見出し画像

9 シリーズ_昭和の話 『あとにも先にもこの1本だけ』 ~まずいのにハマった冒険活劇飲料~

「なんだか怖いんだけど見入ってしまう」鮮烈な印象だった。ビデオ(我が家には無かった)も、ましてやyoutubeもない当時。CMに出会えるのは、偶然出会えるスポット枠がメイン。当時、この会社(サントリー)の提供枠もあったはずだが、1930ルール(19時30分以降テレビを見てはいけない、親父がテレビ屋とは思えない大森家の残酷な掟)を背負う中学生には、それを狙って見れるほどの余裕はなかった。

https://www.youtube.com/watch?v=eqk9St8ojbI

これがそのCM。サントリーの「サスケ」なる飲料。キャッチコピーは、『コーラの前を横切る奴、冒険活劇飲料「サスケ」』。もちろん飲んださ。当時は(歳取ったみたいでいやだなぁ)300mlのスタイニーボトルという少し太っちょの瓶があってね(懐かしいと思うあなたは御同輩)。

画像2

で、この「サスケ」何がすごいって、まずいのよ。(でも大好きなんだよ、でもまずいのよ。)コーラには遠く及ばず、ドクターペッパーほどのフルーティーな中毒性もなく、まずい方にのみパンチが利いている。(開発者の方、すみません)

本商品、1984年デビュー。当時14歳ぽっちの僕ですら「これは売れねーだろ」って思った。でも、このCMがあまりにも群を抜く会心作で、酒屋でみた販促ポスターを、サントリー広報部に電話して送ってもらったほど。(当時はやったステッカー集めの経験が功を奏した)届いたポスターは部屋に貼っていた。

大人になってからwikiで調べたらこのCM、やはりただ事ではなかった。CMディレクターは川崎徹氏、コピーライターは糸井重里氏、アートディレクターに横尾忠則氏、音楽には坂本龍一氏が起用。忍者はなんと仙道敦子さんであった。オープニングの♪ジャーン、という音から心をわしづかみされ、宣教師or警察官の「なに?サスケ?」で中毒性を増し「コーラの前を横切る奴」のナレーションで「横切るだけかい。立ちはだからんのかい」と突っ込みつつ味を知ってからは、この「横切り」に納得し、意味不明な「冒険活劇飲料」のキャッチに唖然とし、謎な女の笑い声で恐怖が増し、CM最後の画面1枚撮り切りの「つづく」で「これは、つづかなそうだなぁ」としみじみ思う。

endサスケ

当時、たった15秒のCMにここまで心を揺さぶられた。

上記のyoutubeは、『当時でもめったにお目にかかれなかった豪華30秒版』だが、スポットで目にしたのは警察官or宣教師の15秒ver.であった。

警察官

宣教師

この2本のCMそれぞれの存在に対して「つづく」だとしても、広義に解釈すれば正しいのだが(真面目に書くことか…?)、14歳の僕にとっては、「このCMの続編が見たい」との想いだけで、味がいまいちなこの「サスケ」を月1000円のお小遣いを工面して、部活帰りに飲み続けたものだった。


で、落ちがついた。とっとと(ハム太郎ではない。こういうのを無駄書きという)発売終了。やはり「つづく」は幻と化したのであった。

最後に、これだけまずいと言いつつ、それでも「サスケ」の名誉のために言っておくが、当時、コーラには付き物だった「リン酸」と「カフェイン」を入れずに、この飲料を仕上げたサントリーの大健闘は大いに讃えたい。(大きなお世話でしょうね)サスケ愛好家でオフ会したいくらいだ。


<オマケ>全く持って余談だが、まずくてハマらなかった昭和の飲料はこれです。これについては特に書くことなし。

ウイリー



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?