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これまでのこと~2020年を振り返る~

去年八月から始めた小郡の家の作業も、既に一年と四ヶ月が経った。

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家の周りは薮になってて、家の中にも竹が生えて床板はめくれ、天井壁紙もペロンと落ちていた家を、なんとか手間と時間と金をかけて、できることをやってきた。

買った直後から、今年の夏までは、主に竹やその他植物との戦いだった。とにかく竹や木や草を切っては集め、燃やし、地上部の草木を片付けたあとは地中のごみを取るという作業の繰り返し。膨大な量のごみとの戦いもあった。春から夏は、床板をはがしたあとの竹の根との闘いで、家の中で大引きの間を鍬を振って回った。床下はボッコボコになった。掘った竹の根や株は、北側で山積みになり、高さ2メートル、幅5メートル、長さ15メートルくらいの山が二つできていた。それらも炭になった。株は鍬である程度崩した後、レンガのように積み上げてかまどのようなものを作り、そこで解体した床板を燃やし、その熱で焼き、すべて土に戻した。梅雨の長雨の前の乾燥の時期にほとんど済ませることができた。7月くらいから念願の大工さんが来てくれることになり、あっという間に大引きや根太、断熱材や合板が張られ、床ができた。床ができたことで、柱や天井を初めて雑巾で拭き掃除をした。それまではなんとなく怖くて素手では触れなかったけれど、平気になっていた。分厚い埃、虫の死骸、生きている虫、蜘蛛の巣、カビのにおい、なんだかわからない汚れが不気味だった。でもこの時やっと、自分の家、という認識ができたと思う。

そしてユニットバスの土台もでき、電気の配線ができた。真夏に屋根裏の膨大な量の麦わらや土埃を撤去した。家の水道管の配管がされた。ユニットバスは、ユニット屋さんが1日経たずに搬入設置が完了した。涼しくなってきて、壁ができ、石膏ボードの天井が張られ、家の形が見えてきた。初めての漆喰は難しかった。夏に入札が始まった下水道工事は秋深まるころやっと来てくれた。漆喰や柿渋を塗ったり、クロスやクッションフロアも貼った。

来年の年末は小郡で過ごしたいけれど、できるだろうか。トイレもまだだし、キッチンもまだ、サッシも、、とまだまだが山ほどある。でもとりあえず、年末の打ち合わせで、これからは瓦屋根の雨漏り部分の補修と、天井部の足場板貼り、まだ手を付けていない部屋の束から大引きまでの設置、そこからおいおい藁屋根本体部のやり替えへと補修がつながっていくことを確認することができた。来年中に藁屋根本体まで全部やるのは難しいかもしれないけれど、もしかしたら住めるようになるかも、という道筋が見えてきた。

作業できない日には、将来の園芸・料理図書館構想のために本をせっせと買い集めている。うちに来れば、古今東西の料理本を読めるようになる。それらを参考にして、いろいろな食べ物でおもてなしをする、楽しい空間ができると思う。

ついこの間も、10人ほどのひとがうちに見に来てくれた。3年ほど前に引きこもりになって、人と話せなくなった僕が、空き家の改修や、畑の作物を通じていろんな人と知り合うことができ、人とつながることができた。今僕がやっていることを評価してくれているということは、とても助けになっている。相変わらず、誰とでも仲良くなれるわけではないし、人と接すると気疲れしてしまう性格ではあるけれど、一歩一歩前へ進めているような実感の中で生きてこれた。世の中の流れが見えない不安もあるけれど、毎日の苦労が手の中からこぼれず、きちんと握りしめられて、成果として残っているような感じ。辛かった時代に日々死にたいとか消えてしまいたいと思っていた気持ちも消えて、今は完成を見届けたいし、これからも生きて、自分のやりたいことを実現させたいという気持ちになっている。内外の平安を祈っている。


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