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日航123便墜落事故(事件)㊹〜事故原因として空中の氷塊衝突説を唱えるジャーナリスト・篠原常一郎氏。氏の解説動画をあらためて見てみて、疑問点を挙げてみる

日航123便墜落事故の原因は、空中に生じた氷塊が当たったことによるものと断じているジャーナリストの篠原常一郎氏。

氷塊が当たったなら、事故調査委員会や政府や日航は事実としてそのまま発表すればいいのでは? と思うのだが、周知のようにそういう結論にはなっていない。

以上、まったくもって同感


あらためて、氏が123便について語った動画(数回分のまとめ動画。2020年8月16日アップ)を見てみる。

30分強の動画。進行順に筆者が「ん?」と感じた点を挙げていきたい。

「自衛隊が証拠隠滅に動いた形跡は、基本的にはありません」

「基本的には」というのがひっかかる。「まったく」と言えない理由があるのかと勘ぐってしまう。

「ただですね、(自衛隊は墜落現場の)位置情報をかなりずらしたということは事実であります」

なぜ、ずらしたのかについては言及なし。

「よくある現象なんですが、天候の急変の際に空中に生じるですね、大きな氷の塊が垂直尾翼の先端に当たって、大きなへこみが生じ、その衝撃で(以下略)」

「よくある現象」と唐突に言われても、どのくらいの頻度で生じるかなど、具体的なデータが提示されてないので、よくわからない。「ああ、そうですか」とはならない。

「フライトレコーダーが出てきたとき、それを再現して、国会で取り上げるっていうのをやったんですね」

カナダの会社に持っていって専門語の英語の解析をお願いしたというクダリを踏まえると、このレコーダーはフライトレコーダーではなくボイスレコーダーだろう。この事故に関心を寄せる者なら、言い間違えることはまずないはずだが。

ここで気になるのが、ボイスレコーダーの解析をカナダの会社に依頼したのは、氏に言わせると、どうやら自衛隊らしい。事故調査委員会ではなくて、自衛隊。それが事実なら、妙なひっかかりを感じるのは筆者だけではないはずで、実際、氏もその点は気にかかるようで「(解析にあたって)民間の会社の人たちも入れて、なんでやらなかったのか」と疑問を呈している。

「(機の)方向がコントロールできなくなって、2つついていたエンジンの、パワーでね、飛行機の向きを変えて、なんとかね」

ボーイング747のエンジンの数は4つ。

「相模湾からグーッとですね、西向きに飛びながら北に変針しながら円を描くようにして、群馬県に落ちていく。その間のですね、約……、そうですね。二十数分かなあ、(レコーダーの)中身を聞いたんですけどね」

著しく正確性に欠けてアバウトで、いろいろつっこみたくなる物言い。まあ、細かいことと言えばそれまでだが。あのボイスレコーダーは30分強の長さだが、氏が聞いたのは「二十数分」だけでいいのか?

あの事故を語る(書く)際、時間や時系列、数字が極めて重要であり、その誤りは禁物。間違いは誰しもあるわけだが、間違いに気づいたら訂正すべき。

「(米田憲司氏の著作『御巣鷹の謎を追う』を)一番最初に出したときは僕もお手伝いして、フライトレコーダーの録音をですね、再現して、まんまですね、付録にしたんですね」

前述のフライトレコーダー言及から日をあらためての動画より。彼の認識の中では、ボイスレコーダーとフライトレコーダーが完全にごっちゃになっていることがわかる。

「(氷の塊が尾翼に当たる)そういうことはよくあるんですよ。よくじゃないんだけども、稀にあるんですよ」

日をあらためての動画。ニュアンスが変化している。ただ、「稀」というからには、123便以外の事例を挙げていただかないと、「はあ、そうですか」とはならない。

「丸い胴体にネジで直付だったんですよ、垂直尾翼って。フツーは骨材入れるんだよね。
骨立ててはめこむように入れる(はずな)のに、丸いの(胴体)にそのままネジをつけて留めてるだけだから、すごく弱かったんですよ」

そうなのか。言い方が非常に曖昧で乱暴。

「あれから全部ね、既存機は全部回収してますよ。あの事故のあと」

初めて知った話の一つ。

「圧力隔壁なんか壊れてなかったからね。壊れたんだけど、尻もち事故が原因で壊れたんじゃない」

どっちなのか? 結局壊れたということで。尻もち事故が原因じゃないには同意。

「自衛隊の動きがおかしいから、自衛隊落とした説。とんでもないあれですよ。(事故後)いろいろね、情報が錯綜しちゃったんですよ。落ちた現場をね、封印(?)したりね」

前述の「位置情報をずらした」よろしく、墜落現場を曖昧にした件についての考証、推測などは依然なし。

「自衛隊が落とした論の根拠になっているのはね、標的機についている橙色の塗料と同じようなものが残骸についてるって言うけど、あれは僕調べました。あれは日航機についてる日の丸が日に焼けて、橙色に変色するんです」

日の丸が日に焼けてオレンジ色に……。ちょっと無理あるんじゃないか。ほかの747(いや、日航機全般)の日の丸もオレンジ色に変色していたなら話はわかるが、そういう話はついぞ聞かない。

奥多摩で撮られた123便。胴体部分の光はなに?


以上、動画開始10分までの内容で気になった点数々。

続きはまたいずれ。


■追記
本稿アップの夜公開の『ワタナベケンタロウ動画』より。篠原氏が言う「全部回収」はこれか。


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