【痛い話】部活動で靭帯損傷した話

皆さん、人生で一番の怪我は何でしょうか?
私はダントツで膝の靭帯損傷です。

凄くざっくり説明すると、人間の膝の関節には「十字靭帯」という線状の組織がクロスしています。そして、関節の骨同士を繋ぐように「内側靭帯」と「外側靭帯」が繋がっています。

下の文字図でいうとXが十字靭帯、外側にある()が外側靭帯、内側にある)(が内側靭帯です。

           膝の骨     膝の骨
          ( X )   ( X )
           膝の骨     膝の骨

【文字で両足の靭帯を表現したイメージ図】

靭帯損傷とは、靭帯に何らかの衝撃が加わったこと部分的に伸びてしまい、激しい痛みを伴う状態を指します。
さらに衝撃が加わると靭帯が切れて(靭帯断裂)しまうこともあります。
ここまでの状態になると、手術が必要になるケースもあります。


さて、ここからが本題です。
私は小学校3年生~高校3年生まで柔道をしていたのですが、
高校1年生の時、部活動中に右膝の靭帯を損傷しました。

柔道は2人1組になって「乱取り」という立ち技の稽古をするのですが、その最中に別の組が激突してきたことで右膝の内側靭帯に負荷か掛かり、損傷してしまったのです。

靭帯損傷になった瞬間、痛みのあまり膝を抱えたまま、畳の上をのたうち回りました。滝のように汗が出て、起き上がることができません。
膝を少しでも動かすと膝に激痛が走ります。しかし、動かないでいると脈打つようにドクドクと痛みが押し寄せてきます。
 あまりの激痛により「こんなに痛いなら膝から下が無い方が良い」などと思ってしまうほどの衝撃でした。

私にとって、靭帯損傷は人生で最も痛い怪我となり、もう二度と同じ思いはしたくないと、文字通り痛感しました。


この時は遠くない未来、総計4回に渡り両膝の靭帯を損傷することになるとは思いもしませんでした。


二回目の損傷も部活動中に起きました。
これまた「乱取り」稽古中、今度は左足の「外側靭帯」を損傷しました。

前回の靭帯を損傷して以降、乱取り中は後輩達が組同士が衝突しないようにバリケードとなっていたのですが、あろうことかその強固なバリケードを突き破ってきた組との衝突により、私はまたしても怪我をしてしまいました。

(私の主観ですが)外側靭帯の損傷は、内側靭帯ほどの衝撃はありませんでした。と言うのも、人間の膝は内側には曲げずらいですが、外側には曲げやすい作りとなっています(胡坐が良い例)
 そのため、膝の外側に掛かる衝撃には、ある程度は耐えられるようになっているのです。とは言え、私の膝に掛かった衝撃はそのキャパシティを大きく超えていたので、またしても痛みで転がり回ることになりました。

しかし、真の苦痛はこの後にやってきたのです。


内側靭帯損傷は、膝を内側に曲げると激痛が伴います。
外側靭帯の場合はその逆で、膝を外側に曲げると激痛が伴います。

大変お手数で申し訳ありませんが、立ち上がった上で
両足を肩幅まで開いた後、体を左右に傾けてみてください。
※決して痛みや怪我を伴うことは言いません。

体を右に傾けると左膝の内側靭帯、右膝の外側靭帯の順に負荷が掛かり「伸びてるな~」と感じられるかと思います。
逆に左に傾けると右膝の内側靭帯、左膝の外側靭帯の順に負荷を感じると思います。


これを踏まえた上で柔道における「組み手」を説明したいと思います。

空手には同名の「組手」という稽古があるのですが、柔道における「組み手」は自分と相手との適当な間合いのことを指します。
組み手は「釣り手」「引き手」により成立します。

「釣り手」は相手の柔道着の襟部分を持つ手を指し、
上下に動かすことで、主に相手の重心を崩すために使用します。

「引き手」は相手の柔道着の袖部分を持つ手を指し、
左右に動かすことで、主に相手の体幹を崩すために使用します。

※間違っていたら申し訳ありません。

この組み手による上下左右の動き(体さばき)で相手の力を利用しつつ、足腰を駆使した技を加えることで投げ飛ばす。
これこそが「柔よく剛を制す」を体現した柔道なのです!
              ※間違っていたら申し訳ありません。


さて、「釣り手」と「引き手」ですが、どちらが右手か左手かにより組み手の名称が変わります。

右手を釣り手(襟)、左手を引き手(袖)とする場合、右足を前に出し、左足を後ろに引きます。この組み方を「右自然体右組み」と言います。

右手を引き手(袖)、左手を釣り手(袖)とする場合、左足を前に出し、右足を後ろに引きます。この組み方を「左自然体左組み」と言います。

私の認識では、多くの柔道選手は「右自然体右組み」でして、
「左自然体左組み」の選手は珍しいと思います。
恐らく、右利きの人口が多いことから、より力が込められる右の利き手を釣り手とする選手が多いのではないでしょうか。

「右自然体右組み」同士、または、「左自然体左組み」同士の人が互いに組合う事を「合い四つ」と言います。
 この場合、お互いの体が平行に並ぶため、お互いに釣り手と引き手を掴みやすい状態となります。

一方で「右自然体右組み」と「左自然体左組み」の人が互いに組合うことを「喧嘩四つ」と言います。 この場合、お互いの体がㇵの字に並ぶため。釣り手は掴みやすいですが、引き手が掴み辛い状態になります。


長文失礼しました。思い出話に戻るのですが、
私は当時の環境では珍しい右利きでありながら「左自然体左組み」の選手でした。そのゆえ、私の試合は組み手の取り合いにじっくりと時間を掛けた試合運びとなる(または一瞬で投げられて負ける)傾向がありました。

「左自然体左組み」は重心が左足に掛かり、右足は浮く傾向があります。
これこそが私を苦しめる要因となったのです。

重心が左足掛かるということは、体が左に傾くということです。
これは右膝の内側靭帯損傷、かつ、左膝の外側靭帯損傷をしている私に取っては苦痛以外の何物でもありませんでした。


組み手の取り合いが重要なのに、この時点で両膝に負担が掛かって体力を消耗します。組み手が成立しても、ここから相手を投げる必要があります。
試合中はアドレナリン?の影響か、痛みを感じにくくなっているのですが、
それでも辛い事には変わりありません。

そして、この痛みは肉体だけでなく、精神にも大きな影響を及ぼします。

試合後、心が落ち着いてくると比例して膝の痛みが強くなっていきます。
「もう二度と味わいたくない」と思った痛みが試合の度に甦る。
これは恐ろしいことでした。

仮に痛みが治まっても、こうなることが分かった状態で次の試合に臨む。
これはある意味でもっと恐ろしいことでした。

今思い出すと「本当に恐ろしいことだった」のだと思います。

学生時代の私は、今の私の事など意に介さず「膝から下が無くなっても良い」という気持ちで部活動に望んでいました。

客観的に考えると漫画の主人公みたいな考え方をしていたと思います。
大した実績も残せませんでしたが…笑


誰しも「若き日の過ち」なるものがあるかと思います。
年を重ねたある日突然、あの日を思い返して感傷に浸る。そして前へ進む。
人間とはそういう生き物なのかも知れません。少なくとも私はそうです。

過去の自分を許せない時があるかも知れません。
しかし、あの日々の積み重ねが無ければ、今の自分は無いのです。
そう思うと、過去の自分も愛おしく感じられます。

季節の変わり目や運動した時に未だに膝が痛みます。
しかし、その痛みは過去(一生懸命だった頃)の私を思い出させます。
これが今の私の精神的支柱です。

10年以上柔道をして、はっきり言って大した実績は残せませんでしたが、
あの経験があったからこそ、今のそこそこ強靭なメンタルが形成されていることは間違いありません。

これからも生きる上で様々な障壁に直面するかと思いますが、
あの日の痛みを思い出せば、多分どんな障壁でも突破できると思います。

この痛みを盾に人生を謳歌したいものです。


長々と書きましたが、これが2回目の靭帯損傷した思い出話となります。

そう、冒頭でも書きましたが、私はこの後でさらに2回靭帯を損傷することになります。その話はまた次の機会にお話ししたいと思います。

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