太陽光発電 出力制御運用方法変更について(九州電力管轄)

2021年4月、九州電力管轄の再エネ出力制御の
運用方法が変更になったことを受け、
変更点を調べることにしました。

● 変更点
指定ルール事業者に一律制御を導入(以前は輪番制)

● そもそも出力制御とは
電力は貯蔵が困難なため、
需要家に安定的に電力を供給するには
需要(消費量)と供給(発電量)を
常に一定にする必要があります。
このバランスが崩れると停電を招く危険があります。

ここで、需要は季節や時間によって変化する(図1)ため、
需要以上に発電される場合は
需給バランスを取るために発電電力量を制御します。

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ただし、出力制御は再エネだけが対象ではなく、
優先順位が定められています。

画像2

また、再エネの出力制御の実施については、
電力系統への連系前に締結する運用申合書等にも記載されています。

●再エネの出力制御日数について
電力会社は制御対象となる日数を把握するため、
年間計画を立てて予想しているようです。

画像5

●太陽光発電の出力制御ルールについて
九州電力管轄では、出力制御のルールが2つに分けられています。
 ①旧ルール:年間30日まで無制限・無補償
 ②指定ルール:年間30日を超えて無制限・無補償
  ※各電力会社によって呼び方が違ったりします。

分け方は2015年1月25日までに連系承諾したものは旧ルール、
それ以降は指定ルールのようです。

●出力制御の運用方法について
基本的には旧ルール・指定ルール関係なく
全太陽光発電所が公平に制御を実施するようです。

しかし、旧ルールが年間30日までしか
無補償で制御できないため、
1発電所あたりの制御日数が
年間30日を超えるか、超えないかがポイントのようです。

過去の実績ではこの30日を超えることなく、
公平に制御日数をカウントできましたが、
太陽光発電所が新設され続けることで、
年間発電量は増加し、電力会社は2021年度に
年間30日を超えて制御する必要があると予想しました。

年間30日を超えることで、今までのように
全発電所を公平に制御することができなくなりました。

●運用方法の変更について
制御日数が30日を超えない運用方法は、
輪番制で制御していました。
また、オフライン制御を優先し、
残りをオンライン制御していました。(下記の図)
(オフライン制御とは、旧ルールのうち電力会社が制御せず、
 発電事業者が電力会社から前日に受けた指令で停止する方法。
旧ルール当時はオンライン制御の仕組みが整備されておらず、
出力制御に対応する装置を後付けすることになったのだが、
電力会社主体で制御するか発電事業者が停止させるか選択。
オンラインは電力会社が制御。指定ルールと
オフライン以外の旧ルールが該当。)

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2019年度の運用実績では、
旧ルールは23~24回、指定ルールは15~16回となっています。
※これが公平と判断されるようだ。

そして、30日を超過する見込みの場合の運用は、
旧ルール事業者の出⼒制御上限30日を
最⼤限に活⽤しながら、指定ルール事業者を⼀律制御します。

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旧ルールの30日を超過することになれば、
今後、指定ルールの出力制御回数が
増えることになりそうです。

特に需要が少なく、太陽光発電電力量が多い春は
晴れれば制御対象となる日が続きそうです。

●低圧案件を例に少し計算します。
年間発電電力量は73,000kWhとします。
指定ルールの制御回数が
従来の換算回数で20回程度とすれば、
・単純平均で73,000[kWh] ÷ 365[日] × 20回 = 4000[kWh]
・4000[kWh] / 73,000[kWh] = 5[%]

単純平均で出力制御率5%になりました。
晴天の日が制御の対象になるので
個人的にはもう少し上がりそうな気はしますが、
1年間通して結果を見ないと分からないですね。

●まとめ
九州電力管轄では新たな運用方法での出力制御が
始まりましたが、いずれは他電力会社管轄でも
始まる可能性があると思います。

すでに太陽光の累計導入量が
(狭いこの日本で)世界3位と
再エネ比率が低い日本でも
世界的に見ても多く導入されていることが伺えます。

できれば出力を制御することなく
逆潮流してほしい気持ちはありますが、
再エネ出力は環境的要因に左右されるデメリットから、
他の電源とミックスしなければ
使い物にならないのも理解できます。

今回をきっかけに、
今の日本の電源構成の現状を知り、
何が課題なのか
詳しく調べたいなと思いました。

それでは、また。

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