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雪の広場
ここには音がない。ただ雪が降り、空は灰色をしている。地面には雪が積もり、人々はただ空を見上げている。誰も何も話さない。広場で人々が等間隔に立ちすくみ、ただ空を見上げている。灰色の人々だ。噴水があって、僕は時々地面を見つめる。ここが死後の世界なのかもしれない。幼少期に何度か見た世界。

白いタワー
診療所の裏道を彷徨う夕方にいる僕は疲れ果てながらも、なんとか受付にまで辿り着く。どこから来たのか分からないと告げると、白衣を着たスタッフたちは慌てて屋上へと案内する。屋上は日差しが強く、タイルはプールに敷いてあるそれのようにも見える。3つの小さな温水プールが備え付けられていて、その中に貴族の服装をした人たちがくつろいでいる。僕は屋上の端まで歩き、そこから下を眺め下ろした。すると下界には雲海が光っていた。ここは雲の上にまで高さのある、とても高いタワーだったのだ。雲海はどこまでも続き、太陽の光を浴びて光って見える。試しに雲海へ目掛けてダイヴしてみる。すると勢いよく落下することなく、僕は空を浮遊しながら、ゆっくりとタワーの側面を見つめながら、下へ下へと降りていく。タワーは白いブロックが重ね合わされて建築されているようでいて、僕はそのブロックをいくつか外してみた。するとタイルの中に少女が眠っていた。ピンク色の髪をした美少女の死体が埋葬されていた。その美しさに圧倒されて目を覚ました僕の額には、カーテンから漏れた真夏の日差しが照らされていた。輝く雲海のイメージの元になったのだと思う。天空のタワーへは夢を通じて訪れることができそうだ。

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