[感想]劇想からまわりえっちゃん チャンバラ茶番!一生懸命えいえいおー
4/24(土)19時の回、劇想からまわりえっちゃんを観た。一年ほど前にチャンバラ茶番!満員御礼 が中止になり、ようやくこぎつけた久々の公演。
大学同期の林廉が所属しており、自分も以前、第よんじゅうからまわり『溶けて解せない』に出演させて頂いた。
結論から言うと、今回の公演はあまり響かなかった。
いや、誤解の無いように言わせてもらうが、劇想からまわりえっちゃんは本当に素晴らしい。こんなに「一生懸命」な人達はこのご時世なかなかいない。本気隊長・青沼先生をはじめ、メンバー皆燃えている。本気のエンターテイメントを提供しようとしている。この人達に今の自分は足元にも及ばない。
殺陣や演技のクオリティも並大抵のものではない。
後半あたりに現れた敵幹部の出現はとにかく衝撃的だった。劇団の主要メンバーの殆どが敵幹部側にいるのだ。もちろん前半も素晴らしかったのだが、
「ああそうだ忘れていた。この劇団にはこの人達がいたんだ。」
空気が一気に変わった。本当にズルい。あのビジュアル、たたずまい。マジで何?
林廉も素晴らしかった。自分は常々、戦闘狂みたいな役に憧れていたが、今回のれんがまさにそれを体現していた。あのダランとした刀の持ち方、飛び降り方。良い。最高にいい。少年の憧れ。サイコパス二刀流無邪気殺人鬼。
曲も良かった。
本当にそういう、一つ一つの要素は本当にプロフェッショナルで、半端ない劇団だというのはいつも痛感する。
しかしながらこの物語の本質。明るい。すごく、明るい。
いや、明るいのはいいことだ。こんな暗い世の中だもの。明るいエンターテイメントを提供して、人々に元気を与えたい。すごくわかる。それは素晴らしいことだ。そうするべきだ。
だけど私は捻くれている。みんなも結構そうじゃないか?いやむしろ、そういう人達が劇想からまわりえっちゃんのファンになってきたのではないか?
こんな世の中だから。いやこんな世の中だからこそ、私は物語で「闇」が見たい。光も闇もあるのが人生じゃないか。私は闇を受け入れ、共有していきたい。その為に物語はあるじゃないか。
からまわりブルーをやっていた人達が、その日は「ブルーな気持ちを吹っ飛ばせ!」と言っていたことに私はむしろ余計に辛くなってしまった。辛い現実から逃げ出したい。現実から目を背けたいという深層心理が垣間見えたことが、この観劇を切なくさせた。
ハグで暴力に勝つというあまりにも現実離れしたぶっ飛んだ設定。茶番だ。あまりにも茶番だ。
刀の時代に突如ショットマンレイが登場する。これは青沼さんのおもちゃ箱だ。辻褄なんて関係ない。ただひたすら、各々の好きなものをぶち込む。
地獄巡り終わりピリオドエヴァンゲリオンなんちゃらかんちゃら君の、「悪役にだって、バックボーンがあったっていいじゃないか。」の主張。そこがこの物語の肝かと思ったが、それも不完全燃焼で終わってしまった。
構成されるパーツの一つ一つは本当に完成度が高くて素晴らしい。でも、一体この物語はどこに行けばよかったのだろう?
真面目にやったら演劇はつまらなくなる。今あらゆる演劇が、「コロナだからこそ、」というプレッシャーにやられて肩に力が入ってしまっている感じがする。コロナだからこそ明るく楽しくしようぜ!という意気込みにどこか無理を感じてしまうのだ。
お芝居というものに関して現在、全然行動が出来ていない自分がこんなことを言うのは非常に図々しいと思うが、何はともあれさっさとこの事態が収束し、みんながもっと自然体で物作りをしていける日が来て欲しいと思っている。
いや、これほどのことがあった後では、もう今までと同じ状態ではいられないのかもしれないが。
それも含めての表現が今後もたくさん生まれていって欲しいと思う。
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