静かなる海と日の出

2017年6月の土曜日の零時すぎ、眠れなかった私は、「水平線から上ってくる朝日を見たい」その一心で、車のエンジンをかけ、東へ向かった。

街灯の光、こんな時間でも空いているコンビニの明かりに導かれるように目覚ましのお茶や、目についた本や雑誌を買い、一般道で宮崎市を目指した。

広い道路の真ん中に植えられているフェニックスは、南国気分を味わうことができる。一旦堀切峠を過ぎた道の駅で、仮眠をとろうとしたのだが、30分ほど目を閉じたが、なかなか眠れない。

そこで、24時間営業のファミリーレストランに入り、大好きなチーズケーキと、ドリンクバーを頼み、夜明けまでの2時間ほどの時間をすごした。一人きりでゆっくりとすごせる時間はそうそうないので、貴重だった。

朝5時。店を後にして、いよいよ目的地の青島へ向かう。まだ早い時間ということもあり、ほとんど車は止まっていなかった。スマートフォン片手に、海岸へ。砂浜を歩くのは、何年ぶりだろう。一人でも全く寂しくなくむしろ一人で来られてよかった、と感じるくらいだった。

六時前くらいだろうか、水面が徐々に明るくなってきた。輝きを増した朝日が目の前に迫ってくる。
神々しい時間だった。

そのまま海岸の南側にある、青島神社へ歩いて向かうことにした。鬼の洗濯板を横目に見ながら、ひたすら歩いたところで、神社への道に着いた。登りはじめた朝日を見ながら参道へ。今はただ、自分らしく元気で生きたいと願ったような気がする。

木々の隙間から見える光はとても美しく、スマートフォンで撮った写真の出来もなかなかのものだった。

その日は朝9時半から、伊佐市のペアレントトレーニングの初日だったので、帰りは高速道路を使い、少し早めに着くようにまごし館へ向かった。眠いながらも心地よい気持ちで講座を受講することができた。

家族には、この日とった私の行動は意味不明なことだろう。それでも私にとっては、新しい自分に生まれ変わりたい、一歩を踏み出せた一日だった。

新型コロナウイルスの影響で、県外に行くこともできなくなってしまい、あの朝日を直接見られないのが、非常に残念だ。県外への往来が可能になったら、またぜひ見てみたい景色である。

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