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チャンピオンズリーグベスト16 レグ2/2 「王様の証明」〜パリ・サンジェルマンvsドルトムント レビュー、感想〜


ドルトムントは前回1stlegでホームでパリを2ー1で下し敵地に乗り込んだ。しかしコロナウイルスの影響で無観客試合となる。パリの選手としてはやりにくい試合となった。さらに主力のヴェッラッティ、チアゴシウバが抜けた中でどのようにドルトムントを破ったのか振り返ってみる。

⓪結果、スタメン

  ドルトムント 0ー2      パリ・サンジェルマン
  ネイマール 28‘、ベルナト46’

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ホームのPSGはフォーメーション4−4−2で体調不良のムバッペの代わりにサラビアがFWに入りました。
対するアウェイのドルトムントはフォーメーション3−4−3で3トップはサンチョ、アザール、1stLeg2得点のハーランドと特に変更はなく挑んだ。

①序盤


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立ち上がりドルトムントは343の状態でハイプレスをかけに行った。この時SBにはWBが高い位置までかけに行っていた。前半10分が過ぎたところでドルトムントはリトリートに守備を切り替え541の状態で守った。しかし最終ラインはある程度高い位置に設定。堅い守りにPSGもボールは保持するものの攻めあぐねる。そしてドルトムントはカウンター時3421のような形になりサンチョとアザールをシャドウに入れホーランドを起点に攻撃を作ろうとした。そしてもう1つは右WBハキムのスピードを活そうとした。印象的なシーンがあったので紹介する。

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前半17分のシーンだが落ちてきたサンチョにベルナトがついていき空いたスペースをハキムが狙いハーランドにクロスをあげた。3421のお手本のような攻撃だった。この場合対策方法としては2つありベルナトがついていくのであればネイマールがハキムについていくパターンかベルナトがいかないのであればボランチとネイマールがもっと絞るかだ。この場合はSHがネイマールなので後者の方が良いだろう。カバーニが敵のボランチのコースを消していたのでバレデスはもう少し絞った方が良かったと思う。ドルトムントはこのようにネイマールの守備意識の低さを活かしベルナトに数的優位を作ることに成功した。試合はお互いスコアレスのl状況が続くが試合を動かしたのはやはりあの男だった、、、

②局面を打開した圧倒的な”個”

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前半26分、ネイマールがファールをもらいそれがコーナーキックに繋がり失点に繋がったのだがおそらくこのシーンが失点の原因であると思う。前半25分ドルトムントのビルドアップのシーンだがまず先程起きたベルナトの裏をハキムに取られたミスを早速修正しているのは素晴らしい。間に受けにきたサンチョにボランチのバレデスがつき逆のゲイェが自分の持ち場を捨てジャンにアタックしに行っている。これによって先程のように1発で裏を取られることはない。ビルドアップだがまず右CBのピシュチェクがジャンにパスを出す。映像を見てもらったら分かるのだが出すタイミングが1テンポ遅かった。それはおそらくPSGが守備をすぐに修正しサンチョにパスを出せなかったことが1つの要因だと思う。そうだとするとこの場合キーパーに戻すかジャンがダイレクトでハキムにはたくかどっちかだがセルヒオブスケツならダイレクトでパスしていただろう。結果的にフンメルスにパスを出したがダイレクトで出せるようなパスを出さなかったのでPSGのプレスの餌食になった。そうなったのもピシュチェクのパスが遅かった事、フンメルスへのパスがずれた事そしてフンメルスとジャンに余裕を与えなかったゲイェとカバーニのハイプレス、結果的にこのビルドアップのミスが失点を招くことになった。やはりこのレベルになるとこう言った細かいミスが失点に繋がる。いかにビルドアップにおいてCBが大事なのか分かるシーンだ。そこからはショートカウンターになりネイマールが3人相手にファールを誘い次のコーナーキックで自分で決めた。流石としか言いようがない。

③とどめの1発


この試合2点目が入ったのが前半アディショナルタイムで先制を許してしまったドルトムントは当然ながらハイプレスをかける。押し込むもののキンペンベのロングキックで逆に押し込まれ高い位置でパリにボールを奪われまたもショートカウンターでやられてしまう。ここで目立ったのがジャンの球際の弱さだ。ボールを奪われた後一度パレデスがトラップミスをしてしまいここでジャンが出るが奪いきれずジャンが開けたスペースにフンメルスが出てアザールにボールが渡るがここもベルナトが飛び出してカットしボールはまたしてもネイマールに渡りスライドが間に合わず大外が空きクロスに合わせられた。たらればの話だがもしジャンがカットしていたら、、、もう一つ分かったのがドルトムントはビルドアップ時キーパーを使わないという事だ。2失点目の場面はキーパーの戻してもよかったのではとも思ったがこれはチームの決まりごとなのでしょうがない。

④後半

後半になり当然ドルトムントも前がかりになってきた。大きな変化としてはWBのハキムがかなり高い位置を取ってきた事だ。そしてネイマールの守備意識の低さを利用しようとした。ここをPSGはカバーにのプレスバックとボランチの運動量でカバーする。

62:00 サラビアに変えてムバッペを投入。サラビアとカバーニのハイプレスが効いていたこともあり出るのか微妙だったが逆にムバッペが出ることにより前がかりのドルトムントに迷いが生じた。

68:00 アザール→ブラント
   アザールよりもゴール前で違いを作れるブラントを投入。攻撃的な姿勢を見せる。この試合厳しいマークに苦しんでいるハーランドを活かす狙い。

70:00 ヴィツェル→レイナ
   攻撃的なMFを投入。当然中盤の強度が落ちるがリスク覚悟の判断。

79:00  ディマリア→クルザワ
   守備の強化を図る。

86:00    ハキミ→ゲッツェ
    ブラントを左WBへ

④総括

試合を通してPSGの球際の強さが目立った。前半の中盤までドルトムントの堅い守備に苦しんでいたが1点目のコーナーキックが勝敗を分けたことになった。こう言った試合でではセットプレーが重要になってくる。それをわかっていたネイマールがヘディングで試合を決定付けた。PSGの守備の修正の早さ、2トップの運動量、ハーランドをひたすら押さえ込み続けたCB、そしてネイマールの”個”など新生ハーランドの前でネイマールが格の違いを見せつけた試合となった。一方この試合何もできなかったハーランドは悔しい結果となった。また、この試合キンペンベがいいプレーをしていた。解説も言っていたがこんないい選手だとは思わなかった。これから注目したい。