく教室で騒いでいた。普通の人はやり遂げられるけれど僕には無理だった。だから変に思われた。全部演技だってバレた時のように。僕は子供の頃から演じている。そして空虚感のなかにいる。中身がないって思われていた。ただ苦しんでいただけだ。人はピエロを嘲笑する。僕は社会に虐げられる。ピエロは笑うだけ。どんなに殴られてもただ笑う。それが男性加害者たちへの壮絶なる復讐劇を産むとも知らずに。覚悟しろ。暴漢者たち。

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