夜景を見る

僕は夜景を見るのが好きだ。

この間、眠れない夜に、自転車で隅田川の河川敷に行った。
隅田川の両岸に、10階建て以上もありそうなマンションがずらりと並んでいる。

マンション各階の廊下には、端から端まで等間隔で明るい蛍光灯が連なっている。
窓は中からの照明で照らされており、ファミリー世帯が多く住んでいるようだ。空室は少ないように見える。

このあたりに住むなら、新宿や東京に通勤する時に、駅までバスで行って乗り換えが必要になる。
最寄りの駅まで行くバスも混んでいるだろうし、新宿や東京に向かう通勤電車は言わずもがな満員電車である。

僕なら隣県でも良いから駅チカの物件が良いとか、狭小住宅でも良いから都心近くに住みたいとか思ってしまう。
しかし、ここに住んでいる人には家族がいるだろうし、自分の気持ちだけで住む場所を選べる人ばかりではないだろう。

目に映る灯りの数とほぼ同じだけの人が、この場所に住居を選び、生活のあれこれに不満を持ったとしても、責任を持って自分の生活を成り立たせている。

社会はそんな大人たちによって成り立っているんだろうが、自分は果たしてそんな大人になれるのか、と思う。


僕は大学生になってから、これまで(単発を含めて)10種類くらいのバイトをした。
中には、戦力として頼りにしてもらえるくらいに馴染めたバイト先もあったが、多くのバイト先は殺伐としていた。
何より、どこのバイト先でも「働くのって大変だなあ」と強く感じた。

先輩の指示をメモし、マニュアルを読んできても、いざやろうとすると、手順をいくつか抜かしたり、やり方を間違えたりした。

誰かに仕事を見られていると思うと緊張してしまったし、何か指摘されるたびに慌てていた覚えがある。
よく言われることだが、バイトで指摘されるのは、業務上必要だからやってるだけであって、別に人格を否定されているわけではないし、淡々と改善すれば良いだけの話だ。
それが分かっていても、やっぱり指摘されるたびに凹んでいた。

僕はバイトとしてですら、働くのは本当に大変だと感じたが、それなら社会人の生活はどんな感じなのだろう。

仕事のやりがいとか、社会への貢献実感とか、家族を養える喜びとかが(人によっては)あるのかもしれないが、とにかく大変そうなイメージしか浮かばない。

僕の場合、毎日怒られて辛いとか、白い目で見られて辛いとか、そんな感じになりそうだ。
やりがいを感じられる日が来ないような気もするし、来たとしても大分先だろうなあ。

隅田川の河川敷でそんな事を考えました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?