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黒井健さんの『まっくろ』を見てきました。

11月26日、清里にある黒井健 絵本ハウスに行ってきました。12月から3月の冬の間は休館になるので駆け込みました。11月と言っても建物の裏手そびえる八ヶ岳は、赤岳を中心に真っ白。雪も舞い、朝には湖も凍り、もう冬でした。
さて、展示していたのは、この10月に出版された黒井健さんの『まっくろ』の原画でした。黒井健さんと言えば『ころわん』や風景画が有名ですが、『まっくろ』はまったく違う作風でした。
『まっくろ』は、「子供から、想像力を奪わないでください」というメッセージとともに20年前に放送され、カンヌ国際広告賞銀賞などを受賞したACジャパンのCMを絵本にしたものです。ひとりの男の子が変わった絵と言うか、真っ黒な絵をずっと、ずっと描き続けます。何日も何日も。周りの大人や両親、学校の先生、友だちは心配そうに、そして不安そうに見守るのですが、誰ひとりとして口出しをしません。否定しません。人と違っているからと言って怒りません。そういう時間の流れに多くのページが割かれています。
今の時代…人と変わっているととがめられそうな雰囲気のある今の日本の息苦しい時代こそ読みたい絵本のように思えました。
真っ黒と言っても、濃淡、強い弱いのメリハリがあり、いろいろな黒が原画では楽しめます。
館内は貸切で他の黒井健さんの絵本もたくさん読めました。
至福の時間をありがとうございました。
やっぱり美術館って、いいですね。

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