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薬明生物(Wuxi Bio)について:バイオ製薬におけるTSMCになれるのか

まとめ

ポジティブな点
・いい業績を出しており将来も良い数字を出しそう。(例えばアメリカの企業だったら株価数倍になってると思う)
・コロナワクチンの製造(Vir, Biogen)をやっているので今の業績がコロナ特需によるものである可能性がある。しかし資料を見る限り特需依存からは脱却していると思う。

ネガティブな点
・米中関係の政治的なことはなかなか予測できないので、これがどう影響するかわからない(2022年2月8日には、米通産省のUnverified Listというものに引っ掛かり1日間で-22%も株価が下落した)

私の理解できなかった点

・CDMOの内容(どの様なことでお金を取りやすいのか、中国の製法特許などの遵守度、など)
・業界の力関係(製薬会社との力関係、製薬会社はどこでどれくらいお金を薬明生物はどのくらいお金をとっているのか、Appleくらい強いのか、Dellぐらい弱いのか)

アップルがiPhoneをデザインして製造は他の会社アウトソーシングするように、製薬もファイザー,グラクソなどが候補薬を見つけ、Wuxiなどに外注するとういうながれができてきていると聞きます

外注によって製薬会社自身の設備投資出費を抑えることができるからです。

注意:
・私はこの業界の人ではないので、書いていることが正確ではない可能性が十分にあります。
・私はここの株を持っています。ポジショントーク含まれているかも。

薬明生物って何やってるの?

バイオ医薬品の医薬品製剤開発・製造支援事業(Contract Development and Manufacturing OrganizationCDMOと理解しています。

CDMOとは

例えば、医薬品会社(ファイザー、武田など)から、「こういう構造を持つ物質を治験に使うから作ってほしい」注文を受け、契約内容にもよるけど安価な製法の開発、②どんな物質に有効な構造をくっつけると患者さんに効きやすいか、を開発する事業だと理解しています。

①については、製法特許も絡んでくるだろうし、温度などの細かいノウハウなどもあると思います。

②については、何に混ぜた注射がいいのか、錠剤成分など、も考えないといけないと思っています。

難しければ難しいほど料金が高くなる仕組みなのかなと思います。

上のようにぼんやりとしか理解していません。この辺、重要なことだと思うけど、2時間使っても良くわからなかったからとりあえず後日に回しました(英語でも検索したけど見つからなかった)。

直近の年次報告書に書かれていること


①売上、利益など

売上:YonY+83%、など色々いい数字が書かれています。
皆さんの方がその数字の意味知ってるでしょうし、私はめんどくさいので解説しません。


Key Financials

Available Fund: 基本的に現預金のことだと思う。十分ありますよ、と言いたいんだと思う
Loan: 借入金、適切な量ですよと言いたんだと思う。
Buyback: 自社株買い
CAPEX:設備投資。工場設備あるので重要な数字です。

現在抱えているCDMOプロジェクトの進行状況

・156件のプロジェクトが2021.12.31時点で持ち込まれました
・268件のプロジェクトは治験前の開発段階中
・119件がフェーズIの治験中(5+4件はフェーズIから持ち込まれたプロジェクト、27件はPreclinicalを通ってきたプロジェクト)
・9件が商業化(販売中?)

これらの数字は、①薬明生物はこれらのプロジェクトで売上を上げており年々増加中です、と言いたいのか、②薬明生物に発注することで商業化までこんなに成功しています、と言いたいのか、よくわかっていません。

たぶん①だと思いますが。。。
大きい売上を見込めそうなプロジェクトと小さいプロジェクトを同じ1件と数えるだけではあまり意味がない気がするのですが。。。

それぞれどのように稼いでいるのか、フェーズI,II, IIIによる売り上げ、商業化された薬の製造にかかわる部分での売上、の数字があればいろいろわかるのですが私は見つけることができませんでした。

(私の見た範囲内の感想ですが、中国企業は、ぼんやりとした数字、いい数字だけを公表する傾向がある気がします)

Backlog

・抱えているプロジェクト数が増加している
・受注が増えている
・Milestone Feeと呼ばれる、例えばPhaseIを通過するとお金がもらえるプロジェクトも増えている

様々な抗体のプロジェクトを抱えている

いろんな抗体あるけど全部増加傾向だよ、と言いたいんだと思う。


長いな。。。

薬明生物のシェア10.3%

米国、日本など色々な国の検査を受けており、許可を受けている


Number of Regulatory Inspections: GMP/QMS/GCTP適合性調査を受けた数
Number of License Approval: 製造許可を受けた数?
Number of Certificated Facilities: 適合との認可を受けた施設数?

FDA:アメリカ食品薬品局、EMA:European Medical Agency

日本だと下のような検査だと思います。
https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/gmp/0001.html

コロナワクチン特需

上は#Virと薬明生物のコロナワクチン製造協業に関するリリース文です(2020.2.25)。
これを受けて、2020下半期、2021上半期の売上は激増しました。


米通産省のUnverified List入り

米国の輸出監視品目(フィルターなど)を特別な使用目的のためにWuxi Bioの子会社が米国から中国へ輸入した。この時、この輸出監視品目が適切に使用されているかどうか米国の係官の検査を適切な方法で適切な時期に受けないといけないのだが、それを妨害したため、会社自体がUnverified Listという米国と取引をする上で色々めんどくさい手続きを踏まないと輸出できなくなるリストに載ってしまったというもの。
下はWuxi Bioが米通産省のUnverified Listに載ったことを伝えるリリース文2022.2.8.発表である。(最後の方の文章では、米国側の誤解というような文が書かれている。)

もちろん株価は急落、2月8日だけで-22%も株価は下落した。


利益警告リリース(2022.7.19発表)

Wuxi Bioは当初の売上、利益ガイダンスから明らかに外れた数値を直近の決算でだす可能性が高いと考えたことから、Positive Profit Alert(利益上方警告?)をだしました。

そこでは、2022年上半期の売上上昇率+61-63%(YonY)と書かれており、コロナワクチン特需から脱却し、他の分野の受注も順調に増加している様に私は感じました。

既にある程度株持ってるけど、買い増しするかなあ

株価



Wuxi 2021年度、年次報告書リンク

https://www.wuxibiologics.com/wp-content/uploads/pre220322.pdf

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