そのこ

ここにいる私、ここにいる私、ここにいる私
そして、この声は、この言葉は。
そうか。そういうことだったのか。
ああ。ようやくわかったよ。
僕が、この世界に来た理由が。
僕のやるべきことが。
だから――
僕は、一歩を踏み出した。
いないいないばぁ。とろけた顔で笑う我が子に笑い返す。
この笑顔を見るたびに思うのだ。
幸せだなあ、と。
愛しい子を抱き上げながら、そんなことをしみじみと思った。
この子のためならなんだってできる。
なんでもしてあげたいと思う。
なんだこれ。つまんねぇな。
なんて言う人は、きっとこの気持ちをわからないのだろう。
だってこんなにも幸せなんだから。
腕の中のぬくもりを感じて目を細める。
ふわっと香る甘い匂いに頬が緩む。
柔らかくて小さな体からは想像できないくらいの力で抱きしめてくる。
否定するなよ。俺を。

いただいたお気持ちは必ず創作に活かします もらった分だけ自身の世界を広げます