見出し画像

法定雇用率、なぜ引き上げられた?

法定雇用率とは、企業が一定の割合で障がい者を雇用することを義務付ける制度です。

この制度は、障がい者の社会参加を促進し、誰もが希望や能力に応じて職業を通じた社会参加ができる「共生社会」を実現するために設けられています。

近年、この法定雇用率が引き上げられましたが、その背景には何があるのでしょうか?


今の雇用状況は?


まず、令和5年の障害者雇用状況について確認してみましょう。

  • 民間企業:雇用障害者数は64万2,178.0人で、対前年比4.6%増加。実雇用率は2.33%で、対前年比0.08ポイント上昇。法定雇用率を達成した企業の割合は50.1%で、対前年比1.8ポイント上昇。

  • 公的機関:雇用障害者数と実雇用率は、国、都道府県、市町村、教育委員会すべてで対前年を上回っている

  • 独立行政法人など:雇用障害者数は1万2,879.5人で、実雇用率は2.76%で、どちらも対前年を上回っている

こう見ると、障がい者の雇用状況は徐々に改善していることがわかります。ただ、民間企業はまだまだ改善余地があるのも事実です。これをさらに加速するためにも、企業に対して一定の割合で障害者を雇用する義務を課すことで、障害者の職業の安定を図ることを目的としているのです。

なぜ、段階的に法定雇用率を引き上げているのか?


結論から言えば、法定雇用率を段階的に引き上げることで、企業が計画的に対応できるようにすることが理由です。突然の引き上げではなく、段階的な引き上げにより、企業は障害者の雇用に向けた準備と対策を進めやすくなることを狙っているのです。

また、障害者雇用の支援策を強化し、企業が障害者を雇用する際の負担を軽減することも目指しています。これにより、企業は障害者の雇用に対するハードルを下げ、より積極的に障害者の雇用を進めることができます。

以上のような理由から、法定雇用率は段階的に引き上げられ、2026年度からは2.7%に設定される予定です。これにより、障害者の社会参加がさらに促進され、共生社会の実現に向けた一歩となることを期待しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?