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【#あんクリ製作委員会】あんクリ小説版/いろり庵のあすかさん-6

週に1回、馴染みの居酒屋で開かれる商店街の話し合い………という名の、おじいちゃん方による井戸端会議。
皆さん揃っていつもより飲むペースが速いのは、跡継ぎがいないお店がまた1軒店じまいをすることになったからか。

「いいよなー、若い人が店を継いでくれるところは。うちも今後どうなるか分からないしなあ。
………あ、いろり庵はあれか……、ごめんな、あすかちゃん」

いえ、と軽く微笑んで返すと、今度は別の人から声が上がった。

「しっかし、悠人ゆうともよく継ぐ気になったもんだ。
晴人はるとにあんなことがなけりゃなぁ……
……悪いね、ちょっと今日は飲み過ぎだな」

ふと、隣に座っている3歳下の幼なじみ——もといユウちゃんの顔を見ると、心なしか彼の顔もいつもより赤く見える。
「俺は、店も商店街も諦める気はありませんよ。何とかするつもりなんで」

「おぉ、頼もしいねぇ。あすかちゃんも帰って来てくれたし、ここは一つ、若い人たちの力に賭けたいところだな」

私は、手にグラスを持ったまま、しばらく呆けた顔でユウちゃんの横顔を見ていた。

***

「なーんか、今日のユウちゃん、珍しく熱かったね。びっくりしちゃった」

帰り道、隣を歩くユウちゃんに話しかけると、彼はムスッとした顔で答える。

「……だから、その子供扱いやめろって」

「でもさ、あんなにお店継ぐの嫌がってたのに、すごく頑張ろうとしてるんだもん。絶対、おじさんとおばさんも喜んでるよ」

「別に、父さんと母さんのためなんかじゃないよ。
…………商店街がなくなったら、いろり庵もあすかもいなくなっちゃうだろ。
そんなの、絶対嫌だから」

俺もちょっと飲みすぎたかも、そう呟くユウちゃんを見て、思わず彼の頭に腕を伸ばすと、くしゃくしゃくしゃっと思いっきり撫でた。
……背伸びしないと届かないや、ユウちゃん、おっきくなったなぁ。

「ちょ、何すんだよ!」

「ふふ、ユウちゃん、大人になったね。ありがと!」

「だから、そのユウちゃんって呼び方やめろよ……」

「だって、私はユウちゃんのお姉ちゃんみたいなもんでしょ?」

………お姉ちゃんねぇ。
呟くように反芻するユウちゃんの横顔は、なぜか少し不服そうだった。


***

ここ最近新キャラ祭りな「いろり庵のあすかさん」です。
あすかさんの幼なじみである晴人はると悠人ゆうと兄弟、これからどんな風に絡んでくるのか、ぜひ楽しみにして頂けたら嬉しいです✨

最後まで読んで頂き、ありがとうございました☺


*「あんこちゃんとクリームくん」作品集
https://note.com/anemone_94/m/m8318bcd35cb5


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