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ヒーリングジャーニー13

母は買い物依存症だった。
自分で稼いだ人だったのでもちろん、買い物はもちろん女子の楽しみで素敵なこと。ショッピング好きは女子ならみんな多少はそんなものだ。
母はとにかく服を買いまくった。私の幼少の頃は、行きつけのブティックがあって、毎月服を買っていた。美容の仕事をしていたし、服は経費でもあったから、そして大抵、お洒落の似合う人だった。
お母さん、きれいだね。や、華やかだね。などと言われる人だったし、本人も基本はスカート、ヒールにストッキング、髪は肩より下、を貫いていた。
仕事だけでなく、歌うことが好きでコーラスからシャンソンまで、素人ながらに舞台に上がることが大好きな人だった。
母の衣装部屋はいつも服がテーブルやタンスや椅子、ハンガーラックに押し重なっていた。きちんと整理整頓できない人で、とにかく、スペースがあるといろんなものを置いていく。バックの中にはあらゆるものが入ったまま、ラックの上にどんどん服を積んでいく、そして、服には食べこぼしがよく付いていた。
そう、母は病んでいた。
亡くなる前を部屋を片付けていたら、途方もないストッキングや下着、溢れかえるプラスティックのアクセサリー、履かない靴、吐き気を催すほど、打ち捨てられたかのように物で溢れかえっていた。
亡くなる寸前まで、寝たきりの彼女は、バッグや財布など、テレビショッピングで買い続けた。
何かを一生懸命、埋めようとしていたが、頭はいつもパニックになっていて、溢れかえっていた。混乱していた。
私もそれを引き継いで、やっぱり服を買ってしまう。
もともとファッションも服も大好きだから、大学を出てアパレルに就職したくらいだけれど、いつも服を買うとき母と自分を重ねてしまう。
心が疲れたとき、服を買ってしまう自分に母を重ねている。
あんな風になってないか、狂ってないか。
何かを埋めるように、足りないものを埋めるように、服を買ってしまう私たち。
一体、何が足りないのか。
足りないと思い込んでいるのか。
ようやく、母のことがわかってきた気がする。
だけれど、私は同じ道は辿らない。彼女から学んだこと。
同じ傾向の思考回路を持つものとして、私は自分を満たす旅に出る。

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