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我がテントメモ

2020年初頭よりほとんど野歩きもせず、アウトドア用品の購入もなし。
何年も前からテント刷新.…と念じ続けてはいたものの、購入目標だった物件が製造中止で流通しなくなる始末。
そんな中訪れた、今度こそ的テント装備刷新マイブーム。
これまでを振り返り、己の要件を見直しましょうというのが、本題。

最後に使ったのはいつですか?

2014年6月、上り下りはロープウェーという軟弱大雪山縦走。
二泊で、使ったのは Integral Designs Unishelter という Bivy Sack。
日中は半袖半パン5本指靴で雪渓を歩くという満ち足りた世界でしたが、稜線鞍部の白雲岳避難小屋指定キャンプ地はなかなか厳しい寒さでした。
夜は強風とともに、短時間ながら雷鳴と雨。
下は火山灰なので、朝にはデロデロです。

白雲岳避難小屋指定キャンプ地は、近年ヒグマの来襲で使用禁止の期間が多いです

.…っていうか、この10年間使ってなかったんですか?

何泊しますか?

普通は1~2泊です。
基本的に連泊はしませんし、した場合でも2泊止まりです。
稀に二輪でツアーに出ますが、この場合は宿泊併用です。

何に使いますか?

今回の検討はスクーターを代替えしたのがきっかけですが、そろそろ山も歩きたいものです。
以前はフォールディングカヤックを担いでの電車移動ツアーも多かったのですが、この場合はカヤックと同時にキャンプ道具と衣類・食料を担ぐわけで、大変です。これはもう体力的に無理かな?

今まで何を使ってきましたか?

1.ツェルト(廃棄)

大阪の好日山荘?石井スポーツ?で買ったオリジナルの2人用ツェルト
本体とポールセット、中間の空間拡張用グラスポールを購入。
現代のものとは違い、ガサガサの分厚い素材で意外と嵩張っていた記憶。
雪山の結露で何もかもがぐしょぐしょに濡れ、本当に辛かった。
素材として使えないかと思い長い間保持していたが、廃棄済み。
ポール二本組だけは組み替えて一本に仕上げ、何度か後出の超軽量ツェルト等と併用。

写真はアライテントの現行のものを拝借
こういう構成ですが、写真とは異なりポールは当時としてもぎょっとするぐらい太かった

2.4本ポールの超本格登山用自立ドーム(現有)

横浜チョゴリザで買った ICI スタードーム1.5人用。すごく高価だったはず。
雪山結露問題への最適解を求めての結論。
交差ポールの他に前後短辺側に補助ポールが入るので、四方とも壁が立ち、居住空間が広く、1.5人用のわりに居心地がよろしい。外張り・テント本体ともに完璧な張り具合。
レインフライトと本体(グランドシート無し)で 1,945g、ポール 850g、計 2,800g。雪山外張りは 960g。
とにかく重く嵩張るので、二輪ツアーにすら使わなかった。
メインポールスリーブの出入り口が縮んでポールの出し入れにやたらと時間がかかるようになったのも痛い。
ポールを現代的なアルミ系に換えれば....という気は何度もしているのだけれど....
重すぎ嵩張りすぎで、もう絶対に担げない。無理なものは無理!

某稜線で緊急避難!撤収中写真と、2014年虫干し写真4枚
グランドシート無しで使っていたので、床は補修だらけ

3.ビビィサック その1(廃棄)

REI Co-op Shell Bivy 公称 1,188 g 直輸入
重量級本格登山テントの後では、反動も出る。名著"遊歩大全"世代への憧れからの選択は、寝袋カバーに毛の生えたビビィサック。
気には入ってはいたんだけれど、泥を落とそうとして風呂の残り湯でゆすいだら防水コーティング層がボロボロ剥がれ落ちるという、思い出したくも忘れられない惨劇。さすがに防水層無しのビビィは使いようもなく、大泣きで廃棄。
宴会キャンプで何回か使用。夜間土砂降りで、起きたら水たまりの真ん中だったこともある。
フレームが一切なく、降雨時にはどうしても顔面辺りに水たまりができるので、息を吸い込む際に鼻と口に生地がへばりつき、窒息状態で目が覚めるというエンドレス体験。文字通り顔面位置で聴く重い雨音は、素晴らしい記憶!

廃版商品もリンクと写真を保持しているREIサイトから拝借
https://www.rei.com/product/147955/rei-co-op-shell-bivy

4.シェルター その1(廃棄)

秋葉原ニッピン アルペンライト シェルター 公称 1,100g
REI Bivy の後に、やはり軽量廉価路線で購入。 定価19,800円だったらしい。
防水が完全にダメになるまで超絶愛用。ボロボロになってから廃棄。
ポールだけ残っている。
軽く小さく、シングルウォールなのに雨でも意外とイケた。
カヌーツアーやバイクツアーで写真に写っているのはほとんどこれで、愉しい記憶しか残っていない。
降雨の場合は写真のアルミグランドシートなどで前室をこしらえていた。
この時期は登山はしていないかな?

BMW K1100LT という豪華ツアラー使用時でもこの軽量テント
単純に気に入っていたのだ

5.シェルター その2(現有)

Walrus Swift (with Footprint) 1,860g
今は MSR に吸収された Walrus の二人用シェルター。
REI で買ったかな? 意外なほどに使わなかったが故に、まだ保有中。ちょいとお高かったはず。
ニッピンシェルターの代替え購入で、もう一息広いものをという選択。
雪解け水と寒さで撤退したカヌーツアーがこのテントだったかも。床立ち上がりの非メッシュ床延長部分とレインフライのオーバーラップが比較的短く、風が通りすぎで寒い。
非自立で縦にすごく長い投影面積なので、設営場所を得にくいという欠点も。
さらに意外に重くてかさばるので、これではシェルター形式の旨味が無いという結論。インターネットで検索しても、ヒットする情報は一人用の MicroSwift ばかりなのは納得できる。
当時は欧米で変形テントが花盛りで、シェルターの狭いドアからカップルが肩を並べて顔を出している写真などが良く紹介されており、ちょいとあこがれていたのさ!

写真はebayの個人中古販売から拝借
https://picclick.com/Walrus-Swift-Tent-374851192635.html
色も形もこのモデルで、一人用の MicroSwift とはかなり趣が異なる
縦に長すぎで、きれいな整地でなければ、こんな風に完全にピンと張るのはかなり難しい
"余裕のある居住空間のシェルター"という基本コンセプト自体に無理があることが分かる

6.再びビビィサック(現有主力)

Integral Designs Unishelter 1,220g
Integral Designs Silshelter ポール無し 385g
Integral Designs はカナダの企業だったが、2010年に英 Rab ブランドに買収?された、その最後の時期の製品。おそらくはRab 扱いの在庫一掃値下品を米 REI から購入したのだろうと思う。
シェルターやビビィサック自体は性に合ったので、やはり軽いは正義という原点に戻っての選択。顔面水溜まりができない顔面位置フレーム入り。
非常に良い素材・造りで、いまだに現役。北海道大雪山残雪縦走とかはこれ。
しかし畳み寸法や重さが現代の軽量テントと変わらない。ビビィサックの場合は夜間降雨時のザック退避方法等でそれなりに余計な荷物が増えるわけで、ザックの重量だけでは済まない。
Silshelter は床やドアファスナーすらなしの特攻超軽量ツェルト。これを前室やレインフライ的に併用。ピンと張るのはかなり難しく、ガサガサの素材なので強風だとかなりうるさい。
この Unishelter / Silshelter ペアは今でも気に入っているが、汗だくの股間を拭いてパンツを履き替えたりとか、腰も曲がらなくなってきた歳ではこの空間ではいろいろしんどいなとは思うわけで.…

赤い Unishelter 内部は意外なほど余裕がある
雨天時には靴等々を持ち込めるが、古典的山ザックは行き場がない
結局 Silshelter のようなものを併用するしかない

要求はまとまりましたか?

これまでを振り返ってみると、方向性には意外なほどにブレがない。
そして夜間土砂降りの場合でも、朝の撤収時に本降りだった記憶がない。シェルターやビビィサックで嫌な思い出がほとんどないのは、この運の良さが理由。
屈んだ姿勢が辛い年齢になったというのは大きく、狭い前室で椅子に座わって炊事飲食を楽しむのはもう無理かなと。

つらつら考えるに、軽量な自立ドーム型が欲しいのははっきりしている。床面積・高さが狭い一人用は避けたいが、どうせ大したことが無いだろう前室スペースにはこだわらない。
これまでの所有テントがすべて短辺開口部だったので、長辺開口部で、できれば両側開口部のものが腰にも優しいだろうという希望も。
設営撤収的にも、携行重量的にも、オールインワン的なものが欲しい。
今回の"テント刷新マイブーム"は二輪の買い替えがきっかけなので、山歩き目的は外して、すこし余裕のあるキャンパー向けな製品を.…とも考えはしたが、そろそろ野山も歩きたいという欲のほうが勝ち!

では欲しかったのは何ですか?

MSR Hubba Hubba NX 2P
MSR Hubba Hubba Sheld 2P
前者が旧型、後者が現行型らしい。
旧型 NX を長らく検討していた。グランドシート別で約6万円。重量も仕舞寸法も一人用の Hubba 1P と大して変わらないように思えた。Hubba は長辺単一ドアだが、Hubba Hubba は長辺両側ドア。
背骨一本フレームだが、中央短辺方向に補助フレームがあり、内部空間はかなり豪華。
しかしていつの間にか製造中止になっていたようで、国内では並行輸入ルートの流通在庫のみという状態.…に気が付いたのが今回の刷新検討のきっかけでもある。
新型 Sheld は本国では単に Hubba Hubba という名前になっている。
本体のメッシュ部分が大幅に少なく、より古典的な構成になっている。
視た瞬間に、これを買う!決定!.…と思ったが、日本国内では価格がなんとほぼ十万円である。

左が製造中止らしい Hubba Hubba NX
右が驚異の国内10万円 Hubba Hubba Sheld
写真はどちらもAmazonから拝借

何を買いますか?

その他の比較対象としては、国内ブランドの単純な二本交差ポール軽量ドームが5万円クラスで、少し狭いが MSR Elixir 1 1P が3万5千円程度。
さてさて MSR Hubba Hubba Sheld の価格を知り、費用対効果、という言葉を覚えていますか?とか、改めて考えこむ。特にこれまで一番楽しんだ ニッピン アルペン シェルター が二万円だったということを振り返ると、高揚していた気分が急に落ち着いてきて.…

7.超廉価軽量自立ドーム(今回新規)

Naturehike Cloud UP Upgrade 2P ペグ別グランドシート込みで 1,650g
https://www.naturehike.com/collections/sale/products/cloud-up-2-people-tent?variant=37854424563894
MSR の製造契約工場の一つが反乱したか切られたかで独立したらしい中華ブランド Naturehike の欧米日問わず一番売れているという2人用(欧米的には1.5人用)。
16,000円弱で、アッと驚く歴代最廉価。なんとニッピンシェルターよりも安い! 我がカヌー系交友諸兄陣には安物中華劣化コピー扱いで評判悪いが、縫製・金具・ファスナー類は問題なさそう。
重さは Integral Designs Unishelter + Silshelter とほぼ同じなので、良しとしましょう。
このモデルは Big Agnes Fly Creek HV UL2 のコピーモデルとか言われているもの。
短辺単一ドアで前室は形だけという野歩き系モデルなので、残念ながらこれまでと同じ路線。床は二人が向き同じで並べるが、背骨一本で壁が両側から垂れ下がるタイプなので、居住空間は狭い。改造の余地あり。
色は濃い緑と迷いに迷って、結局朝が明るいとっとと起きろな MSR 標準色に。
スノーフラップ付きやシングルウォール軽量派生型とも迷ったが、豪雨で内部が濡れた....と主張しているユーザーがスノーフラップ付きだったので、それは結露だなという判断で、結局普通のモデルを選択。

ドアが全メッシュなので悩んだが、安いが勝ちという判断
"持つ喜び"とかいうセリフには縁遠い、醒めた人間になりました

というわけで結論は

現有最軽量な Integral Designs Unishelter + Silshelte とほぼ同じ重量で歴代最廉価の野歩き向け自立ドームという結論に。
すべての携行物を考えなく中に放り込める床面積。幅は全域同じ。
短辺側は壁が立っているが、長辺側は背骨一本だけで壁が垂れる。
残念ながらドアは短辺一か所のみで、しかも全面メッシュ。
雨中で椅子を出せるような前室スペースはなし。
風通し良すぎで寒いのを嫌うか、それとも結露を嫌うかという排他選択.…厳寒時 Walus Swift の記憶と、降雪下初代ツェルトの悪夢は、結露回避を優先。
見直してみると、現有二人用シェルター Walrus Swift の前後を切って自立にしただけ.…と言っても良さそうな選択に終わりましたが、もともとそうゆう要求だったんですね。
長辺両側ドアという希望が満たされなかったのが心残りです。

この殺人的な暑さが一段落つけば、どこかに出かけたいものです。


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