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かつてないほどスポーティに仕立てられたNew Vespa/GTV

写真説明)2023年6月28日、イタリア本国で発表された新型GTVです。6月29日現在、ピアッジオグループジャパンより国内導入の案内は届いていませんが、ぜひデリバリーを期待したい1台と言えそうです


“伝説と現代性の並外れた組み合わせ”が生み出したNew GTV

発表では「ベスパ・GTVは伝説と現代性の並外れた組み合わせです」とあります。伝説は初期の頃のファロバッソ(注1)、特に映画「ローマの休日」で劇中車として起用されたベスパ辺りを指しているのでしょう。実際、GTVは2006年のデビュー(注2)以来、一貫してファロバッソ・スタイルを継承しています。現代性についてはGTVのベースが常に最新のGTSであるという点に尽きます。つまり往年の名車をオマージュしつつ、最新のスペックで武装されているところが“伝説と現代性の並外れた組み合わせ”なのでしょう。
低い位置のヘッドライトと露出したチューブラー・ハンドルバーによりスポーティに仕立てられ、新たなデジタル計器にフルLEDライトやキーレス・システムといったハイテク装備のパッケージも組み合わされています。そしてこれまでベスパに搭載された中で最も強力な17.5kW(23.8HP)を誇る4バルブ水冷単気筒・300HPE(High Performance Engine)を搭載し、パフォーマンス面でも間違いなくスポーティである事を堪能できるに違いありません。

日本国内に於いて、ここ暫くはGTVがラインナップから外され、代わりにセイ・ジョルニがファロバッソ・スタイルを継承したモデルとなっていました。もしかするとシックなデザインだったGTVから、レーシーなヒストリーを纏ったセイ・ジョルニへと、このラインのイメージを変えたかったのかも知れません。そして2023年、完全に革新的なバージョンとしてGTVがデビュー。伝説の起源との必須の類似点を維持しながら、それらを超最新の技術装備パッケージと前例のない最も本格的にスポーティなベスパとして誕生……こうなると、国内導入のアナウンスが待ち遠しくなると言うものです

本格的なファロバッソ・スタイルをさらにスポーティに

新しいGTVはスポーティさを看板に進化しています。New GTSシリーズに導入された大幅なスタイルの改善を含み、さらに入念に作り込まれた仕上げ、これまでにないレベルにまで上昇した構造品質を備えています。
フロントフェンダー上の特徴的なヘッドライトには、超薄型LEDのライトクラスターをい採用。新しい計器類はエレガントな円形でありながら完全にデジタル化され、Vespa MIA接続システムによってスマートフォンと接続させてその機能を活用する事も可能。計器類は、オリジナルのオフセットブラケットを使用してハンドルバーに接続する事で寸法を削減。ボディに合わせて塗装されたトップフェアリングには3つの水平スロットが入り、明確にレーシングインスピレーションを備えたアグレッシブな外観形成に貢献しています。
他にもレッグシールド前面の中央部、ネクタイにはオレンジの縁取りによって強調されたスポーティな横方向のスロットを装備。マットブラックに塗装されたNewデザインのホイールは、5本スポークとリムに施されたオレンジのグラフィックで洗練されたスポーティ感を演出。GTVのボディカラーはベージュとブラックをラインナップ。トップフェアリングと両サイドパネルに走る、コントラストの効いたオレンジのグラフィック・ラインがスピード感を刺激します。

トップフェアリングとネクタイのスロット、ホイールデザインとオレンジのグラフィック、十分過ぎる機能を備えてスマホとの連動も可能な丸型スピードメーターなどがデフォルトで装備されています

アクセサリーのチョイスで大胆なレーシングルックも

ベスパ・GTVのもう1つの特徴的な要素は、充実のアクセサリー群にあります。例えばオレンジ色のトップフェアリングなら、さらに大胆なルックスを実現できる事でしょう。ボディカラーに合わせて色分けされた取り外し可能な硬質カバーなら、ツートンカラーのシングルシーターサドルとなり、それらを組み合わせればたちまちレーシングルックの完成です。
シングルシーターサドルを装着しても、サドルの面積はセミダブル程度の座面を確保しているためタンデムする事も可能。2パターンの表皮を組み合わせ、縁取りにはオレンジ色のステッチをあしらう事でコントラストの効いたシルエットを形成します。
他にはサイレンサーカバー、ウィンドスクリーン、フロントラックなどもチョイスできますから、実用面を強化していく事も可能です。

アクセサリー装着例。硬質カバーによる“ソロライド専用っぽさ”、オレンジのトップフェアリングの存在感、スタンダードとは異なるサイレンサー、それらが相まってスパルタンな印象作りに一役買っています。いっぽうウィンドスクリーンとフロントラックをチョイスすれば、違和感なく実用度を高められる事も証明しています

ハイテク機器によって強化された“GTイズム”の極み

ベスパ・GTVは、 ごく最近のGTSシリーズの進化を踏襲しています。したがって人間工学的に追求された大きなボディによって、乗車時の快適性が強化されているのです。座り心地は自然で、車両を完全にコントロールでき、長距離でも絶対的な快適さを実現します。これってGT、そしてGTS……というふうに、連綿と育まれてきた“GTイズム(注3)”の現段階での集大成って事なんだろうなという気がします。
また従来のキーを使わずにイグニッションをオンにできるキーレスシステムが導入され、利便性と実用性が強調されています。クラシックなイグニッションキースイッチは廃止され、実用的なノブへと置き換えられています。車両を始動するには、ボタンを押してオンの位置に回すだけ。その後、通常通り右側のコントロールブロックにあるセルスタートボタンを使用してエンジンを始動します。
加えて、新しいLCD計器の採用により、トリップ情報(最高速度、平均速度、消費電流、平均消費量、航続可能距離、バッテリーの充電状態)を表示。他にもVespa MIA接続システムを介してスマートフォンとの接続を完了させていれば、通話、メッセージ、メッセージに関するすべての通知が表示される様になります。
さらにレッグシールド背面の収納コンパートメントにはUSBポート、広々としたシート下ラゲッジにはマットを標準装備。安全面も抜かりはなく、ASR電子トラクションコントロールとABSアンチロックブレーキシステムが標準装備されています。

Vespa・GTV/ベージュ(Beige Avvolgente)
Vespa・GTV/ブラック(Nero Convinto)

注1)ファロバッソとは低い位置のヘッドライトを意味しているので、往年のフロントフェンダー上にヘッドライトを備えたモデルを指しています。ちなみに日本ではフェンダーライトと言う呼び方が定着していますが、世界的にはファロバッソでないと通じません
注2)2006年はベスパの60周年というメモリアルイヤーでした。この年の記念モデルとして全世界999台/日本国内正規輸入18台というレアモデルだったのがGT60。このGT60を入手できなかった人々の声に応えるかっこうで、すぐさまリリースされたのがGTVでした
注3)GTイズムについては、特に製造メーカーのピアッジオが明言しているワケではありません。ただ、ピアッジオは以前からベスパを単なる街の移動手段と括るような位置付けとはしてこなかった節が感じられ、GTの登場を機に“GTおよびGTSシリーズが旅のパートナーである”という色を強めてきた様に感じるのです





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