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宍戸留美、デビュー33周年! 彼女の名曲『コズミック・ランデブー』におけるスペーシーな魅力を再認識するとともに、そこからの連想連鎖で、かつてのサンミュージックのアイドルたちの同種の大好きな曲を上げてみた

宍戸留美(敬称略。以下同)がデビュー33周年を迎えたという。

まことにめでたい。

彼女は1990年5月21日に、シングル『コズミック・ランデブー』でデビューしたわけだが、今回それを久々に聴き直したら、やはりとてもいい。素晴らしい出来。サビの部分の泣きメロが超絶によすぎて、あらためて唸りながら聴き入ってしまった。否応なしにいろいろ感傷的な情緒、感情に誘(いざ)われる強烈なパワーを有した楽曲と言わざるえない。

時代と時空を優に超越した普遍の名曲。

自分は1996年の秋頃に、当時は斬新だったフリーランスアイドルの最先端を行く彼女にインタビューしていて、あらためて、そのときの充実の対話を思い起こしたりもしたが、本稿ではそこには触れず……(一点。こちらがあまりに終始熱く誉め語りしすぎたゆえか、「じゃあ、結婚しましょうか(笑)」とジョークでからかわれたのが思い出深い。いまも昔もそんなこと口にできる22歳のアイドルは彼女以外いない)。

『コズミック・ランデブー』の素晴らしさ、凄さを考えるとき、その一因として、圧倒的にドラマティックでスペーシーな世界観が挙げられるだろう。うん、自分はそういう、「アイドルが歌うスペーシーな内容、風味の楽曲」が好きなんだな。アイドル音楽史を振り返ると駄作も当然あって、スペーシーならなんでもOKというわけじゃあないが……(駄作かはともかく、菊池桃子のあの曲とか、当時まったくビンと来なかった)。

スペーシー感満載の『コズミック・ランデブー』をあらためて聴いて、50代のアイドルライター(自分)の脳裏に連鎖的に真っ先に浮かぶのが、田村英里子のデビュー曲『ロコモーション・ドリーム』(1989年3月15日リリース)。

宍戸留美と同じサンミュージックプロダクション発のアイドルであり、レコード・デビューは田村英里子が1年早い。

こちらも、スペーシーな色彩満載の世界観(筒美京平の楽曲をアレンジしたのは、若き日の小林武史。当時最新サウンドのニュー・オーダーを意識したであろう音作りがかっこよすぎる!)。思い起こせば、80年代半ば以降のサンミュージックには、そういう流れが密かに(確実に)あったといえる。

岡田有希子のかわいい妹分的存在(岡田と同じ愛知県出身。一緒にレギュラーラジオ番組担当)でレコード・デビューした水谷麻里。彼女の1stシングル『21世紀まで愛して』(1986年3月21日リリース。余談ながら、リリースの18日後、岡田有希子は自死)は、宇宙ならぬ未来ソングだが、最新デジタルを標榜したサウンドと世界観は、当時のサンミュージック流スペーシー・サウンドの一端として、どこか繋がっていると思える。とりあえず、彼女の突出したエキセントリックな個性は宇宙人的ではあった(笑)。

その岡田有希子が歌うスペーシーな楽曲はコレ。シングル『Summer Beach』(1985年4月リリース)のB面のスケールの大きなバラード、『星と夜と恋人たち』

いや、4枚目にしてラスト・アルバムとなった『ヴィーナス誕生』(1986年3月リリース)こそが完全スペーシーな内容のアルバムだろ! と言われるかもだが、あのアルバムは悲しすぎて、自分にとってはあまりに重い一枚。

『星と夜と恋人たち』も極めて暗示的な歌詞で、悲しい内容と言わざるえないが、初めて聴いて以来、自分の思い入れはとりわけ強く深い曲。イントロから泣きメロ炸裂でガツンと来る。そのイントロは、頗る安全地帯的な趣きであって、時代を投影した意味でとても味わい深い。

サンミュージックのトップの松田聖子から選ぶなら、『瑠璃色の地球』(1986年6月リリース。アルバム『SUPREME』収録)。安直なのは承知だが、仕方ない。いや、この曲があった。アルバム『The 9th Wave』(1985年6月5日リリース)のB面1曲目『星空のストーリー』。来生えつこ作詞、原田真二作曲。大仰なぐらいドラマティックな展開(編曲は大村雅朗)が聴きどころ。

早見優は、『不意打ちのランデブー』はどうだろう。シングル『哀愁情句』(1984年10月リリース)のB面曲。

筒美京平の楽曲を船山基紀がオリエンタルなムードで編曲(前述の水谷の『21世紀まで愛して』も担当)。1秒たりとも聴きもらせない、ゾクゾクするほどいい曲。

昨年、彼女にインタビューした際(媒体は『日刊ゲンダイ』)、隠れ名曲、および最高なAB面レコードとして本曲に触れようと思ったのだが、肝心のA面曲『哀愁情句』において、「あの曲、細かいことはあまり憶えてないかも(苦笑)」みたいな彼女の返答となり、話は一旦振り出しに(笑)。予想外の言葉に意表をつかれた自分は、「『哀愁情句』は紛れもなく超名曲ですよ!」と力説し、その甲斐あってか、最後はしっかり納得された様子で「今度、イベントとかで使ってみようかなあ」。彼女からその言を引き出すに至り、『不意打ちのランデブー』をお題でフィーチャーしたい我が試みはあえなくフェードアウト(笑)。

以上、宍戸留美の普遍の名曲『コズミック・ランデブー』に端を発して、スペーシーなサウンド→サンミュージックのアイドルが歌うそれという気ままな連鎖連想で、自分が大好きなソレ系の名曲をつらつら上げてみた次第(あえて言うまでもないが、サンミュージックとは太陽の音楽を意味する)。

なお、酒井法子の曲はあんまり聴いてないのでわからず。彼女がアイドル時代に歌ったスペーシーな名曲あれば教えてください。

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