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変な落とし物ファイル#5(仮)

何度か発表していることではあるが、私は変な落とし物に目がない。いや、目がないという程ではないかも知れない。まぁとにかく変な落とし物が好きで、見付けると必ず写真に残してしまう。

では写真に残してどうするのかといえば、大したことはしない。ただ誰が何故こんなものを落としたのか、そもそも落とした物なのか敢えて捨てた物なのか、いやもしかしたら一旦置いておいて、後で回収するつもりだったのかも知れない。というようなことを考える程度のことだ。時間が経った後に写真を見返して、その後の顛末を考えるのも楽しい。

そんな私が本日発見したのは、以下の物件である。

物件:10円玉とレシート
発見場所:会社のエントランス(警備装置脇)
発見時刻:午前10時頃

比較的メジャーな落とし物である小銭とレシートという組み合わせではあるが、それは地面や自販機の下であればの話だ。今回発見したのは地面から150cm程高い場所であり、写真の通り周辺は真っ白なため非常に目立つのだ。

場所が場所なだけに、何かと一緒にポケットから飛び出たということも考えにくい。ポケットから飛び出た小銭がこんな場所に着地するのは不自然だし、仮にそうなったとしても気付かないということはないだろう。スマホや警備装置の操作に集中していて気付かなかった…という可能性も捨て切れないが、もうそうだとしたら不注意なんてものじゃない。

そして注目したいのは、小銭の付近に見える丸まったレシートだ。見えている限りは近所のコンビニで買い物をした時の物だとは思うが、詳細は広げてみないとわからない。しかし落とし物考察に於いて現場保存は鉄則なので、手を触れるわけにはいかない。手を触れた瞬間に、それは純粋な落とし物ではなくなってしまうのだ(そうか…?)。

小銭はともかくとして、レシートについてはゴミと考えるのが妥当だろう。こんな場所にゴミを捨てる人間が同じ建物内で働いていると思うと不愉快で仕方ないが、自然に考えればそういうことになるだろう。

しかしそうなると、小銭についてはどう解釈すれば良いのだろうか。ゴミとは考えにくい。「10円玉なんてゴミみたいなもんだよ」などとのたまう不届者が存在しても不思議ではないが、少なくともこのビルで働く人間ではないだろう。

であれば、元々は床に落ちていて、それを落とし主とは別な人間が置き直したという可能性も考えられる。レシートの落とし(捨て?)主とも別かも知れない。

…といった具合に、私の頭の中では10円玉とレシートが飛び交い、めくるめく思考を呼び起こすのだった。落とし物は脳トレに良いという説もある。さっき私が思い付いたものだが。

因みにこの10円玉、昼食に出た際にはまだそのまま残っていた。しかし夕方には綺麗サッパリ消え失せていた。掃除のオバちゃんが片付けたのか、落とし主が回収したのか、或いは…と、再び私の頭に銅貨と感熱紙が舞い始めるのだった。

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