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卓球 水谷選手が教えてくれた 長期投資のあるべき姿

東京オリンピックが終わりました。

個人的に女子バドミントンの決勝のチケットが当たっていて
日本人選手同士の決勝
奥原希望 選手 vs 山口茜 選手
と、かなり楽しみにしていたのですが、直前で無観客が決定、
がっかり、と思っていたら、両選手とも決勝に進むことができず。

なんか複雑・・・まぁ、チケット代が返ってくるからいいか
と気を取り直す。

今回の東京オリンピックで感じたことがありました。

水谷選手は戦ってきた相手

混合ダブルスで金メダル
団体で銅メダル

を取った水谷選手が長期にわたって戦ってきたものがありました。

もちろん、ライバルの選手と戦ってきたのですが、
今回、金メダル獲得をきっかけにニュースサイトで取りあげられた戦いがありました。

水谷選手が昔から戦ってきたこと。
それは不正ラバー問題

今回メダル獲得をきっかけに紹介された記事はこちら

で、次の記事は2012年11月のスポーツ雑誌「Number」の記事
私が水谷選手の戦いを知ったきっかけは、まさにこの記事
全文紹介されているのでぜひ読んでいただきたい。

しっかり、その時の記事が残っていてそのまま読めるって、すごい。
紙媒体だったら改めて目にすることは無かったはずだ。

この、ただじっとこちらに向けて訴えかける水谷選手の写真をいつまでも忘れられずに覚えている。
この記事を読んでから、応援せずにいれなくなった。
卓球の試合を見に行く機会は中々ないが、テレビで中継があればよく見ていた。

不正の内容


簡単に言えば、
ラバーの裏に特殊な液体を塗って、反発力を高め、打球のスピードや威力が増してスピンがかかりやすくなるだけでなく、表面が柔らかくなって、ボールコントロールが安定する。
用具ドーピング

車のノーマルエンジンににターボがついたようなもの(最近”ターボ”って言葉、使わないねw)

以下、記事より抜粋

みんなが当たり前に使うようになり、罪悪感がなくなっていった。
練習場で堂々と補助剤を塗ったり、補助剤を塗ったラバーを持って移動バスに乗り込む選手を何度も目撃するようになったのは、ここ2年ぐらいのことです。ルールを破る選手が増えるにしたがって、彼らのなかに罪悪感がなくなっていったのです。日本のスタッフに、製造メーカーの関係者が補助剤を使うよう勧めてきたこともありました。
 補助剤を塗り込めば膨張してラバーが厚くなります。ラバーの厚さは4ミリ以下に制限されているので、ラケットの表面をくり抜き、その上に違法ラバーを貼り付けて厚みをごまかす選手もいるのです。


魔法のような液体 補助剤が登場した経緯・禁止された経緯

 2008年の北京五輪までは「スピードグルー」という接着剤を僕を含めたほとんどの選手が使っていました。ラバーをより弾ませるために、この「グルー」を大量に塗り込んでラケットに貼り合わせていたのです。ゴムの分子と溶剤の分子が結合して膨張するのは補助剤と同じですが、グルーは有機溶剤が主成分なので、人体への影響が懸念されていました。
 グルーの使用が禁止されたのは、'07年にグルーを塗っていた日本の選手が意識不明の重体になった事故がきっかけです。日本卓球協会がいちはやくグルーの使用禁止を選手に勧告し、ITTFも北京五輪後にグルーの全面禁止に踏み切りました。同時に、ラバーに接着剤や接着シート以外の付加的な処理、いわゆる「後加工」を禁じることもルールに定めたのです。
 初めてグルーを塗らないラバーで打った時、全然弾まないし、摩擦力も落ちて愕然としたことを覚えています。同じラバーを使っても、感覚がまったく違うんです。いろんなラバーを試し、違和感なく打てるようになるのに2カ月ほどかかりました。
 しかし、グルーと同じ感覚を求めた一部の選手は、新たな方法でラバーを弾ませることを考えました。それが、補助剤です。もちろん、補助剤を塗る行為は「後加工」にあたりますから、補助剤はこの時点で卓球界に存在してはならないものだったのですが……。
半年もしないうちに補助剤を使っている選手が何人か現れました。いつ、誰がどこで最初に使ったのかはわかりませんが、'09年4~5月に横浜で世界選手権が開かれたころにはかなり増えていたと思います。
 対戦すると、ITTFに公認されたラバーの性能では考えられないスピードと回転でボールが返ってくるし、金属を叩くような打球音が会場に響くからわかるんです。
 僕たちはミリ単位の繊細な感覚で技術を競っています。補助剤を塗った選手との試合を100m走にたとえれば、スタートラインの10m先に相手のスターティングブロックが設置されているようなものなんです。大事な試合で違法ラバーを使う選手に負けるたび、もし、補助剤がなかったら……と考えないわけにはいきませんでした。
日本選手は厳格にルールを守っているが、日本以外の国ではこの違法ラバーを使って国際大会に出場している選手がたくさんいる。
それに対して、水谷選手は技術を磨くことでルール違反の選手に勝とうとしていた。
北京五輪が終わったあと、僕はメダルを逃した悔しさを次のロンドンで晴らそうと練習を積んできました。その思いが強かったから全日本選手権を5連覇し、世界ランキングも5位まであげることができました。補助剤の問題が起こっても、ロンドンまでには解決すると信じていたのです。
 ロンドン五輪の直前、僕はITTF副会長で日本卓球協会副会長も務める木村興治さんに直訴しました。
「卓球をやめる前に、一度でもいいから、補助剤なしのフェアな条件で世界の頂点を争ってみたい」と。木村さんは僕の思いを受けとめてくださり、ITTFのアダム・シャララ会長にフェアプレーの精神を選手に徹底させるよう強く訴えてくれました。そのことにはとても感謝しています。
 でも、結果的にロンドンでも何も変わらなかったのです


「メダルを獲れなかった言い訳にするな」という声も。

 だが、ロンドン五輪開催中にアダム・シャララ会長が「不正行為をしている選手がいるのはわかっている」と、日本のテレビ局の取材に語ってから流れが変わってきたという。
「これは大きな前進です。トップが不正を認めたのですから、ITTFは急いで問題解決にあたらなければいけません。水谷選手の憤りは理解できますが、今は自分の技術を磨くことに集中してほしい。問題が解決したとき、改めて日本選手のフェアプレーの精神が讃えられるはずですから。シャララ会長は同じ取材で『リオまでには解決したい』と語ってましたが、私個人の思いとしては、この1年以内にすべての状況をフェアにしていきたい
 ロンドン五輪のあと、問題を解決するためには自分の進退をかけるしかないと思いました。それで静岡に帰省したとき、新聞記者の人たちに補助剤の問題を訴え、解決するまでは国際大会を欠場する意向を伝えたのです。
 いろんな反応がありました。「メダルを獲れなかった言い訳にするな」という声も聞こえてきました。僕の立場が危うくなることを心配してくれる人もいましたが、僕は自分の競技人生だけではなく、卓球という競技が歪んだ方向へ流れていくのをなんとかしてくい止めたいのです。

卓球を守るために自分があると考えていた

(カッコよすぎて涙出る・・・)

今はこの問題を解決するために、自分がいるんだと思っています。
 インタビューを終える直前、水谷隼は「自分は捨て石になってもかまわない」とも言った。だが、その覚悟の強さが、稀有な才能を孤立させることにつながらないだろうか。そんな危惧を伝えると、さらに力のこもった言葉が返ってきた。
 もちろん、協会をはじめ、いろんな人と協力してこの問題を解決していきたい。でも、仮に声をあげるのが僕一人になっても考えは変わりません。それは、卓球という競技を守るために、自分は正しいことをしているという確信があるからです。違う時代にプレーできていれば……と否定的に考えたこともありましたが、今はこの問題を解決するために自分がいるんだと思っています。


水谷選手がカッコよすぎて、卓球の話が長くなってしまった。

ここで考えたいのはなぜ不正が起こるのか
ということ。

(卓球に限らず)なぜ不正が起こるのか

不正が起こるのはなぜか
勝ちたいから
にほかならない
ではなぜアスリートが勝ちたいのか
に目を向ける。

勝たなければ未来は変えられない
不正をしてでも変えたい今の環境に原因があると考える。

環境とは、個人的な生活環境や、そのスポーツを取り巻く環境

アスリートのサポートをしている私の友人のコメントが心にささりました。

”正しい事だけやっていて、結果が出ないままに終る
このような不正やドーピングはもちろんいけないことですが、一方でこういう状況(不正をしてまで勝ちたい)下であることも事実で。ここまでのレベルではありませんでしたが、不正をしてしまうアスリートの精神状態が分かります、、
勝つことで人生がすべて左右される、とにかく勝てばいい。企業でいうと儲ければいいという概念と似ていると思います。”


結果を出すことが、今までに動かなかったものを動かすきっかけとなる。

例えば、スケートボード。金メダル獲得によって、動いた。
金メダルを取らなかったら、撤去されていたかもしれないスケートボードパーク。その存続が検討されている。

有明にある東京五輪のスケートボード競技会場を恒久施設として残す方向で都と調整していることを明らかにした。会場の「有明アーバンスポーツパーク」では、地元出身の堀米雄斗選手(22)がスケートボードの初代王者に輝くなど日本勢が活躍を見せており、山崎区長は「東京五輪のメモリアルパークにすべきだと考えている」

しかし、多くの場合、結果が出なければ動かない。

”不正をしてでも” 結果を出せば注目され、やっと声が届く。
環境が変えられる。
スタートラインに立つことができる。
と考えざるを得ない。

意見を言いたければ結果を出せ
という、そんな環境を作った私たちが不正を生み出している。

私たちにできること
そこで、今から私たちができることを2つ掲げたい。

①行動すること
②結果に期限を求めない
③過程を評価すること

①行動すること

自分の価値観で正しいと共感できるなら、共感できることを基に行動に移す。
正しいと共感できるのであれば共感できることを発信する。
結果が出るまで応援する。
頑張りを見ていてくれる人がいれば頑張ることができる。

②結果に期限を求めない

結果を期待するが、結果を出すことに期限を決めない。
相手がある事なので、個人の努力でカバー出来ないことがある。

③過程を評価する

最近、プロセスエコノミーという言葉を聞くことが増えた。
プロセス=過程
結果だけを評価するのではなく
その過程も含めて評価する。
といこと
アスリートの場合、もしかしたらその人が現役の時に結果が出ないかもしれない。
それでもその過程を一緒に歩めたら、応援する側もその時間は充実したものになる。

投資家の意見 結果が出なければ株価は上がらない 本当か?

一転して投資家に置き換えて考えてみる。

投資家の方は異論があるかもしれない

”結果が出なければ(増収や増益など)株価は上がらないだろう”
”何を寝ぼけたことを言っているのだ”
と。

もちろん、全く成長もせず、減収減益、などであれば、株価は上がらないが
必死に社会を変えるために努力をしていれば、必ず何かが残るものだ。
それをみて
応援してくれる人が増えれば株価は上がる。

応援してくれる人が1人だったのが2人になり3人になり、10人になり、100人になり、日本全体が応援してくれたら、それで株価は上がる。

もし、その社長が思うように社会に変化を与えることが出来ず、
途上で終わり、世代交代を迎えたとしても次の社長が引き継ぐ。
アスリートの場合と違い、会社は継続する。
社長の遺志を継いで目指している社会課題の解決の道は続く。

”応援してくれる人が増える”
は企業価値算定の要素として、流動性を高め、割引率を下げることである。

短期的に業績が伴わなくても
・やっていること自体を応援したいという人が増えること
・長期的に結果が出るであろうと期待できること
によって株価は上がる。

成果が出るまで待っている投資家がいれば、経営者は頑張れる。

反対に
”どんなことをやってるかなど、どうでもいい”
”過程はどうでもいいから結果を出せ”
”今期、増収増益を出せ”
という投資家の圧力が強ければ、投資を後回しにして増収増益の数字を作ろうとする。投資をしなければ、継続性がなくなる。
数字を作れなければ不正を行う。
手段がなくなれば、最後には粉飾決算に走る。


長期投資とは”経営者を孤独にしない”ということ

長期投資とは
経営者が正しいと思うことをリスクをとって社会を変えようとするとき、リスクの一部を受け取って、隣で伴走すること=過程を共に生きること

以前こんなことを書いていた。

社会課題の解決に目覚め、何かをしようと決意し動き出すとき、
これまで一緒にいた人とは違う考え、行動をすることになる。
考えも判断基準もスピード感も違うものになる。
その結果、自然と孤独になるはずだ。
自分の行動の基準は、
”隣にいる人と合わせる”
よりも、
”社会課題の解決”
が最優先となるためだ。
”経営者の努力に共感できる”
”これからも応援したい”
という投資家が少なすぎる。
”経営者に共感できるかどうか”
を基準にする投資家が株式市場に増えてほしい。


企業はもっとアピールを!

企業ももっと発信してほしい

”私たちはこんな社会課題を解決している”
”未来の日本は、未来の世界はこんなに良くなる”
”その為に私たちは頑張る”
”応援してほしい!”
と。

まだまだアピールが足りない!


あー改めておめでとうございます!

改めて 水谷選手 金メダル獲得おめでとうございます

水谷選手のつらい思いを思い出すと涙が出そうになります。
孤独な戦いでつらかっただろうと。

そこで今回の東京オリンピック、
目の状態が万全でない状態で思うようにプレーできずに苦しい日々を乗り越えたことを尊敬します。

張本君にエースの座を譲っての出場

結果が出ないままに世代交代は辛すぎるとおもっていたところで
混合ダブルスで金メダル!
中国に一矢報いた!

最高です!

引退は惜しいけど、お疲れ様でした。
いつでも明るく戦ってきた水谷選手が大好きです。
東京オリンピックに間に合ってよかった。
金が間に合ってよかった。

まずはゆっくり休息をとってください。

おめでとうございます!

ここまで読んでいただきありがとうございます

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