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エマワトソンは、絵になるというよりもはや絵だな/映画"Little Women"感想

久しぶりに劇場で映画を観ることができた。コロナのおかげで実に3ヶ月ぶりだ。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(原題:Little Women)
2019年アカデミー賞で作品賞を含む6部門にノミネートされた話題作だ。
日本の配給会社がつけたいかにもな邦題のせいで足が遠のいていたが、友人がTwitterで絶賛していたので、「それならまあ、観てもいいか」とミーハーメンタルで鑑賞しに行った。

ごめんなさい、めちゃくちゃ良かった。

監督のグレタ・ガーウィグと主演のシアーシャ・ローナンは、2017年の名作"Lady Bird"(日本では2018年公開)と同じコンビである。
これを前から知っていれば、邦題なんてお構いなし、無条件で公開初日に映画館ダッシュをかましていただろう。なにしろLady Birdは俺の大好物だった。このコンビの新作が駄作なわけがない。

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監督が描くキャラクターが巧いのか、演じるシアーシャ・ローナンが巧いのか、勿論その両方だろう。とにかく彼女らが魅せる「モラトリアムを脱しようともがき、羽化しようとする少女」は本当に素晴らしい。

また、今もっともキテるイケメン、ティモシー・シャラメもLady Birdから続投している。

この人の勢いはほんとに凄いな。今回の上映前にも次回主演作の予告が流れていた。それもエルファニングとの共演...
嫉妬しかねえ。

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|ざっくり内容紹介

原作は「若草物語(Little Women)」
誰もが一度は聞いたことがあるだろう有名作品だが、恥ずかしながら自分は読んだこともなければ、話のあらすじを聞いたこともなかった。
教養がないので。
原作もぜひ読もうと思う。

舞台は19世紀後半、アメリカ。
お話は過去の回想と現在の2つの時間軸を交互に挟み込みながら進行する。

過去パートでは、主人公のジョー達4姉妹の、特別何でもない、幸せに満ちた日々が豊かなキャラクター描写で描かれている。
言ってしまえばキャラクターモノであり、日常モノである。

ここで描かれている日常がたまらない。まさに眼福。
マーチ一家を取り巻くすべてに愛が満ちていて、なんかこっちまで幸せになってきて泣けてくる。幸せをシェアされて泣いちゃうってバグってるよな。ハハ。

一方で、現在パートでは過去パートから7年後、姉妹が実家から離れた後を描いているのだが、それぞれの姉妹の人生にはそれぞれの暗雲が立ち込めている。

幸せな少女時代と、現実にくじかれる主人公たちのシーンとが交互に映し出され、そのコントラストに終始胸が苦しくなる。
がんばれジョー、がんばれメグ、エイミー、ベス、がんばれ私がんばれ今日も行ってきます行ってらっしゃい。

全体の構成はそんな感じ。

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エマワトソンは長女メグ役で出演しています。美しい...

|メインテーマについて

全体を通した本筋は、女性が生きていくには結婚する以外にほとんど選択肢がなかった時代において、主人公ジョーが文筆で生きていくことに挑戦する、自分の生き方を自分で選び取ろうとする物語だ。

この主題については、鈴木涼美さんの記事が素晴らしかったので是非一読してみて欲しい。

本当に素晴らしい内容で、俺みたいな知見の浅い人間がここに加えられることなんてほとんどないのだけど。

ただ、一つだけ思ったのは、この映画でジョー達が立ち向かう苦しみは、女性だけでなく男性にも共通するものなんじゃないかなあということ。

年を取るにつれて、既存の男性像と自分の生き方が切っても切れないような感覚が増していく。そこへの不安、抵抗、嫌悪と、マジョリティに流れることで手に入ると思われる安定と安心。
そういった葛藤が、少なくとも俺にはある。

描かれているのは女性の受難であり、もしかするとグレタ監督が投げるメッセージは我々男性側には向かっていないのかもしれない。
ただ、ジョーがステレオタイプの檻を打ち破ろうとする姿が、男性である俺という人間を真の底から武者震いさせたのは事実である。

この映画には、男女という区分を超えて、1人の人間の胸を大きく打つには十分な感動がある。

|俺TUEEE系人生は諦めた

終盤、主人公ジョーの人生は怒涛のフルボッコタイムを迎える。
連続クロスパンチがあまりに綺麗に決まるので、可哀想メーターがカンストして逆に笑い出してしまうほどだ。

この映画は、ジョーが自伝的小説"Little Women"を書き上げるまでのプロセスを描いた物語であり、すなわち、主人公が「人生は物語だ」と認識するまでのお話だ。
この人生という物語をおもしろくしようと思ったとき、想定外のフルボッコタイムは、かなり「アツイ」イベントだったのだ。

つまり、「人生思い通りにならねえなあ」なんて落ち込んでしまったとき、少し俯瞰して作話的目線を持つと、その体験は「おいしい」のである。

俺、こういった考え方が結構好きで、星野源を好きになった理由もここにあったりする。
フィルムという曲を聞いてみて欲しい。
今気づいたけれど、PUNPEEのScenario(Film)という曲にも似たような一節があるな。おもしろい。

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勿論、そういう考え方のもとに立っても一貫性を保つのは大変で、かつて描いた青写真が後ろ指指してきたりする。
そんなコンプレックスと折り合いをつけながら、精一杯、等身大で今を駆け抜けたいな、なんて思うわけですよ。
ワンパンマンみたいな俺TUEEE系の人生もあれば、人間失格みたいなクソこじらせ系人生があったっていいのだ。
ワンパンマンと太宰って歪でセンスのない対比だな。

|結論

①ティモシー・シャラメになりてえ

②エマワトソンは絵

|おわりに

もう少し書きたいことがあったはずなんだけど、気付いたら結構長くなってたし死ぬほど眠いのでこんくらいで終わる。
眠すぎて後半は感情的だし、自分でも何言ってんのかよくわかんねえ。

本当にめちゃくちゃ感動したから、その熱量だけでも共有できてたらいいなあ。

追記
・やっぱさすがに人間失格みたいな人生は嫌
・エマワトソンは絵とか言ってるけど、あの人の魅力は容貌よりむしろ生き様、品格からくるものだと考えております。

おやすみなさい。

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金くれ