昼2/18

5歳の頃に海で黒くて長い魚を捕まえた。プラケースに入れて観察していた。魚は泳ぎ回る。ウツボのように長い体をしている。その魚はお店のおじさんに奪われた。魚を大きな水槽に入れられて今度来た時にまた会えるよと父親に諭されて帰った。
別の日。父親の幼馴染たちと河にバーベキューをしに出かけた。河岸で黒いロブスターのゴム製ルアーのようなものを拾い家に持ち帰った。汚かったので捨てられたが黒くて柔らかいロブスターはお気に入りだった。
別の日。崖から飛び降り空を飛んだ。パラグライダーだ。苦しい日々に抜け道を見つけたように感じた。崖を走って空に浮かんでパイロットの操縦するパラグライダーに浮かんだ。10分間も飛行は続き最後は勢いよく地面に降りて走った。教習所に通おうとしたが高校生活があるのでキャンセルした。
別の日。箱根の山をロープウェイに揺られながら眺めた。白い山。雪で白く染まっている。空気もぼんやりとした薄い白をしていて幻想的だった。山はそこにあるだけで神聖な感じがした。家での先に訪れた景色だった。今でもまだあの地へは向かっていない。立ち入ってはならないような気がする。10代の頃の思い出の地。隣の駅には噴水のある植物園がありそこも彷徨った。いつでも思い出せるように離人症の症状が出るのを保ったまま歩き続けた。おかげで今でもその地に戻れる。離人症は時間を越える。

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