#48 顧客の解像度を上げろ
2024年5月30日、Podcast番組「Oh my week」第48回を配信しました。
今回は「顧客の解像度を上げろ」についてお話ししました。
↓AIによる文字起こしは下にあります。
西野誠 / にしのまこと
株式会社Oh my teeth 代表取締役CEO 1994年生まれ。学生時代に物流スタートアップ「オープンロジ」にて創業期を経験。新卒でワークスアプリケーションズに入社し、大規模基幹システムの開発業務に従事。2019年10月、株式会社Oh my teethを共同創業。Onlab21st優勝。ICC D2Cカタパルト2022優勝。ICC DXカタパルト2024優勝。Forbes NEXT100 2024選出。
Nishino:おはようございます!Oh my teeth代表のNishinoです。
Akari:Akariです!Oh my weekは1週間で見つけた「Oh!」な出来事・トピックを緩く掘り下げビジネスや日常のヒントを探っていく番組です。はい、木曜日おはようございます。前回、大阪のインターン説明会&焼肉会っていうことを話していましたよね。その時にユーザーヒアリングについて結構面白いヒントがあったと思うんですけど、他にビジネスに役立ちそうな会話とか質問とかありましたか?
Nishino:ビジネスに役立つか分からないですけど、 「こういう風にしたい!」「こういう教育をしたい!」という教育系の企業の方が多かったです。なので一見ビジネスライクではなかったです。
Akari:そうなんですね!
Nishino:そこへの悩み相談はありました。「どうやって拡大するの?」とか「児童養護施設の原体験からこうしていきたい」とか、すごい熱くていいじゃんと思ったりしました。他には悩みじゃないけど、「投資家さんと話すとどうなるの?」とか結構聞かれました。そこでパッと思ったのが、Oh my teethも一番最初の原型は「日本の歯科業界を変えます!」みたいなピッチで、Open Network Labさんというところに出したんですけど、書類審査で落ちてプログラムにすら参加できませんでした。ほとんど今の形と変わらないけど、1年後にもう一回出してみたんです。その時は当初よりOh my teethのビジネスを少し始めていて、ユーザーさんも売上も少しついてきたタイミングで出したらプログラムに参加して優勝したんです笑
Akari:なんですかその手のひら返し!笑
Nishino:いや、それ絶対言っちゃダメだと思う笑
絶対手のひら返しとかではない!笑
Akari:すみません笑笑
Nishino:手のひら返しとかそういうことを言いたかったわけではなく、伝えたいことはそれとは違うんですよ!笑 だって「こうしたい」と夢だけ言ってるようなものじゃないですか。「データテクノロジーを活用した新しい歯科矯正を生み出したい。だから、〇〇をすれば〇〇のような課題が解決できます」と。でも、それを言ってる人はかなりいるんです。メッセージとしては、そういうアイディアは自分しか思いつかないって僕もよく思っちゃうけど、実はそんなことはないんです。人口が1億人以上いるわけで、あなたができる保証もないということです。といことは落とされて当然であり、逆の立場でも同じことを考えていると思います。では、「なぜ1年後に優勝できたのか?」というと、決定的な違いは、実際にアイデアを実行した人、店舗を作った人がいなかったということです。仮に同じアイデアを持っていた人が全国に約1万人いたとしても、実際に実行した人は数百人に一気に下がると思います。*アクセラレーターは、流石に1万人に1人の逸材を見つけるとは思っていないと思うんです。結果的にそうかもしれませんが。
*アクセラレーター:スタートアップ企業や新興企業を支援するプログラムや組織のこと。資金提供、メンタリング、ネットワーキングの機会を通じて、事業の成長を加速させることを目的とする。
Akari:はい。
Nishino:イメージでは、ざっくり上位何%に入ってる人だったら通すみたいな気がしています。 そのように考えると、しっかり売上を出した瞬間にグワッと上がったっていうイメージです。
Akari:「アイデアだけでなく、実際に行動し続けて実績を出した」
行動しないと結局ダメだということですね。
Nishino:そうだと思います。だから、今皆さんが夢があり信じられるんだったら拡大するかどうかわからないとしても、まず1店舗でも実行することが大事だと思います。良いなと思ったなら、良いじゃないですか。それを色々言われて、拡大しないからという理由でやめるとかではなく、1店舗まず作ってみてください。それで周りが「良い!」となったら、仲間が出てくる可能性もあると思うんですよ。Oh my teethで言うと、1店舗目のタイミングでCOOの大地さんが入ってくれて、2店舗目は大地さんが作ってくれました。だから良いものであれば、「大きくしたい」「もっと増やしたい」という人は絶対出てくるっていう話だと思っています。
Akari:Nishinoさん的には「一回やってみなよ!」っていうスタンスなんですね。
Nishino:そう。ただ、1個前の話が繋がってくると思っていますが、本当にやりたい、やることが目的なんだったらそれでもいいと思うんですけど、その先に「何かを変えたい」とか、「誰かの課題を解決したい」「 誰かの悩みを解決したい」のであればそこに課題がないものをやっても意味がない。…とは言わないけど、限られた時間、自分の時間を投資するのであれば、もちろん成功させたいですよね?そうであれば一回立ち止まってインタビューなどをしてみる。「本当に課題なのか?」「本当のインサイトはなんだろう」「解決すべき課題はなんだろう」と解像度を上げる必要がある。 これを前提として向き合うべきだと思います。
Akari:なるほど〜!
Nishino:闇雲に「何でもやってみたらいいじゃん」というのは無責任だと思ったので、目の前の1人がそれがあると解決する、助かる、そのぐらい落とし込んで解像度を上げる必要があると思います。
Akari:Oh my teethの場合でいうと、どのようにどう進めていったんですか?個人的にNishinoさんが「課題はこれだな」と思いユーザーヒアリングをしたのか、それとも同時並行で進めていたのか。
Nishino:後者に近いですね。でも、常に疑いつつという感じでした。趣味的に3Dプリンターを使ってマウスピースを作るというのは、後々絶対気になるから試したりはするけど、「これができたから絶対作ろう」とはならないようにしました。常に「これは趣味で終わるかもしれない」と頭の片隅に置きつつ、「これはもうダメかもしれない」と思いながらもユーザーに試してみる、そんな感じでした。絶えず「このマーケットはないかもしれない、別のビジネスやろうか」みたいな話は結構あったんですよね。
Akari:今はプレゼンで何千億円の市場みたいな話がありましたよね。
Nishino:そう、実際に調べたら3,000億円はありました。今はポテンシャルユーザーとして少なくとも1,000万人くらいいるので、4,000億円弱はあるなと信じています。当時は存在してないっていうのはマーケットは狭いかもしれないと思っていたので、「本当にこれ買うのかな?」と聞いてました。健全な懐疑心って言うんですかね。
Akari:建設的に、本当に課題があるのかをちゃんと見極めるということ。
Nishino:そう、思考法のシックスハットに繋がる気がします。
Nishino:ただ、作り始めると*サンクコストも相まって、「正しいだろう」と思ってしまい、後から苦しくなることがあります。引き返せないからやろう、というのは一番危険ですよね。だからこそ、ユーザーに聞いて「本当に買いますか?」と尋ねたり、他社の製品でもいいじゃないですか、といったことを確認することが大切です。「それだったら矯正しかないんじゃないですか」と言っても、ユーザーが「いや、それでも欲しいんです」と言ってくれるのが理想ですね。今思いましたが、自分にあえて自信を持たないことで、課題に近づける気がします。
*サンクコスト:「埋没費用」のこと。 製品開発や新サービスなどの事業に投じた資金・労力などの資本のうち、その事業を中止・廃止しても回収が見込めない費用。
Akari:自分が作れば作るほどプロダクト愛はこもるし、「これがいいんだ」という思いが強くなっていくと思うんですけど、それこそ健全な懐疑心って 本当に重要ですよね。
Nishino:そうだと思います。でも、これがビジネスじゃなくてアーティストや作家とかクリエイターであれば、中立とか客観性ではなく「表現したい」でもいいと思う。だけど僕の中では「とにかく多くの人に使ってほしい」「使って驚いてほしい」というのが常にあるので、そう考えると独りよがりになったらみんなに使ってもらえないと思っています。だからこそ今受け入れられるかなっていうことも慎重になって考えています。同時に「新しいもので驚かせたい」という思いもあるので、新しい要素とかデザインとかを入れつつもちゃんと受け入れられるかっていうのは行ったり来たりすることが大事だなと思います。
Akari:なるほど、大事ですね! 聞いてくださってる方で「なんかやりたい」と思ってる方も多いと思うので、 まずは「やって事例を作ってみる」というところと、その上で「ちゃんとユーザーヒアリングしているか」の2つの視線っていうのはめっちゃ大事だなと聞いていて思いました。ユーザーヒアリングについては前回の話もぜひ聞いてほしいです。
NIshino::最近Oh my teethでは「Oh礼」という朝会をやっているんですが、そこでは全ストアとオフィスを繋いで、「昨日あって良かったこと」や「昨日からの気づき」「今日頑張りたいこと」などを共有する場所があります。そこでマーケティングチームやセールスチーは「ストアに行ったりしてユーザーにヒアリングしてるんですよ」というのを聞きます。普段広告はオンラインの仕事で完結するんだけど「直接聞く」ということをして、「想像とか仮説では全然思いつかなかったインサイトがユーザーさんから聞けました」とか 「事実が聞けました」とか。
ここで言いたいことは、もし「課題見つけた、次はだ」みたいな感じでフェーズのように考えることも僕はあったんですけど、 そうではなく、常に市場もマーケットのトレンドも変わって、絶えず終わりとかなく、やり続けてるなって 5年間思っています。
Akari:はい、じゃあ今回はこの辺でということで今回もお聞きいただきありがとうございました。 Oh my weekは毎朝8時に配信しております。ぜひぜひYouTube、チャンネル登録してお聞きいただけると嬉しいです!
Nishino・Akari:本日もお聞きいただきありがとうございました!!!
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