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日航123便墜落事故(事件)㊷〜スコーク7700発信後のファントムスクランブル発進問題。一部、よど号事件を引合いに出す言説へのちょっとした違和感とは

ライター・織田祐二   123便のスコーク発信後の自衛隊ファントムのスクランブル発進問題に関しては依然謎が多くて……
相方   えーと、例の「バーン!」という激しい衝撃音のわずか7秒後に緊急事態を示す信号の「スコーク7700(セブンセブン)」がコクピットより出され、それを受けてファントムは緊急発進したのか否かの問題。その点、織田さんは、陰謀論派ながら事故調査委員会派の説──墜落から5分後、19時1分に茨城の百里基地から飛んだという説を支持しているという
織田   19時1分説を支持というより、すぐには飛ばなかったんじゃないか? という疑念。具体的な理由がない限り、即緊急発進というのはどうしてもピンと来ず。周知のように18時30分以降、いくつかの場所でファントムは目撃されてるわけだけど、それらがどこの基地から飛んだものかはいまいち断定できないというのもあり……
相方   あの日は相模湾で軍事演習がおこなわれていて、それゆえに複数のファントムが周辺を飛んでいてもなんらおかしくないということですね

↑123便墜落事故考証シリーズ動画『ワタナベケンタロウ動画』第65回より。横須賀に通ずる海域で日米軍事演習がおこなわれた証拠が挙げられている


織田   うむ。例のボイスレコーダーにおいて故意的に消されてる可能性が高い部分だけど、仮にコクピットからの要請、管制官とのやりとりなどで具体的な理由による発進要請があったことがわかれば、そのときは自分の中で大きく認識が変わる
相方   結果論、ないしはいまの冷静な感覚なら、「すぐに緊急発進しておかしくない、緊急発進しないほうがおかしい」ということになりますが、やはり、相当な理由がないと発進はないんじゃないか?  という
織田   理想と現実の乖離
相方   前例主義の話もありましたね
織田   ああ、日本の官僚組織の悪しき体質ですね。過去に似た事例があれば話は早いんだけど、そうじゃないとなかなか動けない、決断できない現実
相方   そういう中で一部で見受けられる、あの「1970年のよど号事件」の引合いや比較。よど号事件のときは自衛隊機がしっかり緊急発進したじゃないかという見解は……
織田   以下は、『文春』掲載のよど号事件の記事から抜粋。123便のケースとの一番の違いは、政治的や外交、軍事的な要素が大きく絡んでることですね


相方   前代未聞の、我が国で起こった最初のハイジャック事件の意味あいもあったはずですが……。念のため言っておくと、よど号事件は赤軍派の人間がいきなりコクピットに乗り込んできて「ピョンヤンに向かえ」と発したため、管制の側からすると機になにが起こったかはすぐに把握できたんですよね
織田   やりとりにおけるただならぬ緊張感ですね。そうして、北朝鮮の名前が出てきた以上、かの国の軍機がいつ向かってきてもおかしくないと考えるのが筋。自衛隊機の緊急発進は当然の流れでしょう
相方   123便の場合はそういう流れ、ケースではない
織田   むろん、あれだけ大勢の人間を乗せてる機の緊急事態。「なんとかしようとするのは当然」という話は理解できますが、まさか、あの安全神話に満ちたジャンボジェットが早々に墜落するなんて事態は誰も考えられなかったと思う
相方   当時の感覚なら……。ただ、ファントムが目撃されているのは事実であり、そのあたりの整合性は依然謎ですね
織田   繰り返しになりますが、実際のボイスレコーダー内のやりとりで、事故原因の深刻な臆測の話、および自衛隊機発進要請の話などが明らかになれば、自分の認識は完全に変わります
相方   以前、インタビューを受けて話題になった──あのとき機長らと交信した管制官はなにかを知ってるでしょうね
織田   あのとき一緒に管制室にいて、交信を聞いたであろうほかの管制官も、ですね

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