君がきらい

ぼくは、彼女の唇に接吻した。

そして、彼女を抱きしめた。

――あなたといっしょなら、どこへでも行くわ。

彼女はいった。

――ここじゃだめだ。どこか遠くへ行くんだ。

――もう手遅れよ。あのひとが見ている。

あの人、とは僕のことである。――あいつをやっつける。

僕はそういって、彼女を抱きかかえた。

――いいえ、それはできないの。あたしにはわかるわ。

彼女がそういったとき、僕は彼女をおろそうとしていたのだけれど、その動作をやめて、また抱きあげた。

――ねえ、今日は僕がそっちのはずなのだけれど。

いただいたお気持ちは必ず創作に活かします もらった分だけ自身の世界を広げます