からっぽのクレープ

休日に、夫が「新しくできたクレープ屋に行ってみよう」と提案してきたので、最初は「娘と行っておいでー」ぐらいに回答してたが結局全員で行った。

着くと狭い店内には可愛らしい塗装がされており、若い女の子向けな感じでなるほどなと思った。メニューを見るとクレープは6種類ぐらいあって、その下に「+150円」と書いてあって色々とトッピングができるようだった。

私はクレープといえばチョコバナナ一択なので、今回もそれをオーダーするつもりでいたが、クレープの定番チョコバナナはこの店には存在しなかった。まず、クレープの価格設定500円が私にとっては高い。だから、さらにプラス150円を払ってまでバナナのトッピングを選べなかった私には、どっさりの生クリームにチョコレートソースがかかったもの(1本クッキー生地の菓子が刺さってある)を生地で巻いたクレープ風のものが届けられた。

持ってみると予想より軽いので「まさかコーンフレークも何も入ってない訳ないよね?」と言いながら半信半疑のまま車内で食べてみたけど、途中で泣きたくなってくるほど最後の最後までどっさりの生クリームだけだった。ワンコインの価値はまるでない。人生の中で、まさかクレープに裏切られるとは思ってもみなかった。絶望的。

さらに、隣でキャラメルクレープを食べていた夫が「この生地、焼き目が全然ないけど、既製品かな?業務用スーパーとかで売ってるやつ。」とか言い出すから、たしかに全く焼き目もないし皮の味もしないし冷たくて美味しくないし本当に最悪だった。祭りで買う露店のクレープの方がちゃんと買う人をわくわくさせてくれてよっぽど良心的だと思った。

この出来事をいまだに引きずってる私。「たかがクレープでそんな〜」と言われるかもしれないけど私にとっては一大事だ。だって、クレープを食べた後はきまって幸せな気持ちになれるものなのに、この時はたまらなく悲しくて悔しくてさみしかったから。

コロナ禍で経営が大変なのかな、とも一瞬頭をよぎったが、それとこれとは別問題で、経営側の方針は間違ってると思う。他に食べた人の感想が気になってグーグルの口コミを読むと、その点には誰も触れてないので、みんなお人好しだな〜と思った。(東京と違って、田舎ではネットでクレームを言っても匿名性が保たれないからたぶん口コミにはあまり書かないと思う)

大袈裟だけど、子どもたちが巣立ったらこの街出たいとすら思った。笑

よその街にある私のお気に入りのクレープ屋は、老舗の繁盛店で、いつも目の前でテキパキと焼いてくれて待たせないし、トッピングなんて頼まなくてもバナナやコーンフレークがたくさん入ってて、そういう当たり前だったサービスが、今とても恋しい。

娘にはいちごのトッピングをさせてあげてよかった。家族で2,000円以上使っちゃったけど、もう行くことないし、勉強させてもらった。ただで転ぶのも嫌だし、今後の自分の仕事観に生かそう。

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