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ジョン・メイヤー 千切る ミー

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飲み込んだ言葉や思想は、どこへ行くのだろう。
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#自由詩

五篇

「このタバコ、ラムみたい」って言わなきゃさ、 吸ってなかったよハイ・ライトなんて。 「くちびるが、くっついちゃう」って フィルターに、残ったピンク・コーラル・ルージュ。 長雨に降り籠められて四畳半 きみ、タバコ、ぼく、コンドーム、ビール メール来た開いた読んだ「またいつか」、 五秒で返信「いつかっていつ?」 ガレージの老朽化だけが心配と 困り顔で話してた君がぶら下がっていて 倒れてた椅子を起こして僕は君を 梁から下ろして君はまだ息をしていて 部屋に運んで意識を取り戻す

röslein

一切の夢を見ることなく夜を明かした僕に硝子の剣みたいな陽射しが容赦なくふりかかる/コーヒー色に黄ばんだ脳は36.2℃にあっためられたって一向にめざめる気配がない/あの古池の蓮の根っこみたいなまどろみの中でぬかるんだ僕の細胞は今にも溶けて落ちてしまいそう/けだるさと昨晩の残りの酒気とに手を曳かれていまだ漂う君の紙巻のにおいを探り当てる/その手触りをなつかしみながら僕は疾うに羽化した君の殻に包まれる/ぺなぺなする布団の上で低い天井に向けて丸めた背を破って出るみどりごの飴細工みたい

オルガン

おまえの 眼と耳と鼻と口と腕と手と脚と足と指と爪と皮と毛と血と肉と骨と息と そしてmanasから 生まれた、 僕だよ。