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再会

2019/01/30
小袋成彬(おぶくろなりあき)って知ってる?小袋成彬が歌う、再会という曲を聴いたことある?

歌詞のある曲を、音楽と詞に分けて考えるなんて邪道なのかもしれないけれどこの曲の詞がすごすぎるので紹介したい。

まずAメロ

止まない花吹雪
踏んで固まる道
隠していたキスの傷
思い出すふり

3月か4月かな、春先で。生きていく道なのか、桜の木なんかが埋まった土の地面なのか、踏んで固まる道とくる。本当は忘れてなどないけれど、あなたとのキスの傷を思い出すふり。ふたりが再会したことが分かる。

運命論じゃ解けない足枷をいま外したい
大人になっていたあなたに預けたままの鍵

思うように、思ったままに動けないもどかしさがあって。運命論なんか役に立たなくて。足枷の鍵はあなたが持ったままだったっていうのは、主観である自分があなたに後ろめたいようなことがあったのかも。

続くBメロ

茜色の月
隙間風が吹き込んでも
それ以上は求めないあなたの手を

夕焼けに浮かぶ月、風が強く吹いたとしてもあなたの手を繋いだりしない。または自分たちに対する非難の風が吹いたとして、あなたを引き止めたりしない。

思い出していたの
時には比べたりもしたの
土曜日のオフィス街で
すれ違う人もいない
私たちみたい

淡い記憶を思い出したりしていた、大人になった自分。土曜日のオフィス街は閑散としていて交わる人もいなくて、それはまるで私たちみたいで。

サビが続く

今夜最後にあなたが抱えた罪被りたい
大人になっていた身体も
張り替えたての弦のように

再会したふたりは昔ぶりに夜を共にしたんだろうね。あなたが抱えた罪、例えば既婚者でこれは不倫になってしまうとかだろうね。しなやかな大人な身体。

触れれば響く唇はピアノみたいに語れない
でもあの時よりも美しい音色をいま響かせて

キスに応えてくれるあなた、でも多くを語らない語れないあなた。言葉なんかなくて甘美な夜。

この詞の何がすごいかといえば、淡くて切なくて遣る瀬ないのだけどどこにも切ないとも遣る瀬ないとも出てこない。悲しいとも嬉しいとも辛いとも言っていないのに、その感情のすべてを汲み取ってしまう。季節や気温や、生温い風さえも感じてしまう。

言葉に言葉を重ねれば重ねるほど、真実から遠のくような気がしていてあたしは何も言わないことの方が多い。選び抜かれた少ない言葉で、より多くの感情を情景を掻き立てるようなそんな語彙力があればとこの曲を聴く度に思う。

小袋成彬の再会。聴いてみてね。

#おやすみゆめであえたら
#好きな曲
#小袋成彬

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