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新しい「豊かさ」につながる教育

University of the Peopleで教育を学んでいると、今日もまた心揺さぶられる視点に出会いました。

それは、なぜ、これほどまでに教育の転換が必要かと言われているかということです。

子ども達も積極的に参加できるような授業をしよう!
世界とつながるような内容にしよう!
暗記中心から考えることを中心とした学習へ!

などと聴いたことがあると思います。

では、なぜそんな転換が必要なの?
と聞かれると、私はまだすぱっと答えられない状態にありました。

今日はUniversity of the Peopleの課題としてあったビデオから、なぜ日本の教育の転換が必要と言われているかについて描いてみようと思います。

1.これからの豊かさの定義

豊かさと聞くと何を思い浮かべますか?
お金が十分にあること、
だけでは豊かになれないことがわかってきたこれからの時代、開発経済学者のJeffery Sachsはこう言っています。


これまで国の発展を考える時に代表的な考えとして、
①アダム・スミスように、如何に富を得るかということ、
②ニッコロ・マキャヴェッリのように、如何に権力を持つかということ、
近年ではこの2つの周りで色んな議論が行われてきたように思うと。

しかし、実は、それよりも2000年以上前に、アリストテレスはこう言っていると
ユーダイモニア(Eudaimonia)が大事だと。
アリストテレスの政治学や倫理学の中心概念としてあったのがこのユーダイモニア。ユーダイモニアとは、今でいう、「幸福」「ウェルビイング」なのだと。

ジェフリーサックスは、アリストテレスと同じように、富でも権力でもなく、”Well-being of the people. ”にむけて政治や社会を動かしていくべきではないかと主張しています。

今日見たビデオはこのビデオでした↓

2.Well-beingの構成要素と測り方

そして、これまでの時代からわかってきたことは人々の「幸福」や「ウェルビイング」を作り上げるものは以下の3つではないかということがわかってきたようです。それは、

1.Economic prosperity (経済的な繁栄)
2.Social inclusion(社会的包摂:社会的に弱い立場にある人たちとも共に社会を作っていこうという考え方)
3.Environmental sustainability(環境の持続可能性)

Sachs, J. (n.d.)

これらが満たさているとき、人々のWell-beingが高くなると。

で、Well-beingを測定する方法も色々と開発されているようです。
Gallup international の調査を元に作っれたWorld Happiness Reportでは

CANTRIL LADDERという考えを使って分析しています。
どんなLadder(はしご)かというと、

想像してみてください。ここにはしごがあります。
一番下は最悪の人生。一番上は最高の人生。
この10段あるはしごであなたの今のあなたの人生をこの梯子で測るとすると、何段目にいると思いますか?

Sachs, J. (n.d.)

という質問を世界中の人たちに聞き回って調べます。

その結果を元に作成されるのが世界幸福度レポートです。
https://happiness-report.s3.amazonaws.com/2021/WHR+21.pdf

ビデオで面白いなと思ったのは、この表↓
これは、持続可能性指標・幸福度指標・GDPのトップ12カ国を比較した表です。

Sachs, J. (n.d.)

ここから分かることは、持続可能性指標の高い国と、幸福度の高い国はオーバーラップする場合が多いのに比べ、これまでの豊かさの指標となっていたGDPは必ずしもこれからの地球の持続可能性や人々の幸福度に相関していないよ!

と、いうことです。

3.これからの社会と教育

少しまとめてみますと、
これからの時代の豊かさは
所得を稼ぐことはもちろんのこと、
それだけでなく、
環境のこと、そして、自分自身のウェルビーング
つまり望む生き方を環境のことも考えながらできているかどうか、
ということが大切になると。

だからこそ、教育においても、どんな子どもでも参加できるように工夫し、世界とのつながり、経済だけでなく、社会や環境にも目を向けた内容にしていくことで、これからの時代に必要なスキルが身につくというロジックです。

特にWell-beingを構成する以下3つの要素のうち、の2番目、Social inclusionは教室レベルでもできることで、そのような日々の行いを通して、より良い地球、より良い生き方につながるスキルが磨かれていきますよ、というロジックです。

1.Economic prosperity (経済的な繁栄)
2.Social inclusion(社会的包摂:社会的に弱い立場にある人たちとも共に社会を作っていこうという考え方)
3.Environmental sustainability(環境の持続可能性)

母親をしていると、一人ひとりのウェルビーングについて考える機会はたくさんありますが、
それが実は、より良い地球のあり方にもつながっていくという点がつながり、なんだかとってもスッキリしました。

4.インクルーシブな学びの場

ということで、子どもたちになにかを教えるときも、
色んな経験を持つ子がいるということ、
色んな学び方があるということ、
色んな子がいるということを配慮し、
どんな子も学べる授業にしていく挑戦は、
簡単ではないことですが、
子どもたちが大人になった時に、
これからの時代の「豊かさ」を作り上げていく
大切なスキルを授ける挑戦でもあるということ、
覚えておきたいなと思いました。

ユニバーサルデザインやインクルーシブ教育は、そんな時代を生きる子どもたちみんなが恩恵を受けられる学びの場なんだと感じました。

Sachs, J. (n.d.). Why Sustainable Development is Important: Happiness and Wellbeing. Kaltura. Retrieved January 30, 2022, from https://cdnapisec.kaltura.com/index.php/extwidget/preview/partner_id/2491112/uiconf_id/43783832/entry_id/1_els27hc2/embed/dynamic


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