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NOL開幕戦を観戦した小考察

4月2日にオセアンBCスタジアム彦根で日本海オセアンリーグ(NOL)が開幕しました。
自分は滋賀ファンですから、新リーグの開幕初戦のホームゲームという事で、不安半分喜び半分で8:40に現地入り。
ほぼ一日、球場内外で過ごしたわけで、そこから見て感じた事をNOLのスタート地点という事で半分備忘録のような形で残しておきたいと思います。

第1試合観客動員711人の評価と考察

第1試合観客数711人。
「新リーグの船出には寂しい数字」というのが一般的な評価だと思いますし、自分も少々寂しいと思います。

ただ試合前の自分の評価としては「1000人入れば上出来」と思っていて、
滋賀ファンの友人たちも似たような事を言っていました。
要因としては主に以下の3点だと思います。

①そもそも滋賀ファンが少ない
この711人という観客数は、実はコロナ以降では滋賀球団最多の数字。
またホーム開幕戦に限定すると、チーム創設1年目に次ぐ数字です。
昨年の実績で言うと守山でのホーム開幕戦が450人、独立リーグファン(というか滋賀と武蔵ファン)の間で語り草となっている守山でのプレーオフですら490人という状態でした。
(守山は球場のキャパが少ないのでこの人数でもそこそこ盛り上がって見えるのです。)
それほどファンが少ないのです。

②ゲストを活かした広報の不足
今回の開幕戦のゲストとして三代目JSBのELLYさんが発表されたのが3/24でした。
開幕の10日前、発表時期自体は遅くないと思います(欲を言えば2週間前かなぁとも思いますが)。
ただ、その後の広報が後手後手に回ってしまった感があります。
基本的に手が付けやすい広報はSNSが主戦場になろうかとは思いますが、LDH(EXILEや三代目JSBの所属事務所)ファンが主に利用しているであろうと思われるInstagramでの広報が驚きのゼロ。
これでは届くところにも届かないだろうなぁ、という感じでした。
芸能界はいろいろ制約があると思いますが、色々と課題はありそうです。

たびたびアイドルや声優をゲストにした際、出番が終わると、ファンはタレントの出番の後に球場を後にしてしまう、という話はたびたび聞きます。
ただ、今回そのような人がどれくらいいたかと言うと、それほどは多くない印象でした。
自分が4回裏くらいに球場コンコースからふと外を眺めていると、ちょうどELLYさんが帰られるタイミングだったのですが、そこで出待ちをしていた方は20人ほどでした。

③価格が高い
新規ファンを獲得するのに大型ゲストというのは理屈は分かります。
ただ、そのために前売り1人2700円は少々高いイメージ。(当日のペアチケットでも一人頭2000円です)
大津市民なら甲子園に行って、外野で試合を見て帰ってくるのと、電車賃込みで概ね同じ価格になります。
おひざ元の彦根であっても、未知数の野球リーグにそれだけの時間とお金を使うことができるかと言うと、やはり難しいと思います。
他方、独立リーグと消費において補完的な関係にあるNPB(いわゆるプロ野球)や高校野球の価格と比べても相対的に高いと思います。
広くマスメディアを通して人気のあるELLYさんですから、草の根的に彦根市民を対象に何か打てる策があったと思います。

第2試合の観客動員161人の評価と考察

第一試合終了後、自分は友人と彦根城観光に向かいました。
twitterでどなたかが第1試合と第2試合のインターバル間の客席の画像を上げられていて、
お客の少なさを嘆いておられましたが、まさに自分も球場を去る前に「これは第2試合は悲惨な事になりますね…」とまわりにこぼしながら球場をあとにしました。
第一試合も3時間30分くらいありましたしね。

彦根城の観光があらかた終わり、3回裏くらいに帰ってきてみると「あれ?意外と人がいる」と驚きました。
平日デイの彦根のホームゲームくらいの数はいるのですから(飼いならされた滋賀ファンの感想)。
滋賀ファンが目立ちました。
場内をぶらつきながら、何人かに話を聞いたところ「純粋に野球が楽しい」「入れ込まず見れる」「富山・石川の新戦力もチェックしておきたい」「たぶん途中で帰る」そんな感じの感想が目立ちました。
そして多くの方は、自分と同様に第1試合の後に、球場外をふらついていたようです。

あとは石川・富山の選手家族と思われる方々。
石川・富山所属で関西出身の選手のご家族は以前からもよく来られてますね。
いや、選手家族が目立つようじゃ興行としてどうなんだという話はありますが…。

この第2試合はセントラル開催の課題だと思います。
この日の彦根開催にしろ翌日の福井開催にしろ1時間30分というのは、なんとも手持無沙汰な時間です。
せめてヒーローインタビューが終わると、間もなく第2試合のスタメン発表、そして練習が始まるくらいのスピード感があれば、退屈もしのげるかもしれません。
夏場の避暑対策は必須ですね。

BOSSKについての考察

トラブル続きの試合配信アプリのBOSSK。
おそらく今後も改良が続けられると思うのですが、準備不足は否めないですね。
ただそのトラブルについてからの対応を示してくれるのは、すごく良いと思います。

配信を見るのが有料会員限定というのは、議論の余地がありそうです。
既存のファンでリーグやチームに対するロイヤリティ(直訳は忠誠度。ニュアンスとしてはファン度・ハマり度)の高い層が、当面は加入することになるでしょう。
彼らのロイヤリティの前提は何かというと、今までの観戦経験に支えられています。
つまり一定のロイヤリティの高い層を吸収しつくしてしまった後は、基本的には現場で観客を増やして、そこをファンに取り込みBOSSKの有料会員にするという導線しか現在はありません。

他方、他の独立リーグ、BCLや四国ILはyoutubeや応援TVを通して無料で配信を行い、しかも過去の試合も観戦できます。
新たに野球ファンが「独立リーグを見よう」と思った時に、BOSSKにはアプリのインストールに加え、課金をするという2つのハードルがあるのに対し、他方、既にインストールされているyoutubeで無料で見れるわけです。
NOLに十分な魅力を感じさせない限り、基本的にBCLや四国ILの中継を見ることになると思います。
つまり、新規ファンがBOSSKの配信を入り口に球場にくることは、ほぼ起こりえないわけです。

30代ともなると「まあ試しに480円くらい試しに払うか」という動機が沸くこともあるでしょう。
ただ若い層(Z世代)に関しては踏みとどまる価格です。
この層を取り込めないと、今後の発展はより難しくなります。

アプリのインストールという障害は目をつぶるとしても、無料の試合コンテンツは作るべきです。
例えば、ライブは有料会員のみ、無料会員は翌日からアーカイブで視聴可能、なようにです。
理由としてはロイヤリティの高いユーザーの方が、よりライブ感を求めるためです。
サーバーの通信コストを考えるのであれば、無料公開は直近10試合と過去の名試合くらいでもいいかもしれません。
しっかり入口を作って、観戦と有料会員につなげる工夫が必要だと感じました。

BOSSKの将来性ということになると、配信画面の下部に様々仕込めそうです(おそらくそのように動いていると思いますが)。
現在はスコアボードと出場選手が表示されていますが、スコアボードの過去のイニングをタップするとそのイニングがどのような経過をたどったか確認できたり、選手名をタップすると選手のその日の結果だけでなく、通算成績が確認できたり、さらに過去の活躍の動画とか見れたらファンとしては最高ですね。
こうしたことができると、唯一無二の野球配信アプリになるでしょう。

失われた一球速報

一球速報.comは偉大でした。
試合中、応援席では一球速報を求める声が度々上がっていました。
試合後、twitterを確認すると、そちらでも同様の声が。

一球速報は観戦にも役立っていたのです、主には先発の球数、対戦経験の少ない相手の選手の情報、これまでの経過の確認…。
コアなファンはこれらの情報をもとに、現地観戦をより楽しんでいたわけです。
試合後の帰路でも一球速報を見ながらあーだこーだ言いながら仲間と車を走らせ、いろいろ思いを巡らせながら電車に揺られ家路についていたのです。

今からでもできないかなぁ一球速報…。

言いたいことは現場で言えるNOL

試合中、リーグ代表や球団代表が場内をうろついているのが独立リーグです。
NOLも例外ではありません。

彼らはお客さんではなく主催者です。ゆえにお客さんの気持ちを100%分かっていません。
ただ、お客さんの気持ちを理解したいとは思っています(と私は思ってます)。

自分も思うことがありましたので、場内で歩いている滋賀の松山代表に代表には労いながらも感想を伝えさせていただき、
リーグCEOの黒田さんには体調を心配しながらも、決して耳あたりの良くない自分の評価を伝えさせていただきました。
昨年のプレーオフでは、武蔵ファンがリーグ分裂について黒田さんにその思いを確認し、わだかまりを解消したという出来事もありました。

啖呵を切って分裂したのだから、それなりの質のものを提供しろ、という理屈も分かりますが、
そうはならなかった、という現実に対し、そこに彼らにとって新たな気付きがあると信じて、しっかり生の声を誠実に届けること、そしてそれができるリーグだと思います。

ファンとのコミュニケーションと誠実な批判は、現場の推進力に繋がります。
それこそ、選手を励ます声援のように。

自分は選手、地域、ファンとともにNOL4球団が発展していくことを心から祈ります。

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