雨の好きなところ

雨が好きだ。

出不精に都合のいい、言い訳をつくってくれるから。
「休日なにしてた?」に対する対抗策を与えてくれる。


雨が好きだ。もっと言うと、雨に濡れるのが好きだ。

ずぶ濡れになると何もかも全部どうでも良くなって、脳裏にいたモヤモヤも空のシャワーで溶けて流されていく。そんな感覚になれる。
時々Youtubeで泥塗れになってしっぽを振ってる犬がおすすめに現れるけど、私は前世では彼らの仲間だったのかもしれない。


雨に濡れるのが好きだ。

傘を差し出してくれる人が案外多いことを、知れるから。
雨戸を閉めようとしたおばさん、駅ですれ違った外国人、ガラス戸の事務所から外を覗いてたおじさん。
傘を差し出されたときの感動を知ることができた。


雨上がりが好きだ。

水たまりで写真を撮ると世界がひっくり返ったみたいな、そんな写真が撮れるから。それがただ上から眺める分には汚い泥水でも。


ずぶ濡れで帰宅するのが好きだ。

雨粒を拭ってくれて、お風呂を促してくれたあの家を思い出すから。


今日、こっそり、夜中に抜け出して雨にひっそり打たれてみよう。
そんな夜があっても楽しい。

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