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弱小医療機器メーカーのマーケティングを考えてみる #1 価値の伝達

あの時こうしていたら

海外では実績のある外資系の会社が日本法人を立ち上げるというところが面白そうだったので、営業として入社したけれども、こんなに人の回転率が速い会社はないのではないか?と思うくらい、社長やマネージャーが1年足らずでリストラ、退職の繰り返し。マーケティング担当者が長期不在だったからこそ、担当エリアでは自分なりの「マーケティング」を意識し2年連続、アジアの営業No,5に入った。

もし、会社がマーケティングの計画を意識し、実行できていたら、ブレない筋の通った方向性があったのではないかということを想定してみた。マーケティング計画を学んだので、今もまだ迷走中のその会社に当てはめて考えてみた。

マーケティングとは

まずは誰に語り掛けているか、市場を定義し、その相手に対してどんな価値を提供するのか、と価値を定義する。その価値はどのように実現するのかといった価値を創造し、その価値をどう伝えるかといった価値の伝達、これら4つの一連の流れを考えていくことがマーケティングということらしい。

医療機器メーカーの営業は広域を担当することが多い。そのエリアでの市場を定義し、病院それぞれに対する価値を考える。その価値を考えることは一人でなくても、社内や、お客さんと考えればいい。お客さんが自分の味方になってくれれば、病院内への価値の伝達は早い。ざっくりとそう考えてきたつもりだが、本当にそうなのか?

本当に良い商品を作ればマーケティングはいらない?

世界No1の販売実績があり、特許技術を持った医療機器がいきなり日本に入ってきて売れるかというとそうではない。事実、医療機器であればその価値が分かる人がいるはずだと思う経営陣ばかりであったが、良い機械であるのに全く売れなかった。

ペイパル・マフィアのピーター・ティールは同様のことを言っている。ベンチャー企業の失敗例は「いいサービスを作れば評判は自然と広まる。そうならないのはサービスに問題があるからだ」と勘違いすることだと言っている。
医療業界でも、同様、良い物は良いという評判が自然と広がるわけではないのだ。


マーケティングの4工程

マーケティングの4工程

 上から順にではなく、最終的なゴールである「価値の伝達」でどうなっていることがゴールかということをイメージしてみる。

医療機器の場合

知名度のないメーカーは「気づいて、覚えて」もらうことからのスタートとなるため、病院が使用している知名度のあるメーカーと比べると不利ではある。気づいて、覚えてもらわないと購入の候補に入れない。また、高額な医療機器であれば他社との違い、エビデンスなど「深く知ってもらう」ことが必要となる。
当たり前のこの価値の伝達でも安価、高価にかかわらず、選んでもらうためには、「気づいて、覚えて、好きになってもらう」この、好きになってもらうことが重要だということ。

「気づいて、覚えてもらう」ためにできていなかったこと

1,会社のホームページは簡素で、製品の説明は何がポイントなのか、誰でもわからるような内容ではなく、新製品が出ても2年ほど更新されていなかった。
2,学会展示は費用の関係で展示物が少ない。
3,学会や地方会の重要性を検証もせず、大きな学会以外への投資をしない、地方ではなく都市部のみ行う。
4,行ったPR活動に対して効果の検証もされていなかった。
とりあえず、依頼された学会は展示してみる、関連学会には展示→効果の検証→顧客訪問、これの繰り返しが基本だが、どの程度効果があるのか、効果がなくても今後の営業活動のために必要かどうかの検証がまるでできていなかった。

私を好きになってもらう

これは営業が自由に動ける時代であったからできたことだと思う。
これからは「気づいて、覚えてもらう」ことに関して、現場の営業が主力であった医療業界は方向性を変えていかなければいけないと考える。
営業の訪問頻度は減り、自分や製品を「好きになってもらう」ための手法も考えていかなければならない。メール、SNS、オンラインでのセミナー、これまで主力ではなかったコンテンツに力を入れるためにも、お客様と一緒に考えていくことが必要になっていくのではないか。
モノを売りにいくセールスは不要となり、施設それぞれに合わせた提案をいかに考えられるかが求められるのではないか。

出来ていたこと、できていなかったことを弱小医療機器のメーカーに当てはめて、順序立てて医療機器のマーケティングを考えていきたい。結果的にはマーケティング計画を立てられるようになることをここでの目標とする!


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