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やしろあずきと三角コーン洗脳

 やしろあずき先生という、人気のWeb漫画家がいます。20代、30代の認知度がハンパじゃないです。40代以降で名前を知らない人でも、絵を見たら「あー」って思う人は多いのではないでしょうか。

 そんなやしろあずき先生のすごさが、三角コーンです。Twitterとか見てると、ファンがやたらに三角コーンを自宅に送りつけています。謎です。

 元はといえば、Amazonの欲しいものリストを作る際、「ただ欲しいものだけを入れていると何か嫌な感じなので、数個“いらないもの”を間に入れて緩衝材にするといい」というアドバイスを受けて、三角コーンを入れたことが発端だそうです。

↑Googleの検索候補。めっさ気にされてる。

 まぁ、ネタというかファンにとっての遊びですね。やしろあずき先生のほうもそれをネタにマンガを書いていて、迷惑そうではありますが一種のWIN-WINを形成しています。最近は、三角コーンを必要とする各種団体に無料で提供やレンタルすることもあり、もうこれはエコシステムといっていいでしょう。

 何がすごいと思うかというと、三角コーンが謎に贈与されていることではなく、人々の思考回路に与える影響です。自分自身、このことを知って以降、街角で三角コーンを見かけるたびに、やしろあずき先生のことを思い出すのです。

 工事現場、ビルの片隅、空港の滑走路、向かいのホーム、路地裏の窓、こんなところにいるはずもないのに……。

 考えてみれば、これまでは三角コーンが視界に入ったとしても、認識すらしなかったのが、特定の人物を想起させる。これは洗脳です。洗脳用語で言うところの、アンカーとトリガーです。トリガーが三角コーンで、アンカーがやしろあずき。あと何十年かして、やしろあずき先生が引退したとしても、一生三角コーンを見て思い出す人がいるわけです。恐い!

 漫画家で、ここまで強いアンカーとトリガーを作ったのは、手塚治虫先生のベレー帽ぐらいじゃないでしょうか。ベレー帽といえば漫画家、さらに手塚治虫という強力なイメージ連鎖です。

 じゃあ、自分も何かよく見かけるものとリンクさせてみようと思うかもしれませんが、そう簡単ではなさそうです。例が古いかもしれませんが、信号機を見て「コント赤信号」を思い出すでしょうか? トンネルに入ったとき「とんねるず」を思い出すでしょうか? おそらく、そうはならない人がほとんどだと思います。信号機やトンネルは、幼稚園児でも認識しているものなので、新たに固定のイメージとは結びつきにくいのです。トリガーは、これまで意識してこなかったが、意識するとよく見かける、絶妙な何かである必要がありそうです。

 まぁ、やしろあずき先生自体意識してやったことじゃないでしょうが、痛くなりがちなセルフブランディングのヒントがあると思ったので、メモがてら書いてみました。

なんだ、この本は? 帯にやしろあずき先生の絵があるぞ!


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