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Newレギュレーションで大胆変革のベスパレース/VespaGP-2023シーズンRound1

写真説明)開幕戦にエントリーしたのは15名。それぞれのマシンを綺麗に並べてVespaGPをアピールするのはお馴染みの光景です。一番手前側のマシンは新レギュレーションで参加が可能となった現行4stモデルのベスパ・スプリント150

コース上ではブリーフィング(ライダースミーティング)が行われ、参加者達が集結。コース状況やこの日の注意事項などが伝えられていました

現行4stモデルのATベスパが参戦!?

ついにVespaGP・2023シーズンが始動しました。レギュレーションに大きな変更が加わり、しかも2stオンリーだったVespaGPに現行4stモデルの参加が可能となり注目度が増しそうです。現行4stモデルとはSPRINT & Primavera150(i-getエンジン&ABS装着車)のノーマルエンジン搭載車を指し、指定タイヤの装着がマスト。改造範囲はブレーキパッドとサスペンションのみとされ、どちらもマロッシ製品のみが許されています。なんだかATベスパでのレースに興味が沸きますね。それでは開幕戦をチェックしてみましょう!
【◎取材協力:VespaGP事務局 ◎写真:小野寺/土田/正井/菊地 & 事務局】

最終コーナーのアウト側から見た各ライダーの走り。2本の練習走行で調子を上げて、ライダーそれぞれが予選へと挑みます

2023シーズン、いよいよ茂原ツインサーキットで開幕!

コースインのために集結した参加ライダー達。コースインは常にホームストレート脇の新入経路からになります

今シーズンもVespaGPが始動しました。その開幕第1戦は千葉県茂原市の茂原ツインサーキットにて開催。主に4輪対応のロングコース(EAST)と、カートやミニバイクに対応するショートコース(WEST)を保有する茂原ツインサーキットですが、今回はショートコース(WEST)が舞台となりました。
この日は茂原ツインサーキットが主催する「SL MOBARA WEST CUP 第2戦」との併催という形で行われ、VespaGPの練習走行~予選~決勝はカートレースの合間に挟み込むというタイムスケジュールが組まれました。

さて、事務局の菊地さんによると「今年から大幅にレギュレーション変更があり、 レースのクラスが1つ(GP-Class)になりました。そして各ライダーに称号が付き、称号によってレギュレーションが変わります」との事です。要はこれまでのGP-ClassとMASTER-Classというクラス分けを取っ払い、ライダー個々にGPライダーやMASTERライダーといった称号が与えられるのだそうです。その上で“称号”毎にスタートタイミングやポイント獲得方法が違うので、シーズンを通しての接戦が見られそうです。
実は2023シーズンのVespaGPには、もう一つトピックがあります。それは現行4stベスパ(オートマチック)で参戦可能となった事だったりします。ご存知の通り、これまでは2stベスパ(ハンドチェンジ)だけのレースだったワケです。しかし「将来的に単独クラス化という野望を抱きつつ、まずは今シーズンからテスト的に4st・ATレーサーを走らせていく事にしました」と、自ら2st・MTレーサーから4st・ATレーサーにスイッチして参戦を開始した菊地さんは言います。

話を戻しましょう。この日は2回の練習走行枠が設定され、各ライダーそれぞれがOFFシーズン中に仕上げたベスパをセットしていきます。 総勢15名のライダーのうち今シーズンは全戦エントリーを宣言している♯2黒住選手(GPライダー)、久しぶりの参戦となった♯7牧野選手(MASTERライダー)、今回より4stマシンで参戦していく♯5菊地選手(MASTER-KINGライダー)といった辺りに注目していきたいと思います。
まず1本目の練習走行では各自がマシンセットアップ中なのと、コースに慣れていく作業とで、まだまだ攻めてるという感じではなさそう。それでも♯28佐藤(剛)選手が40秒台で周回し、それに続く選手達が軒並み41秒台や42秒台で周回するという展開です。
これが2本目の練習走行になると、♯23宮地選手と♯28佐藤(剛)選手がこの段階で39秒台をマーク。以下40~41秒台に6名がひしめき、徐々にヒートアップしてきているなといった感じでしょうか。
そしてちょうどこのタイミングくらいで、VespaGPを観戦&応援するべくVESPA CLUB TOKYOのメンバー達が来場してくれました。どうやら彼らは約15年ぶり(過去に日光サーキットを舞台にシリーズ戦として開催されていた「SCOOTER-1」以来)にサーキットを走る4stベスパ(オートマチック)を楽しみにしていた模様です。当時はGT200LやGTS250ieが参加していたハズですが、現行の市販車両であるSPRINT150の走りに興味津々なのは明らか。やはり4st・ATレーサーへの注目度、それと期待(?)は想像以上にあるみたいです。

いよいよこの日の戦局を占う上でとても重要となる予選開始に合わせ、各ライダーが勢いよくコースインして行きます。予選を通して好調だったのは♯28佐藤(剛)選手。練習段階からさらにタイムを詰め、最速タイムとなる39"685をマーク。2番手には一気にタイムを上げてきた♯20尾西選手が39"790で続きます。以下、7番手まで40秒台を刻み、何やら激戦の様相です。
しかしタイムアタック中にアクシデントが発生してしまいました。なんと12周めに♯44小林選手がリヤからスリップダウンしてしまい、その後ろを走っていた♯5菊地選手が避け切れずに突っ込み転倒するというハプニングです。 これにより予選は赤旗中断となり、タイムアタックが終了となりました。
さて、予選は中断という結果になってしまいましたが、それまでのタイムアタックにてスターティンググリッドが発表されました。 VespaGPではお馴染みのリバースグリッド方式は今シーズンも採用されましたが、昨シーズンまでと異なる点があります。
まずウェイトハンデが撤廃され、スタート時のルールが簡素化されて称号毎になりました。要はGP称号が通常スタートを切ってから、MASTER称号がタイム遅れ(今回は15秒遅れ)でスタートし、最後にMASTER-KING称号がさらに遅れてスタートする事になります。
そして今シーズンもMID-TOP賞は健在なんですが、1位のみだった賞典を3位までとして3名が表彰台に上がる事となりました。今回のタイムの区切りは♯22柳本選手/43"269の後ろで区切り、♯43佐藤(守)選手、♯27佐藤(充)選手、♯33尾崎選手、♯59菊谷選手、♯2黒隅選手、♯62飯塚選手ら6名で競われる事になります。なお予選中に負傷した♯44小林選手は、残念ながら決勝出場を辞退しています。

ベスパクラブのメンバー達が愛車と共に茂原ツインサーキットへと駆け付けてくれました
今回の注目ライダー・その1、♯2黒住選手(GPライダー)の走り
今回の注目ライダー・その2、♯7牧野選手(MASTERライダー)の走り
今回の注目ライダー・その3、♯5菊地選手(MASTER-KINGライダー)の走り
練習走行から予選にかけて徐々にペースアップしてきたライダー達。前走者に追い付けば途端にバトルっぽくなってしまうのは必然!?
予選12周目にスリップダウンを喫した小林選手はそのまま戦線離脱。このアクシデントに絡んでしまった菊地選手が駆け寄っていました


新レギュレーションの下で勝利したのは誰!?

新レギュレーションで規定された称号毎に3段階で並ぶ決勝グリッドにライダー達が揃い、開幕戦の火蓋が切って落とされました!

さて決勝です。VespaGP開幕戦のグリッド……ポールポジションに着くのは♯62飯塚選手/47"266、2番グリッドには♯2黒隅選手/47"012、以下♯59菊谷選手/46"670、♯33尾崎選手/44"603、♯27佐藤(充)選手/44"160、♯43佐藤(守)選手/43"838、♯22柳本選手/43"269、♯55三浦選手/40"815という並び。ここまでの8名はGPライダーになります。
その後ろには、GPライダー達から15秒遅れてスタートするMASTERライダーが並びます。グリッド順は♯61松本選手/41"540、♯7牧野選手/40"772、♯20尾西選手/39"790と並び、その後にはトップタイムをマークした♯28佐藤(剛)選手/39"685が着きます。
さらに後方に着くのが♯5菊地選手/40"714、♯23宮地選手/40"173というタイムを刻んだ2名のMASTER-KINGライダー。虎視眈々とオーバーオール・Winを狙っている事でしょう。もちろん他のライダー達も、ファーストチェッカーをもぎ取ろうと闘志剥き出しでスタートの瞬間を待っているに違いありません。

最初のスタートはGPライダー達。一斉に良いスタートを切りました。続いてMASTERライダー達が15秒遅れてスタート。♯20尾西選手がなかなかの好スタートです。そしてMASTER-KINGライダーもスタートし、熱いバトルの始まりです。
1周目の先頭は♯22柳本選手。その後ろには♯55三浦選手が続きます。それを♯20尾西選手、♯7牧野選手、♯28佐藤(剛)選手、♯61松本選手の順にMASTERライダー達が追撃を開始。しかし彼等の後方にはMASTER-KINGライダーである♯23宮地選手が迫っています。
同じくMASTER-KINGライダーの♯5菊地選手はNewマシン(4st・ATレーサー)と昨シーズンまでのマシン(2st・MTレーサー)との特性の違いに苦戦している模様。菊地さんによると「コーナーへの進入と立ち上がり、加速する時の車体が前に出る感じに違いを感じます」との事ですが、予選タイムだけ見ればここから上位に食い込んでいきそうな予感がします。

2周目になると先頭が♯55三浦選手に入れ替わりました。そしてMASTERの一行がホームストレートでGPのセカンドグループをロックオン。次々とオーバーテイクしていくMASTERライダー達。順位にも変動が見られ始めています。
レース中盤になると♯28佐藤(剛)選手と♯20尾西選手の2位争いが激化し、その後ろでは♯7牧野選手もチャンスを伺っているという状況。また、先頭の♯55三浦選手は依然トップを死守しています。レース終盤になっても先頭を走り続けているため、このまま逃げ切る事が出来るのか注目が集まります。
いっぽう、MID-TOP賞を狙う♯33尾崎選手と♯27佐藤(充)選手のバトルも熱く、どちらがMID-TOP賞の1位となってもおかしくない状況。そうこうしていると、♯23宮地選手がこの終盤戦でトップをいく♯55三浦選手をロックオン。このままいくと入賞者の獲得ポイントが減点されてしまうという危機的状況に。
実はGP & MASTERライダーへのポイントは、順位によって異なるポイントが割り振られます。しかしMASTER-KINGライダー(基本的に賞典外)が1~3位のライダー達を抜いてファーストチェッカーを受けてしまうと、MASTER-KINGライダーにポイントが奪われてしまうというまさかの“鬼ごっこ”的ルールが適用されてしまうのです。
……などと思っている間に、とうとう♯23宮地選手が♯55三浦選手をオーバーテイク。そのまま♯23宮地選手がファーストチェッカーを受けましたが、賞典外となるためリザルトでは♯55三浦選手が1位となり、2位に♯20尾西選手、3位は♯28佐藤(剛)選手という結果に。
またMID-TOP賞については♯33尾崎選手が1位となり、2位に♯43佐藤(守)選手、3位は♯59菊谷選手となりました。注目していたGPライダーの♯2黒住選手は、♯59菊谷選手の次にゴールしたのでMID-TOP賞の表彰台には一歩届かず。MASTERライダーの♯7牧野選手にも注目していたのですが、こちらも表彰台には一歩届かず♯28佐藤(剛)選手の次のチェッカーとなりました。

決勝ヒート前のライダースミーティングでは予選中のアクシデントにも触れられ、ライダー各々が気を引き締める要因になっていた様です
逸る気持ちを抑えつつ、コースインに向けて所定位置に集まりだすライダー達。後方からやって来るライダー達も見えますね
MASTERライダーの♯28佐藤(剛)選手と♯20尾西選手が、先行していたGPライダーの♯27佐藤(充)選手を早い段階でロックオン
GPライダーの2ndグループに、MASTERライダーの一群がまさに襲いかかろうという図。このままオーバーテイクのチャンスを伺っている!?
MASTERライダーの一群に抜き去られても、そこから一つでも順位を上げようとアクセルを捻り続ける♯43佐藤(守)選手と♯22柳本選手
2周目にTOPに立って以降、快走を続ける♯55三浦選手。そこにオーバーテイクされても食らいつこうとする♯59菊谷選手と♯2黒隅選手
レース中盤、(写真には映っていませんが)先行する♯28佐藤(剛)選手を攻め立てる♯20尾西選手。負けじと絡む♯7牧野選手、4stマシンでチャンスを伺う♯5菊地選手
今シーズンのMID-TOP賞は1~3位までが表彰の対象。その賞典を狙ってガチバトルを繰り広げるのは♯33尾崎選手と♯27佐藤(充)選手
15周で争われた開幕戦バトルに終止符が打たれました
開幕戦バトルを制し、ファーストチェッカーを受けたのは♯23宮地選手。なんと最後列スタートから怒涛の追い上げを見せてくれましたが、ルールで賞典外となります。それでもチェッカーフラッグを受け取り、ウイニングラップをキメてくれました
安定した走りで後発のMASTERライダー勢から逃げ切り、見事表彰台の中央に上がった♯55三浦選手。周回速度は59.703km/hを記録
鬼神の様な快進撃で、同じく最後列スタートの♯5菊地選手を含めてすべてのライダーを抜き去った♯23宮地選手。周回速度は60.008km/h


RESULT

GP-Class表彰

左から順に)3位:佐藤(剛)選手、1位:三浦選手、2位:尾西選手

MID TOP賞

左から順に)3位:菊谷選手、1位:尾崎選手、2位:佐藤(守)選手
入賞者以外には参加賞が用意されるなど、入賞者はもちろ全ライダーが笑顔を見せてくれるのも“楽しそうなVespaGP”の象徴かも知れません


第2戦レースレポートも乞うご期待!

マシンといっしょに全参加ライダーによる合写真。結果への満足と課題を持って次なる第2戦に向けてGo!!

さて、VespaGP-2023シーズンの開幕戦レポートはいかがでしたか? 終わってみると流石のMASTER-KINGライダー・宮地選手が、圧巻の走りでファーストチェッカーを受けて堂々1位となりました。ただしMASTER-KINGライダーは賞典外となるので、2位以下が繰り上げで表彰台へと上がる事に。
このバトルで目を惹くのは、やはりGPライダーである三浦選手が並いるMASTERライダー達の追撃から逃げ切って掴んだ表彰台の中央ポジションでしょう。素晴らしい走りでした。
そして開幕戦で最大の関心事であるのが間違いない、4st・ATレーサー(ノーマル150cc/Eg)のポテンシャル。これについては、今初めてこの記事を読んで知ったという方でも気になる話題なのでははいでしょうか?
現段階で唯一である4st・ATレーサー乗りの菊地さんによると「チューニングされた2stエンジンの特性とノーマルでフラットな4stエンジンの特性とでは、茂原ツインサーキット・WESTのような高低差があるコースだとストレートで差が少し出てしまいます」との事。しかしここで結論とはせず、もう何レースかこのままの仕様でデータを取っていくそうです。
さあ、今シーズンのVespaGPは話題が盛りだくさんですし、6月11日(日)には第2戦も開催されています。もちろん、第2戦のレースレポートもお届け予定なのでお楽しみに!

予選中のクラッシュによりフロントフェンダーが割れてしまった菊地選手の4st・ATレーサー。後日談として、まったく分からないほどキレイにリペアしたとの事です
当日、実は三浦選手の誕生日だったそうです。そんな日に1位表彰台に上がるだなんて、きっと最高の思い出ですね。事務局からはプレゼントが提供されていました

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