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科学的アプローチは、どう役に立つか?博士号を持つ人は、どう役立つか?

問題を解決する手法は、たくさんある。考えれば考えるほど、相談すれば相談するほど、いろんな手法が出てくる。その中で、科学に用いられている手法は、どう優れているのだろうか?どんな場合に優れているだろうか?博士号を持つ人は、どう役立つだろうか?

問題を解決する手法は、いつもたくさんある。

例えば、こんな場合を考えてみよう。

川が増水して渡れないが、川の向こうに小さな鞄を渡したい。
中身は、本とプラスチックの筆箱。
川の向こうには、鞄を忘れていった人がいる。また、ちょうどよくネットがあり、鞄を投げ込むことができそうだ。

この問題を解決する方法は、いくらでもある。

例えば、川の増水が落ち着くまで待つ。しばらく我慢してもらうことになるが、確実だ。
例えば、ネットに投げ込む。この場合、川に落ちたら流されていくので、投げる方の練習が必要だろう。
例えば、長くて太い紐を3本用意して、1本を向こうになげ、それを川の両岸でネットにくくりつける。鞄をその紐にひっかけ、残りの2本を鞄の両端につけ、片方を向こう岸に投げる。そして引っ張ってもらう。そうしたら、紐の上を滑らせることで、鞄を向こう岸に渡らせることができる。

他にもいろいろな方法があるだろう。

この場合に、科学的なアプローチ、例えば、ニュートン力学で投げる時のちょうど良い角度を計算するとかは、あまり良い方法と言えないだろう。

では、一体どんなときに科学に用いられている手法は役に立つのだろうか?
少し考えてみたい。

どちらも同じくらいよさそうなアイディアが複数あるとき

例えば、同じくらい良さそうなアイディアが複数あって、比較するのが難しいとき。

このような場合には、判断材料が少なく、「〇〇さんが言ったから」とか「過去の類似事例が」とかそのような理由が判断材料になる場合が多いのではないだろうか。
そんなときには、科学で用いられている手法を応用するのが良いだろう。

  • アイディアを論理的に構成し直す。

  • それぞれの場合、どんな影響、どんな副産物が表れそうか考える。

  • 現在手元にある情報から、計算などによってどのくらい可能性があるか検討する。その計算がどのくらい信頼できるか、評価する。

問題の種類によってアプローチの方法は大きく変わるだろうが、科学で使われているような分析の手法が、状況の整理に役立つだろう。加えて、これらの検討から、どんな場合にそれぞれのアイディアが不適か、という議論ができる。どんな情報を集めてくることが、アイディアの良さを評価するのに大切かがわかる。

同じくらい良さそうなアイディアを、論理的に書き換え、それぞれ良い点と悪い点が明確なアイディアに昇華させる。判断材料となる情報を追加で入手して、判断の助けとする。

科学で使われている手法が、解決手法を選ぶときに活きてくるだろう。

試しにやってみる作業に、長い時間がかかる場合

多くの場合、問題解決のためのアイディアがある程度上がってきたら、とりあえずやってみて、やってみた結果を吟味して優劣を判断することが多いだろう。でも、試しにやってみるという作業に数年などの長い時間がかかる場合、手軽にやってみる、という判断はできない。

そんな時は、科学で使われている手法が役立つだろう。

  • それぞれのアイディアを論理的に検討し直して、それぞれのアイディアが何を想定して、何を仮定しているのかを明確にする。

  • それぞれの想定や仮定がどれほど適切なのか、今手元にある情報を集め、ときには計算などを使って、評価する。

  • 少し時間を使って、それぞれの想定や仮定が適切なのか、新たに情報を集めて評価する。

これらの検討を経ても、やってみる価値がある、と判断できるアイディアに取り組んでみる。

一見とても良くできているアイディアでも、そのアイディアが前提としているものや想定していることが成り立っていなかったら、うまくいかない。それを事前に検討するには、やはり科学で使われている手法、論理的思考や計算など、が役に立つだろう。

最先端の科学技術を用いるとき

他の例としては、最先端の科学技術を使ったアイディアが提案された場合がある。最先端の科学技術を理解して、それが本当に自分達に使えるのか、ということを評価する必要がある。

そんなときには、専門家を呼んで相談したり、詳しい人に参加してもらったりして、取り入れようとしている最先端の技術で用いられている手法を取り入れることがとても大切だろう。

科学で用いられている手法や、博士号をとった人材は、役に立つか?

私を含め、博士号を目指して研究などをしている人材は、役に立つのだろうか?疑問を持っている人は多いことだろう。

そこで今回は、科学で用いられている手法がどんな場合に役に立つのか、博士号を持つ人材にどんな活躍の道があるのか、考えてみた。

博士号を持つ人材は、どこでも役に立つというわけではないけれども、アイディアに対して論理的思考で分析・評価するときには役に立つだろう。

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