九州電力の再エネ出力制御について

2021年度4月、九州電力管轄の再エネ出力制御の
運用方法が変更になったことを受け、
指定ルールの制御回数増加の原理を
実際のデータを基に調べてみました。

運用方法の変更点については、
こちらの記事にまとめています。

●確認したデータ
九州電力送配電のHPに「でんき予報」というページがあり、
電力需要を知ることができます。
ここに「再生可能エネルギー出力制御見通し」という項目があり、
「出力制御指示内容」から過去の実績を見ることが可能です。
今回はこちらのデータを使用していきたいと思います。

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●少しフォーマットの説明
初めて閲覧したときに
どこを見ればよいのか戸惑ったので、
見方も記録しておこうと思います。

オフラインの旧ルールには前日に
電力会社から発電事業者に制御指示が発出されるため
PDFの通し番号に対して、
左側が前日指示した内容と予想需給状況を、
右側が当日の実績を記載しています。(下記の図)

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●実際のデータを確認
2021年度の現段階で一番制御量が多かった
4月11日(日)の実績を見ていきます。
※土・日曜日は需要が少ないために制御量が多くなりやすい。

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次のことが分かりました。
・電力需要に対して、供給の75%を再エネで運用
・再エネ発電電力の29%が制御対象

ただ、最も制御量が多い日でさえ
29%が制御対象なのであれば、
毎日連続して1つの発電所で
制御がかかることもない気がします。
そこで、太陽光の連系状況を確認します。

●太陽光の連系状況
運用ルール上、系統連系している太陽光発電でも
制御対象・対象外があります。

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2020年9月末時点で、制御対象は595万kW、
制御対象外は403万kWです。

対象外の403万kWは晴天であれば、
ほぼ403万kW発電し、逆潮流されます。
つまり、先ほどの4月11日を例にとると、
826万kWのうち約50%分を
対象外用にと確保します。

そして残りの約400万kW分を
制御対象の595万kWで賄うことになります。

さらに2021年2月には太陽光設備が1025万kWに増加し、
(2020年9月比+27万kW)
今後も制御量が多くなることは明らかです。

●昨年度との比較(参考)
昨年度の同時期の制御量を比較しました。

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ピンポイントに一日だけ比較するのは
あまりよい例ではないと思いますが、
ざっくりと次のことが言えそうです。
・エリア需要はほぼ変化なし
・しかし、供給力が100万kW以上増加
・供給力の増加の要因は、全てが再エネではない

●指定ルールの制御回数増加について
指定ルールの制御回数が増加した原因は、
基本的に供給量が増え過ぎたことだと考えています。

30日に達するまでは
旧ルール(オフライン)を優先的に制御していました。
しかし、30日を超過するということは
オフラインを優先的に制御せず、
指定ルールで制御する必要があります。

30日を超えることになった現在、
太陽光の導入量が増えれば増えるほど
指定ルールの制御日数が増加することになりそうです。

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●今後の注目ポイント
オフライン制御は制御当日の8時~16時まで制御していますが、
オンライン制御は必要な時間のみ制御されます。
そのため、指定ルールと旧ルールの制御率に差が生じるはずです。

30日を超えた制御でも指定ルールの方が
制御率が低いのか注目したいと思います。

それでは、また。

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