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4万円の座布団

腰痛、というには大げさだけれど、腰回りの筋肉がずっと緊張している状態というか、とにかく肉離れになりそうでならないようなムズ痒さと突発的に走る電流のような背中の痛みに、危機感を覚えていた。
一緒にネットゲームをしながら通話をしていた友人達になんとなくその話をしたら、そのうちの一人から「それギックリ腰になる前兆だよ。」と言われた。友人はつい最近ギックリ腰で動けなくなったばかりの、いわゆるギックリ腰サバイバーである。
友人いわく、ギックリ腰というのはある日突然なるのだけれど、突然といいつつよくよく思い返したら僅かに前兆があるものらしい。それが前述したような腰から背中付近にかけての違和感なのだと。経験者がいうのだから、これはいよいよ笑えない。何か対策しなければと思った。
とりあえずサバイバーに「まず何をしたらいいかな?」と聞いたら、「ギックリ腰になると身動きがとれなくてトイレにも行けなくなる。うちには尿瓶があったからよかったけど、それが無いのならあまり水は飲まない方がいい。」と言っていた。絶対に参考にしたくないアドバイスだった。

とにかく姿勢が悪いのは自覚している。
猫背。肘をつくクセ。椅子の上にさらにあぐらをかいて座るクセ。
40符3翻5200点、親なら7700点である。
ぱっと思いつく対策は良い椅子を買う、というシンプルなものだった。

しかし私でも名前を知っているような良い椅子というのは総じて高い。20万は軽く超えてくる。しかも20万もするのに身体(とくに女性の)に合うか合わないかは、結局1週間くらい使ってみないとわからないとも聞く。
レンタルするという方法もあるにはあるけど……。
仮に20万以上もする椅子が家にきたらどうなるんだろう。椅子が生活の中心になる気がする。きっと私は何をするのにも椅子の顔色を伺いながら、椅子の機嫌を損ねないように、椅子が望む行動しかとらなくなる。

「えーっと…1ページ3千円ですか…?私は良いですけど、椅子はなんて言うか………。」

とんでもなく劣悪な条件の仕事の依頼がきても椅子のおかげで断れるかもしれない。じゃあ良いじゃん。いや良くない。普通に断れ。
とにかく椅子に自我を乗っ取られるのはごめんだった。

そこで信頼できるフォロイーから教えてもらった、現在既に使っている椅子の上に敷けるクッションを購入することにした。

写真貼るとダイレクトマーケティング感がすごい。

ザ・アウル 3D ハイエスト

38,500円 約4万円する座布団である。これだって私が普段買うような商品の中では抜群に高いほうだが、ギリギリ一括経費で落とせる自我を保てる値段だった。

そんなこんなでこれをタンスのゲンで買った1万円の椅子の上に敷いて使っている。合計5万円の椅子。

結論からいうと…かなり良い

これ+腰痛予防ストレッチなんかもしてるけど、最近は背中から腰にかけての妙な緊張感はかなり改善された。
薄いのに、座っていてもお尻が痛くならない高技術のクッション素材に加え、微妙に傾斜がついているので、今までクセになっていた、椅子の上でのあぐら座りや体育座りといった腰に負担をかける姿勢が、半ば強制的にとれなくなるのが大きいのかもしれない。腰にいい姿勢が一番楽なのだ。
そう、まるでエクスジェルが、「こうやって座らないとダメだよ」って身体に直接語り掛けてくるみたいな感覚。ある日目が覚めたとき、腰の下にはエクスジェルが敷いてあった。ある時にはダイニングの椅子。そしてある時には車の助手席。
いつからだろう…遠くの方で家族の声がする。
エクスジェルが今日もまた、ダイニングの椅子の上にある。
いつのまに移動してたんだっけ。
おかしいな…
家族と楽しそうにご飯を食べているのは……

私じゃなくて……




※エクスジェルは持ち運べるのも便利です

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